いつもの応接間に行き、運ばれてきたお茶を飲み、座る。
「改めて、久しぶり、凱君。突然でごめんね」
馨が最初に口を開く。
「そんなことないです。ありがとうございます」
緊張していたが、なんとか話せた。
「元気にしてた? 斎君の家で何か起こったって聞いたけど、大丈夫だった?」
凱は出かけていなかったのでよくは知らないが、新代神社での一件は町中で話題になったらしい。馨の耳にも入ったのだろう。
「あ、はい。斎も元気そうです。昨日見舞いに行ったら、なぜか吹き矢の練習に付き合わされましたし」
「えー、なんで吹き矢?」
「……斎のことだから、悪戯できそうとかそんな理由でしょう」
凱が半ば呆れてそう言うと、馨が楽しそうに微笑む。
「……そういえば」
しばらくして、馨が真剣そうな表情で凱を見る。
「はい?」
「凱君、久世と揉めたの?あの子、すごく落ち込んでたけど」
「あ、……はい。」
あの洋食の店の一件のことを思い出す。あの後いろいろあって、ほとんど忘れかけていた。
「何が原因だったの?……久世、話してくれなくて」
「えー……っと……」
記憶を[漢字]遡[/漢字][ふりがな]さかのぼ[/ふりがな]ってそれを掘り起こしながら、あのときのことを凱は馨に話した。
全部話し終えて、凱は馨を見る。
「———え、久世に凱君の苗字がばれたの?」
息を呑んで、青ざめていた。
「はい……、要するにそんな感じです」
「あー、そういうことか……」
ひどく納得したように、馨はため息をつく。
「えっと……何かあったんですか?」
馨は凱に視線を下に落とす。その瞳は薄暗かった。
「……凱君は知らなくていいよ」
前にもそう言われた。本当に教えたくないのだろう。
「あの、いつ頃帰ってきたんですか?」
凱は話題を変えた。
「んー、一週間くらいは前?」
「結構早く帰ってきてたんですね」
「そうだね、片付けとかがひと段落ついたから凱君ち行こうかと思って」
「そうだったんですか」
本当は 久世が新代神社にいたことについても凱は聞いてみたかったが、やめた。
また気まずい雰囲気にはなりたくない。
「———そうだ、そろそろ年末だね。」
馨が何気ないように言う。凱は顔を上げた。
「え? あ、そうですね、そっか、ついこの間まで正月だった気がするのに、時が経つのは早いですね」
「あはは、なに爺さん[漢字]染[/漢字][ふりがな]じ[/ふりがな]みたこと言ってるの」
そんなことを話しつつ、その日は終わっていった。
「改めて、久しぶり、凱君。突然でごめんね」
馨が最初に口を開く。
「そんなことないです。ありがとうございます」
緊張していたが、なんとか話せた。
「元気にしてた? 斎君の家で何か起こったって聞いたけど、大丈夫だった?」
凱は出かけていなかったのでよくは知らないが、新代神社での一件は町中で話題になったらしい。馨の耳にも入ったのだろう。
「あ、はい。斎も元気そうです。昨日見舞いに行ったら、なぜか吹き矢の練習に付き合わされましたし」
「えー、なんで吹き矢?」
「……斎のことだから、悪戯できそうとかそんな理由でしょう」
凱が半ば呆れてそう言うと、馨が楽しそうに微笑む。
「……そういえば」
しばらくして、馨が真剣そうな表情で凱を見る。
「はい?」
「凱君、久世と揉めたの?あの子、すごく落ち込んでたけど」
「あ、……はい。」
あの洋食の店の一件のことを思い出す。あの後いろいろあって、ほとんど忘れかけていた。
「何が原因だったの?……久世、話してくれなくて」
「えー……っと……」
記憶を[漢字]遡[/漢字][ふりがな]さかのぼ[/ふりがな]ってそれを掘り起こしながら、あのときのことを凱は馨に話した。
全部話し終えて、凱は馨を見る。
「———え、久世に凱君の苗字がばれたの?」
息を呑んで、青ざめていた。
「はい……、要するにそんな感じです」
「あー、そういうことか……」
ひどく納得したように、馨はため息をつく。
「えっと……何かあったんですか?」
馨は凱に視線を下に落とす。その瞳は薄暗かった。
「……凱君は知らなくていいよ」
前にもそう言われた。本当に教えたくないのだろう。
「あの、いつ頃帰ってきたんですか?」
凱は話題を変えた。
「んー、一週間くらいは前?」
「結構早く帰ってきてたんですね」
「そうだね、片付けとかがひと段落ついたから凱君ち行こうかと思って」
「そうだったんですか」
本当は 久世が新代神社にいたことについても凱は聞いてみたかったが、やめた。
また気まずい雰囲気にはなりたくない。
「———そうだ、そろそろ年末だね。」
馨が何気ないように言う。凱は顔を上げた。
「え? あ、そうですね、そっか、ついこの間まで正月だった気がするのに、時が経つのは早いですね」
「あはは、なに爺さん[漢字]染[/漢字][ふりがな]じ[/ふりがな]みたこと言ってるの」
そんなことを話しつつ、その日は終わっていった。
- 1.第一章 始まり(1)
- 2.第一章 始まり(2)
- 3.第一章 始まり(3)
- 4.第一章 始まり(4)
- 5.第一章 始まり(5)
- 6.第一章 始まり(6)
- 7.第一章 始まり(7)
- 8.第一章 始まり(8)
- 9.第一章 始まり(9)
- 10.第一章 始まり(10)
- 11.第一章 始まり(11)
- 12.第一章 始まり(12)
- 13.第一章 始まり(13)
- 14.第二章 彼の妹(1)
- 15.第二章 彼の妹(2)
- 16.第二章 彼の妹(3)
- 17.第二章 彼の妹(4)
- 18.第二章 彼の妹(5)
- 19.第二章 彼の妹(6)
- 20.第二章 彼の妹(7)
- 21.第二章 彼の妹(8)
- 22.第二章 彼の妹(9)
- 23.第二章 彼の妹(10)
- 24.第二章 彼の妹(11)
- 25.第二章 彼の妹(12)
- 26.第二章 彼の妹(13)
- 27.第二章 彼の妹(14)
- 28.第二章 彼の妹(15)
- 29.第二章 彼の妹(16)
- 30.第二章 彼の妹(17)
- 31.第二章 彼の妹(18)
- 32.第二章 彼の妹(19)
- 33.第二章 彼の妹(20)
- 34.第三章 神社(1)
- 35.第三章 神社(2)
- 36.第三章 神社(3)
- 37.第三章 神社(4)
- 38.第三章 神社(5)
- 39.第三章 神社(6)
- 40.第三章 神社(7)
- 41.第三章 神社(8)
- 42.第三章 神社(9)
- 43.第三章 神社(10)
- 44.第三章 神社(11)
- 45.第三章 神社(12)
- 46.第三章 神社(13)
- 47.第三章 神社(14)
- 48.第三章 神社(15)
- 49.第三章 神社(16)
- 50.第三章 神社(17)
- 51.第三章 神社(18)
- 52.第三章 神社(19)
- 53.第三章 神社(20)
- 54.第三章 神社(21)
- 55.第三章 神社(22)
- 56.第三章 神社(23)
- 57.第四章 別れ(1)
- 58.第四章 別れ(2)
- 59.第四章 別れ(3)
- 60.第四章 別れ(4)
- 61.第四章 別れ(5)
- 62.第四章 別れ(6)
- 63.第四章 別れ(7)
- 64.第四章 別れ(8)
- 65.第四章 別れ(9)
- 66.第四章 別れ(10)
- 67.第五章 異変(1)
- 68.第五章 異変(2)
- 69.第五章 異変(3)
- 70.第五章 異変(4)
- 71.第五章 異変(5)
- 72.第五章 異変(6)
- 73.第五章 異変(7)
- 74.第五章 異変(8)
- 75.第五章 異変(9)
- 76.第五章 異変(10)
- 77.第五章 異変(11)
- 78.第五章 異変(12)
- 79.第五章 異変(13)
- 80.第五章 異変(14)
- 81.第五章 異変(15)
- 82. 第五章 異変(16)
- 83.第五章 異変(17)
- 84.第五章 異変(18)
- 85.第五章 異変(19)
- 86.第五章 異変(20)
- 87.第六章 真実(1)
- 88.第六章 真実(2)
- 89.第六章 真実(3)
- 90.第六章 真実(4)
- 91.第六章 真実(5)
- 92.第六章 真実(6)
- 93.第六章 真実(7)
- 94.第六章 真実(8)
- 95.第六章 真実(9)
- 96.第六章 真実(10)
- 97.第六章 真実(11)
- 98.第六章 真実(12)
- 99.第六章 真実(13)
- 100.第六章 真実(14)
- 101.第六章 真実(15)
- 102.第六章 真実(16)
- 103.第六章 真実(17)
- 104.第六章 真実(18)
- 105.第六章 真実(19)
- 106.第七章 闘い(1)
- 107.第七章 闘い(2)
- 108.第七章 闘い(3)
- 109.第七章 闘い(4)
- 110.第七章 闘い(5)
- 111.第七章 闘い(6)
- 112.第七章 闘い(7)
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- 117.第七章 闘い(12)
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- 127.第七章 闘い(22)
- 128.第七章 闘い(23)
- 129.第七章 闘い(24)
- 130.第七章 闘い(25)
- 131.【幕間】作品解説という名の、作者の妄想ネタを吐き出す場
- 132.第八章 再会(1)
- 133.第八章 再会(2)
- 134.第八章 再会(3)
- 135.第八章 再会(4)
- 136.第八章 再会(5)
- 137.第八章 再会(6)