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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#56

第三章 神社(23)

 いつもの応接間に行き、運ばれてきたお茶を飲み、座る。
「改めて、久しぶり、凱君。突然でごめんね」
 馨が最初に口を開く。
「そんなことないです。ありがとうございます」
 緊張していたが、なんとか話せた。
「元気にしてた? 斎君の家で何か起こったって聞いたけど、大丈夫だった?」
 凱は出かけていなかったのでよくは知らないが、新代神社での一件は町中で話題になったらしい。馨の耳にも入ったのだろう。
「あ、はい。斎も元気そうです。昨日見舞いに行ったら、なぜか吹き矢の練習に付き合わされましたし」
「えー、なんで吹き矢?」
「……斎のことだから、悪戯できそうとかそんな理由でしょう」
 凱が半ば呆れてそう言うと、馨が楽しそうに微笑む。

「……そういえば」
 しばらくして、馨が真剣そうな表情で凱を見る。
「はい?」
「凱君、久世と揉めたの?あの子、すごく落ち込んでたけど」
「あ、……はい。」
 あの洋食の店の一件のことを思い出す。あの後いろいろあって、ほとんど忘れかけていた。
「何が原因だったの?……久世、話してくれなくて」
「えー……っと……」
 記憶を[漢字]遡[/漢字][ふりがな]さかのぼ[/ふりがな]ってそれを掘り起こしながら、あのときのことを凱は馨に話した。
 全部話し終えて、凱は馨を見る。
「———え、久世に凱君の苗字がばれたの?」
息を呑んで、青ざめていた。
「はい……、要するにそんな感じです」
「あー、そういうことか……」
 ひどく納得したように、馨はため息をつく。
「えっと……何かあったんですか?」
 馨は凱に視線を下に落とす。その瞳は薄暗かった。
「……凱君は知らなくていいよ」
 前にもそう言われた。本当に教えたくないのだろう。

「あの、いつ頃帰ってきたんですか?」
 凱は話題を変えた。
「んー、一週間くらいは前?」
「結構早く帰ってきてたんですね」
「そうだね、片付けとかがひと段落ついたから凱君ち行こうかと思って」
「そうだったんですか」
 本当は 久世が新代神社にいたことについても凱は聞いてみたかったが、やめた。
 また気まずい雰囲気にはなりたくない。

「———そうだ、そろそろ年末だね。」
 馨が何気ないように言う。凱は顔を上げた。
「え? あ、そうですね、そっか、ついこの間まで正月だった気がするのに、時が経つのは早いですね」
「あはは、なに爺さん[漢字]染[/漢字][ふりがな]じ[/ふりがな]みたこと言ってるの」
 そんなことを話しつつ、その日は終わっていった。
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2025/11/11 14:59

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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