「え? じゃあ、お兄さんは……馨さんは、いたの?」
「んー、そこまで分からん。真っ暗で全員は良く見えなかったし」
「そっか……」
「どしたー? って会ってなかったの、あの兄妹に」
どうしてそれが分かったのだろうか。斎は時々、とてつもなく勘が鋭くなることがある。
「会ってなかったよ、二週間くらいどこかに出かけるって言ってたし」
「えっ、そうだったんだ〜、久世さんに会えないの寂しいなー、いつ頃まで?」
「えっと、斎が誘ってくる前だから、、そろそろ帰ってくるのかな」
「おおー、それは吉報」
また久世に愛の告白もどきをするのだろうか。十中八九、汚物でも見るような目で見られて[漢字]玉砕[/漢字][ふりがな]ぎょくさい[/ふりがな]するだろう。
「……それより、どうして久世さんが新代神社にいるの?」
「さあ?知らん。こっちが聞きたいしー」
「うーん、そっか、そうなっちゃうよね、」
「ほんとだよ〜」
ふと、あの日夏が言っていた話を思い出した。
「ねえ斎」
「んー?」
「あの日さ、僕に文出した?伝書鳩で」
「え?……へ?文?」
斎がポカンとする。数瞬そうしていた。
「出してないよ、だいたいあの状況で出せるわけないじゃん、だから俺、あのとき凱があの場にいて、ちょーびっくりしたし」
「そっか……」
夏も出してない。斎も出してない。他の人も出していないらしい。
———なら、あの文はいったい誰が出したのだろうか。
考えようとしてみたが、答えが得られるわけがないだろうと思った。
「それじゃあ、そろそろ帰るね、さよなら」
「うーん……、じゃなー」
凱が手を振ると斎も振り返した。
[水平線]
母たちも戻ってきて賑やかになった時庭の邸に、来客が来たのはその翌日の朝だった。
使用人たちが取り次ぎに行ったが、ほどなくして「凱様、早くいらっしゃいませ」と凱が呼ばれた。
誰だろうかと凱は玄関へ歩く。———来客の顔を見て、凱は瞠目した。
薄い橙の瞳、薄めの茶髪、すらりとした痩身の青年。
その姿は変わらず美しく、見惚れてしまうほどだった。
「え、……馨さん?」
「こんにちは。……久しぶり、凱君」
「あ、はい。お久しぶりです」
「……どうしてそんなに固まっているの?」
驚きで数秒か動けなくなってしまった凱に、馨が問う。
「あ、いや。突然来るとは思わなくて……!」
「あ、そっか。言ってなかったもんね、驚かせてごめんね」
使用人に「馨様、どうぞお上がりください」と言われ、二人は場所を移動した。
「んー、そこまで分からん。真っ暗で全員は良く見えなかったし」
「そっか……」
「どしたー? って会ってなかったの、あの兄妹に」
どうしてそれが分かったのだろうか。斎は時々、とてつもなく勘が鋭くなることがある。
「会ってなかったよ、二週間くらいどこかに出かけるって言ってたし」
「えっ、そうだったんだ〜、久世さんに会えないの寂しいなー、いつ頃まで?」
「えっと、斎が誘ってくる前だから、、そろそろ帰ってくるのかな」
「おおー、それは吉報」
また久世に愛の告白もどきをするのだろうか。十中八九、汚物でも見るような目で見られて[漢字]玉砕[/漢字][ふりがな]ぎょくさい[/ふりがな]するだろう。
「……それより、どうして久世さんが新代神社にいるの?」
「さあ?知らん。こっちが聞きたいしー」
「うーん、そっか、そうなっちゃうよね、」
「ほんとだよ〜」
ふと、あの日夏が言っていた話を思い出した。
「ねえ斎」
「んー?」
「あの日さ、僕に文出した?伝書鳩で」
「え?……へ?文?」
斎がポカンとする。数瞬そうしていた。
「出してないよ、だいたいあの状況で出せるわけないじゃん、だから俺、あのとき凱があの場にいて、ちょーびっくりしたし」
「そっか……」
夏も出してない。斎も出してない。他の人も出していないらしい。
———なら、あの文はいったい誰が出したのだろうか。
考えようとしてみたが、答えが得られるわけがないだろうと思った。
「それじゃあ、そろそろ帰るね、さよなら」
「うーん……、じゃなー」
凱が手を振ると斎も振り返した。
[水平線]
母たちも戻ってきて賑やかになった時庭の邸に、来客が来たのはその翌日の朝だった。
使用人たちが取り次ぎに行ったが、ほどなくして「凱様、早くいらっしゃいませ」と凱が呼ばれた。
誰だろうかと凱は玄関へ歩く。———来客の顔を見て、凱は瞠目した。
薄い橙の瞳、薄めの茶髪、すらりとした痩身の青年。
その姿は変わらず美しく、見惚れてしまうほどだった。
「え、……馨さん?」
「こんにちは。……久しぶり、凱君」
「あ、はい。お久しぶりです」
「……どうしてそんなに固まっているの?」
驚きで数秒か動けなくなってしまった凱に、馨が問う。
「あ、いや。突然来るとは思わなくて……!」
「あ、そっか。言ってなかったもんね、驚かせてごめんね」
使用人に「馨様、どうぞお上がりください」と言われ、二人は場所を移動した。
- 1.第一章 始まり(1)
- 2.第一章 始まり(2)
- 3.第一章 始まり(3)
- 4.第一章 始まり(4)
- 5.第一章 始まり(5)
- 6.第一章 始まり(6)
- 7.第一章 始まり(7)
- 8.第一章 始まり(8)
- 9.第一章 始まり(9)
- 10.第一章 始まり(10)
- 11.第一章 始まり(11)
- 12.第一章 始まり(12)
- 13.第一章 始まり(13)
- 14.第二章 彼の妹(1)
- 15.第二章 彼の妹(2)
- 16.第二章 彼の妹(3)
- 17.第二章 彼の妹(4)
- 18.第二章 彼の妹(5)
- 19.第二章 彼の妹(6)
- 20.第二章 彼の妹(7)
- 21.第二章 彼の妹(8)
- 22.第二章 彼の妹(9)
- 23.第二章 彼の妹(10)
- 24.第二章 彼の妹(11)
- 25.第二章 彼の妹(12)
- 26.第二章 彼の妹(13)
- 27.第二章 彼の妹(14)
- 28.第二章 彼の妹(15)
- 29.第二章 彼の妹(16)
- 30.第二章 彼の妹(17)
- 31.第二章 彼の妹(18)
- 32.第二章 彼の妹(19)
- 33.第二章 彼の妹(20)
- 34.第三章 神社(1)
- 35.第三章 神社(2)
- 36.第三章 神社(3)
- 37.第三章 神社(4)
- 38.第三章 神社(5)
- 39.第三章 神社(6)
- 40.第三章 神社(7)
- 41.第三章 神社(8)
- 42.第三章 神社(9)
- 43.第三章 神社(10)
- 44.第三章 神社(11)
- 45.第三章 神社(12)
- 46.第三章 神社(13)
- 47.第三章 神社(14)
- 48.第三章 神社(15)
- 49.第三章 神社(16)
- 50.第三章 神社(17)
- 51.第三章 神社(18)
- 52.第三章 神社(19)
- 53.第三章 神社(20)
- 54.第三章 神社(21)
- 55.第三章 神社(22)
- 56.第三章 神社(23)
- 57.第四章 別れ(1)
- 58.第四章 別れ(2)
- 59.第四章 別れ(3)
- 60.第四章 別れ(4)
- 61.第四章 別れ(5)
- 62.第四章 別れ(6)
- 63.第四章 別れ(7)
- 64.第四章 別れ(8)
- 65.第四章 別れ(9)
- 66.第四章 別れ(10)
- 67.第五章 異変(1)
- 68.第五章 異変(2)
- 69.第五章 異変(3)
- 70.第五章 異変(4)
- 71.第五章 異変(5)
- 72.第五章 異変(6)
- 73.第五章 異変(7)
- 74.第五章 異変(8)
- 75.第五章 異変(9)
- 76.第五章 異変(10)
- 77.第五章 異変(11)
- 78.第五章 異変(12)
- 79.第五章 異変(13)
- 80.第五章 異変(14)
- 81.第五章 異変(15)
- 82. 第五章 異変(16)
- 83.第五章 異変(17)
- 84.第五章 異変(18)
- 85.第五章 異変(19)
- 86.第五章 異変(20)
- 87.第六章 真実(1)
- 88.第六章 真実(2)
- 89.第六章 真実(3)
- 90.第六章 真実(4)
- 91.第六章 真実(5)
- 92.第六章 真実(6)
- 93.第六章 真実(7)
- 94.第六章 真実(8)
- 95.第六章 真実(9)
- 96.第六章 真実(10)
- 97.第六章 真実(11)
- 98.第六章 真実(12)
- 99.第六章 真実(13)
- 100.第六章 真実(14)
- 101.第六章 真実(15)
- 102.第六章 真実(16)
- 103.第六章 真実(17)
- 104.第六章 真実(18)
- 105.第六章 真実(19)
- 106.第七章 闘い(1)
- 107.第七章 闘い(2)
- 108.第七章 闘い(3)
- 109.第七章 闘い(4)
- 110.第七章 闘い(5)
- 111.第七章 闘い(6)
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- 113.第七章 闘い(8)
- 114.第七章 闘い(9)
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- 116.第七章 闘い(11)
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- 118.第七章 闘い(13)
- 119.第七章 闘い(14)
- 120.第七章 闘い(15)
- 121.第七章 闘い(16)
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- 125.第七章 闘い(20)
- 126.第七章 闘い(21)
- 127.第七章 闘い(22)
- 128.第七章 闘い(23)
- 129.第七章 闘い(24)
- 130.第七章 闘い(25)
- 131.【幕間】作品解説という名の、作者の妄想ネタを吐き出す場
- 132.第八章 再会(1)
- 133.第八章 再会(2)
- 134.第八章 再会(3)
- 135.第八章 再会(4)
- 136.第八章 再会(5)
- 137.第八章 再会(6)