再び来た神社は荒れていた。
鳥居の前に来ただけで分かった。 柱が折れて、鳥居は無残に倒れ壊れている。
意を決して凱はすっと息を吸い、中に入った。
道は、手水舎が壊れている以外特に何もなかった。手水舎が壊れている時点で異常かもしれないが。
参道を急ぎ足で歩く。———不意に、背筋に凍りつくような感覚を覚えた。昨日の帰りにあった、あの感覚と同じだ。
(……!)
すぐに警戒を強くする。 早く斎の顔を見たくて、走り出した。
木が何本か倒された杜に入ると、人影が見えた。
「斎……?」
人影がこちらを見る。
「凱!?」
斎だった。とても驚いているように見える。
「こっち、こっちには———」
斎が何か叫び、そのまま倒れこんだ。
「斎!?」
斎の方に走る。その身体を抱えようとした。
先ほどから感じていた、凍ったような感覚がさらに強く感じる。
凱はそちらを振り返った。
———何かいる。
かなり大きいものであることは、影だけで分かった。恐怖が大きくなる。
「お、に……?」
それが鬼の妖怪であることに気づくのに、少し時間がかかった。
しばらく思考が停止していたらしい。 鬼がゆっくり近づいてくる。
凱は斎を抱えて後ずさった。
鬼がゆっくりと止まった。
「斎、斎、起きて」
手負いではどうにもならないと思い、斎を起こそうとする。 だが、斎は全く起きようとしなかった。
(そういえば、夏さんはどうしているだろう)
伝書鳩が来たときでは、巫女二人の死亡とあった。
夏は巫女ではない、つまりその時点では生きているということだ。
———その後、何も起こっていなければ。
起きない斎を無理やり背負う。凱は霊力者であるし、それくらいの体力はある。
しばらく留まっていた鬼が、にたあと笑ったかと思うと、凱たちに向かって走り出した。 あわてて凱も斎を背負ったまま逃げる。
(死にたくない……!)
逃げながら必死に思考を巡らせて、杜に隠れられるようなところはないかと考えた。
(……あ、確か)
杜の真ん中あたりに、根元の空いた木があったような気がする。
草も茂っていて、一見木の根元が空いていることは分からない。そこがいいかもしれない。
(確か、あっちの方にあったはず!)
凱が方向を変えて逃げ始めると———にたあと鬼はもう一度笑った。
まるで、それを予測していたかのように。
鳥居の前に来ただけで分かった。 柱が折れて、鳥居は無残に倒れ壊れている。
意を決して凱はすっと息を吸い、中に入った。
道は、手水舎が壊れている以外特に何もなかった。手水舎が壊れている時点で異常かもしれないが。
参道を急ぎ足で歩く。———不意に、背筋に凍りつくような感覚を覚えた。昨日の帰りにあった、あの感覚と同じだ。
(……!)
すぐに警戒を強くする。 早く斎の顔を見たくて、走り出した。
木が何本か倒された杜に入ると、人影が見えた。
「斎……?」
人影がこちらを見る。
「凱!?」
斎だった。とても驚いているように見える。
「こっち、こっちには———」
斎が何か叫び、そのまま倒れこんだ。
「斎!?」
斎の方に走る。その身体を抱えようとした。
先ほどから感じていた、凍ったような感覚がさらに強く感じる。
凱はそちらを振り返った。
———何かいる。
かなり大きいものであることは、影だけで分かった。恐怖が大きくなる。
「お、に……?」
それが鬼の妖怪であることに気づくのに、少し時間がかかった。
しばらく思考が停止していたらしい。 鬼がゆっくり近づいてくる。
凱は斎を抱えて後ずさった。
鬼がゆっくりと止まった。
「斎、斎、起きて」
手負いではどうにもならないと思い、斎を起こそうとする。 だが、斎は全く起きようとしなかった。
(そういえば、夏さんはどうしているだろう)
伝書鳩が来たときでは、巫女二人の死亡とあった。
夏は巫女ではない、つまりその時点では生きているということだ。
———その後、何も起こっていなければ。
起きない斎を無理やり背負う。凱は霊力者であるし、それくらいの体力はある。
しばらく留まっていた鬼が、にたあと笑ったかと思うと、凱たちに向かって走り出した。 あわてて凱も斎を背負ったまま逃げる。
(死にたくない……!)
逃げながら必死に思考を巡らせて、杜に隠れられるようなところはないかと考えた。
(……あ、確か)
杜の真ん中あたりに、根元の空いた木があったような気がする。
草も茂っていて、一見木の根元が空いていることは分からない。そこがいいかもしれない。
(確か、あっちの方にあったはず!)
凱が方向を変えて逃げ始めると———にたあと鬼はもう一度笑った。
まるで、それを予測していたかのように。
- 1.第一章 始まり(1)
- 2.第一章 始まり(2)
- 3.第一章 始まり(3)
- 4.第一章 始まり(4)
- 5.第一章 始まり(5)
- 6.第一章 始まり(6)
- 7.第一章 始まり(7)
- 8.第一章 始まり(8)
- 9.第一章 始まり(9)
- 10.第一章 始まり(10)
- 11.第一章 始まり(11)
- 12.第一章 始まり(12)
- 13.第一章 始まり(13)
- 14.第二章 彼の妹(1)
- 15.第二章 彼の妹(2)
- 16.第二章 彼の妹(3)
- 17.第二章 彼の妹(4)
- 18.第二章 彼の妹(5)
- 19.第二章 彼の妹(6)
- 20.第二章 彼の妹(7)
- 21.第二章 彼の妹(8)
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- 24.第二章 彼の妹(11)
- 25.第二章 彼の妹(12)
- 26.第二章 彼の妹(13)
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- 29.第二章 彼の妹(16)
- 30.第二章 彼の妹(17)
- 31.第二章 彼の妹(18)
- 32.第二章 彼の妹(19)
- 33.第二章 彼の妹(20)
- 34.第三章 神社(1)
- 35.第三章 神社(2)
- 36.第三章 神社(3)
- 37.第三章 神社(4)
- 38.第三章 神社(5)
- 39.第三章 神社(6)
- 40.第三章 神社(7)
- 41.第三章 神社(8)
- 42.第三章 神社(9)
- 43.第三章 神社(10)
- 44.第三章 神社(11)
- 45.第三章 神社(12)
- 46.第三章 神社(13)
- 47.第三章 神社(14)
- 48.第三章 神社(15)
- 49.第三章 神社(16)
- 50.第三章 神社(17)
- 51.第三章 神社(18)
- 52.第三章 神社(19)
- 53.第三章 神社(20)
- 54.第三章 神社(21)
- 55.第三章 神社(22)
- 56.第三章 神社(23)
- 57.第四章 別れ(1)
- 58.第四章 別れ(2)
- 59.第四章 別れ(3)
- 60.第四章 別れ(4)
- 61.第四章 別れ(5)
- 62.第四章 別れ(6)
- 63.第四章 別れ(7)
- 64.第四章 別れ(8)
- 65.第四章 別れ(9)
- 66.第四章 別れ(10)
- 67.第五章 異変(1)
- 68.第五章 異変(2)
- 69.第五章 異変(3)
- 70.第五章 異変(4)
- 71.第五章 異変(5)
- 72.第五章 異変(6)
- 73.第五章 異変(7)
- 74.第五章 異変(8)
- 75.第五章 異変(9)
- 76.第五章 異変(10)
- 77.第五章 異変(11)
- 78.第五章 異変(12)
- 79.第五章 異変(13)
- 80.第五章 異変(14)
- 81.第五章 異変(15)
- 82. 第五章 異変(16)
- 83.第五章 異変(17)
- 84.第五章 異変(18)
- 85.第五章 異変(19)
- 86.第五章 異変(20)
- 87.第六章 真実(1)
- 88.第六章 真実(2)
- 89.第六章 真実(3)
- 90.第六章 真実(4)
- 91.第六章 真実(5)
- 92.第六章 真実(6)
- 93.第六章 真実(7)
- 94.第六章 真実(8)
- 95.第六章 真実(9)
- 96.第六章 真実(10)
- 97.第六章 真実(11)
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- 100.第六章 真実(14)
- 101.第六章 真実(15)
- 102.第六章 真実(16)
- 103.第六章 真実(17)
- 104.第六章 真実(18)
- 105.第六章 真実(19)
- 106.第七章 闘い(1)
- 107.第七章 闘い(2)
- 108.第七章 闘い(3)
- 109.第七章 闘い(4)
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- 130.第七章 闘い(25)
- 131.【幕間】作品解説という名の、作者の妄想ネタを吐き出す場
- 132.第八章 再会(1)
- 133.第八章 再会(2)
- 134.第八章 再会(3)
- 135.第八章 再会(4)
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- 137.第八章 再会(6)