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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#57

第四章 別れ(1)

 年末が来た。 
 [漢字]凱[/漢字][ふりがな]かい[/ふりがな]は自分の部屋の片付けくらいしかやることはなかったが、[漢字]大晦日[/漢字][ふりがな]おおみそか[/ふりがな]を明日に控えているとあって大掃除と[漢字]銘[/漢字][ふりがな]めい[/ふりがな]打って 両親や姉、使用人たちは忙しそうだった。
「———凱、暇そうにしているなら手伝ってちょうだい」
 部屋の掃除を終えて 手持ち無沙汰に庭の縁側で[漢字]佇[/漢字][ふりがな]たたず[/ふりがな]んでいたとき、母に呼ばれた。
 連れられて母の部屋へ行く。
「あのね、年賀状を書いているの。ほら、[漢字]時庭[/漢字][ふりがな]ときにわ[/ふりがな]って大きな家でしょう、だから書く量も本当に多くって。元日になったら、みんなに届けに行くのよ」
 凱は机の上を見た。たくさん葉書が置いてある。既に書かれているものもあれば、まだ真っ[漢字]新[/漢字][ふりがな]さら[/ふりがな]なものもあり、書きかけのものもあった。
 送り相手の気を損ねないように気を配っているのか、とても丁寧に書かれてある。
 この分ならこの量を一枚一枚書くのも大変だろう。
「分かった、手伝うよ」
 凱がそう言うと、母は嬉しそうに微笑んだ。

 書くのにしばらく時間がかかって、結局十枚ほどしか書けずに日が暮れた。
 それでも母は「あら。こんなに書いてくれたのね、ありがとう」と言ってくれた。
 明日と明後日———大晦日と元日は寝られないので、今日は早めに寝るよう言われた。
 両親と親戚たちは小規模な宴をするらしい。凱が部屋で布団の上でごろんと横になっていると、部屋の戸が叩かれた。
「はい?」
「……[漢字]朝水[/漢字][ふりがな]あさみ[/ふりがな]です。本を返しに参りました。」
 そういえば、姉に本を渡していたような。
 凱は少し戸を開けて、[漢字]覗[/漢字][ふりがな]のぞ[/ふりがな]き込む。姉の手には二冊、本が握られていた。そっと凱の方へ差し出される。
「ありがとう」
 凱はそれを丁寧に受け取った。
「それでは、戻ります。……奥様方に知られてはいけませんので」
 姉はそれを見届けると、二人で何か話す間もなく戻っていってしまった。

[水平線]
 大晦日となった。
 その日は、夕方に神社に行ってお参りをし、そこで初日の出を見ようという話になった。
 神社とは、[漢字]斎[/漢字][ふりがな]いつき[/ふりがな]の家である[漢字]新代[/漢字][ふりがな]にいしろ[/ふりがな]神社である。
 普段はもう少し由緒のある神社へと遠出するのだが、強い妖怪が出たために遠出が大っぴらにできなくなったのだ。遠出している最中に家に何かあったら困るから、と言う理由らしい。
 このあたりには高い山などなく、あるとしても少し小高いところにある新代神社くらいしかない。少し物足りない。
 初日の出を見たあとは一旦帰ってお節料理を食べたあと、挨拶巡りに行くことになっている。
 掃除など全ての片付けが終わった頃を見計らって、姉と十数名の使用人を残して、凱たちは家を出た。
 神社に着くと、何度も通ったその鳥居をくぐり、拝殿を目指して歩く。
 もう妖怪の気配はどこにも残っていない。そのことに凱は少し安堵した。
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2025/11/07 14:36

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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