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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#49

第三章 神社(16)

 再び来た神社は荒れていた。
 鳥居の前に来ただけで分かった。 柱が折れて、鳥居は無残に倒れ壊れている。
 意を決して凱はすっと息を吸い、中に入った。
 道は、手水舎が壊れている以外特に何もなかった。手水舎が壊れている時点で異常かもしれないが。
 参道を急ぎ足で歩く。———不意に、背筋に凍りつくような感覚を覚えた。昨日の帰りにあった、あの感覚と同じだ。
(……!)
 すぐに警戒を強くする。 早く斎の顔を見たくて、走り出した。


 木が何本か倒された杜に入ると、人影が見えた。
「斎……?」
 人影がこちらを見る。
「凱!?」
 斎だった。とても驚いているように見える。
「こっち、こっちには———」
 斎が何か叫び、そのまま倒れこんだ。
「斎!?」
 斎の方に走る。その身体を抱えようとした。
 先ほどから感じていた、凍ったような感覚がさらに強く感じる。
 凱はそちらを振り返った。
 ———何かいる。
 かなり大きいものであることは、影だけで分かった。恐怖が大きくなる。
「お、に……?」
 それが鬼の妖怪であることに気づくのに、少し時間がかかった。

 しばらく思考が停止していたらしい。 鬼がゆっくり近づいてくる。
 凱は斎を抱えて後ずさった。
 鬼がゆっくりと止まった。
「斎、斎、起きて」
 手負いではどうにもならないと思い、斎を起こそうとする。 だが、斎は全く起きようとしなかった。
(そういえば、夏さんはどうしているだろう)
 伝書鳩が来たときでは、巫女二人の死亡とあった。
 夏は巫女ではない、つまりその時点では生きているということだ。
 ———その後、何も起こっていなければ。
 起きない斎を無理やり背負う。凱は霊力者であるし、それくらいの体力はある。

 しばらく留まっていた鬼が、にたあと笑ったかと思うと、凱たちに向かって走り出した。 あわてて凱も斎を背負ったまま逃げる。
(死にたくない……!)
 逃げながら必死に思考を巡らせて、杜に隠れられるようなところはないかと考えた。
(……あ、確か)
 杜の真ん中あたりに、根元の空いた木があったような気がする。
 草も茂っていて、一見木の根元が空いていることは分からない。そこがいいかもしれない。
(確か、あっちの方にあったはず!)
 凱が方向を変えて逃げ始めると———にたあと鬼はもう一度笑った。
 まるで、それを予測していたかのように。
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2025/11/11 14:49

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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