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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#55

第三章 神社(22)

「え? じゃあ、お兄さんは……馨さんは、いたの?」
「んー、そこまで分からん。真っ暗で全員は良く見えなかったし」
「そっか……」
「どしたー? って会ってなかったの、あの兄妹に」
 どうしてそれが分かったのだろうか。斎は時々、とてつもなく勘が鋭くなることがある。
「会ってなかったよ、二週間くらいどこかに出かけるって言ってたし」
「えっ、そうだったんだ〜、久世さんに会えないの寂しいなー、いつ頃まで?」
「えっと、斎が誘ってくる前だから、、そろそろ帰ってくるのかな」
「おおー、それは吉報」
 また久世に愛の告白もどきをするのだろうか。十中八九、汚物でも見るような目で見られて[漢字]玉砕[/漢字][ふりがな]ぎょくさい[/ふりがな]するだろう。
「……それより、どうして久世さんが新代神社にいるの?」
「さあ?知らん。こっちが聞きたいしー」
「うーん、そっか、そうなっちゃうよね、」
「ほんとだよ〜」
 ふと、あの日夏が言っていた話を思い出した。
「ねえ斎」
「んー?」
「あの日さ、僕に文出した?伝書鳩で」
「え?……へ?文?」
 斎がポカンとする。数瞬そうしていた。
「出してないよ、だいたいあの状況で出せるわけないじゃん、だから俺、あのとき凱があの場にいて、ちょーびっくりしたし」
「そっか……」
 夏も出してない。斎も出してない。他の人も出していないらしい。
 ———なら、あの文はいったい誰が出したのだろうか。
 考えようとしてみたが、答えが得られるわけがないだろうと思った。
「それじゃあ、そろそろ帰るね、さよなら」
「うーん……、じゃなー」
 凱が手を振ると斎も振り返した。

[水平線]
 母たちも戻ってきて賑やかになった時庭の邸に、来客が来たのはその翌日の朝だった。
 使用人たちが取り次ぎに行ったが、ほどなくして「凱様、早くいらっしゃいませ」と凱が呼ばれた。
 誰だろうかと凱は玄関へ歩く。———来客の顔を見て、凱は瞠目した。
 薄い橙の瞳、薄めの茶髪、すらりとした痩身の青年。
 その姿は変わらず美しく、見惚れてしまうほどだった。
「え、……馨さん?」
「こんにちは。……久しぶり、凱君」
「あ、はい。お久しぶりです」
「……どうしてそんなに固まっているの?」
 驚きで数秒か動けなくなってしまった凱に、馨が問う。
「あ、いや。突然来るとは思わなくて……!」
「あ、そっか。言ってなかったもんね、驚かせてごめんね」
 使用人に「馨様、どうぞお上がりください」と言われ、二人は場所を移動した。
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2025/11/11 14:58

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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