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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#51

第三章 神社(18)

「凱!」
 叫ぶ父を無視して走り続ける。刹那、前方に鬼がもう一体現れた。さっきと同じだ。
「———っ、は……?」
 凱がとどまる。
「鬼がもう一体だ!早く討て!私は本体を狙う!」
 ざざっと音がする。凱の方に走っているのだろう。
 だが、彼らの前にも鬼がもう二体現れ、立ちふさがる。 仲間は斬ろうとしたが、鬼は軽く避けて攻撃する。一人、怪我をした。
 それと同時に、鬼も凱に襲いかかる。
 凱が避けて走ろうとする。それでも鬼はいつまでたっても襲おうとしてきた。鬼の方が走るのは早い。すぐに追いつかれてしまうだろう。あっちこっちに逃げて、鬼を[漢字]撹乱[/漢字][ふりがな]かくらん[/ふりがな]しようとする。
 しかし逃げれば逃げるほど、鬼は何体かに分かれて迫ってきた。

[水平線]
 ———どれくらいの間、そうしていたのかはわからない。
 凱はただ逃げ回っていた。
 ふと、鬼の行方を確かめるために振り返ると、 遠くの方で父の仲間が何人か怪我しているのが見えた。生まれ持った霊力のおかげで、凱はそれなりに遠くの方もよく見える。
 がちゃん、がちゃん と刀がぶつかる音がする。
 鬼が攻撃しているのだろう———どん、どんと何かがぶつかるような音もする。
 父は凱が最初に会った、鬼たちの中でも一際大きい鬼と攻防を繰り広げていた。あれが本体なのだろう。

 がさっと空気が近くで空気が動く音がした。
(!)
 振り返らずとも、鬼の手が凱が背負っている斎の首筋に伸びたのが分かった。
 [漢字]隙[/漢字][ふりがな]すき[/ふりがな]をつかれたのか———ついに追いつかれてしまったらしい。
 凱は慌てて身をよじる。
 それでも、鬼は凱の目の前に迫ってくる。
 ———どこかで がちん、と、一際大きく音がした。
 [漢字]刹那[/漢字][ふりがな]せつな[/ふりがな]、目の前の鬼が消えて失くなった。
 困惑と安堵で父の方を見る。父が戦っていた本体であろう鬼が首を斬られて倒れている。その隣で、父が額から血を流して肩で息をしていた。
「時庭さん……!大丈夫ですか!?」
 凱が何かを言う前に、父の仲間が父に声をかける。
「なんとでもない。早めに本体を倒せてよかった」
 父さん、と凱が声をかけようとする。
「鬼は倒せましたか!? こちらは怪我人を見つけ、手当てをしているところです!」
 先ほど社務所を見に行っていた父の仲間が帰ってきたようだった。
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2025/11/11 14:53

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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