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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#50

第三章 神社(17)

(え?)
 嫌な予感がするより前に、凱の前方に———もう一体、先ほどよりは小ぶりな鬼が現れた。
(———は? え? どうしよう……!)
 挟み撃ちにされたようなものである。 逃げようとするが、案の定すぐに鬼が迫る。
 目の前に。
 もうダメだ、と思ったとき———


「凱!」
 どこからか声が聞こえた。
 父の声だと分かるのに少し時間がかかった。
 鬼も、凱から注意を[漢字]逸[/漢字][ふりがな]そ[/ふりがな]らして声の主を見る。
「凱! いるのか!」
「父さん!」
 凱も大声で返事をした。
 父が来た。父の仲間の人たちもいる。 よかった。助かった。[漢字]安堵[/漢字][ふりがな]あんど[/ふりがな]のあまり崩れ落ちそうになる。
「凱!下がってろ!」
 父に叫ばれてそちらを見ると、鬼が気を取り直したか、凱のもとに迫っていた。
 慌てて下がり、逃げる。 鬼が追おうとした。そのとき、父の仲間の一人が鬼に斬りかかる。[漢字]怯[/漢字][ふりがな]ひる[/ふりがな]んで断念したようだった。
 さらに向こうの方から援軍が来たらしく、人数が増える。
 凱は背負っていた斎を見た。
(もう、大丈夫かな、父さんたちも来たし)
 そう考え、斎を下ろした。
「斎、斎、起きて」
 揺さぶって呼んでみたが、返答はない。
「凱!他の人は!?」
 父に呼ばれる。夏たちのことを言っているのだろう 近くで鬼が父の仲間に襲いかかっている。仲間が刀を抜き、攻撃を避けながら斬る。だが、その攻撃は鬼には届いていなかった。
 凱は夏たちかどうしているかは知らない。来てすぐに杜に行ったから、彼女らの姿を見ていないのだ。どうしているのだろうかという不安がまたわいてくる。
 凱は父の方を向いて口を開こうとしたが、父は凱の方から目を逸らし、仲間に指示を飛ばす。
「おい!拝殿と社務所に行け!人がいなければ、本殿にもだ!」
 父は黙った凱を見て知らないと判断したようだった。
 父の指示にしたがって、仲間のうち一人、二人ほど出ていく。
「凱!そのお前はその小僧を置いて神社の外に出ろ!」
「斎を置いて!? でも———」
「いいから黙って出ろ!手負いで逃げる馬鹿がいるか!」
 凱は斎を見る。微動だにしない親友が心配になった。
 やっぱり、置いていけない。 斎を再び背負い、鳥居を目指して走ることにした。
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2025/11/11 14:50

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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