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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#52

第三章 神社(19)

「そうか。大丈夫そうか?誰が怪我したんだ?」
 父が尋ねる。
「軽傷なのは権[漢字]禰宜[/漢字][ふりがな]ねぎ[/ふりがな]の方が一人、巫女が四人ほど、あとは宮司が少し重傷で———」
 宮司。斎の父親だ。みんなを守ろうとして、怪我をしたのだろうか。具合はどうだろうか。命に別条はないだろうか。
「父さん、大丈夫なんですか? 他の方も……斎だって、目が覚めなくて———」
 父がこちらを向いた。
「逃げていなかったのか。それとも、逃げられかったのか? あれほどその坊を下ろせと言ったのに」
「でも———」
「大丈夫だ。お前はもう帰っていなさい。もう妖怪はいない。いいな?」
 父に強引に話を切り上げられ、素直に従うしかなかった。
「はい。……ではもう行きます」
 父は凱を[漢字]一瞥[/漢字][ふりがな]いちべつ[/ふりがな]して、うなずいた。
 凱は斎をそっと下ろし、「よろしくお願いいたします」と父の仲間に言う。彼らが二つ返事でうなずいたのを見て凱は安心し、杜の外まで駆け出した。

「———凱君!?」
 杜を出たところで、凱は誰かに呼ばれた。
 振り返ると、———夏がいた。
「どうしたの。どうしてここに。鬼は倒してくださったってさっき聞いたけれど、あなたは大丈夫なの? 夫は、宮司は私たちを庇おうとして襲われてしまって、斎は様子を見てくるって言ったきり帰ってこなくって———」
 夏は凱に駆け寄り、一気にそうまくし立てる。
「誰かから、文をもらったんです、伝書鳩で。それで心配になって見に行ったら、斎が倒れてしまっていて……結局父さんたちが来てくれて、助かりましたけど、斎はいまだに目が覚めなくて」
 一呼吸おく。夏の目を見た。
「夏さんは、大丈夫ですか?」
 凱の話を聞いて落ち着いたのか、夏は ふ、と息をついた。
「私は、大丈夫よ。でも……聞いたかしら。巫女が二人死んでしまって———」
「……聞いてます。」
 それ以外の返答を思いつけず、そう答える。
 夏は目を伏せる。悲しんでいるようだった。
 しばらくそうしていたが、何か思い出したのか、夏がはっとした顔で凱を見た。
「そういえば、伝書鳩で文を貰った、と言ったかしら?」
「……? はい。」
 夏が[漢字]怪訝[/漢字][ふりがな]けげん[/ふりがな]そうな顔をした。
「私、確かに凱君のお父様には出したけれど、凱君には出してないのよね。これ以上、被害も出したくなかったし。お父様が出したのかしら?……でも、それなら式で送るわよね、霊力者なのだし。なら、誰が出したのかしら。斎かしら」
「え……?」
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2025/11/11 14:54

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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