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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#44

第三章 神社(11)

「そういや凱の姉ちゃん来ないの?」
「あー、うん。来ないことになっちゃった」
 ひたすら遠慮していた姉の姿を思い出し、何とも言えない気持ちになった。
「ええ〜 残念〜、会えると思ってたのに〜」
「どうせ手伝い要員にする予定だったんでしょ」
「手伝い要員じゃなくてちょっとお力添えいただこうかと……」
「だからどっちも一緒だって」
 昨日と同じ言い訳に、昨日と同じ突っ込みをする。
「あと美人だったらいいなーって」
「……斎って面食いなの?」
 ちなみに、斎は [漢字]朝水[/漢字][ふりがな]あさみ[/ふりがな]に会ったことはない。
「んー、どうだろな〜?」
 そんなことを話していると、「斎!何やってるの!」と女性の怒号が聞こえてきた。
 斎が顔を真っ青にして、先ほどすっ飛ばした箒を手に取る。
 そしてあたかも今まで真面目にやっていたかのように急いでやり始めた。
 おそらく斎の母親だろう。ちなみに、斎の母は 夏 という名である。
 彼女は猛然とこちらに駆け寄って、そして凱に気づいた。
「あら、凱君じゃない」
 話しかけられて、頭を下げて挨拶をする。
「こんにちは、夏さん」
「こんにちは。いつもうちの馬鹿息子がお世話になっています。」
 馬鹿息子、と言いながら斎を ものすごい勢い……というか剣幕で睨みつつ、夏は優雅に礼をする。
「それで、凱君は遊びに来てくれたの? 斎は何も教えてくれなかったけど」
 そう言いつつ、夏は再びものすごい勢いというか剣幕で斎を睨む。
「あ、はい。友達だから、家にも来たらって」
「あら、そうなの。」
 夏はうなずき、斎を見た。
「てっきり私、斎のことだから、凱君に自分が食らった罰でも手伝わせようかとか考えてるんじゃないかって思ったけれど、思い違いだったようね」
 さすがは斎の母親というべきか、夏はあっさりと図星を言い当てた。
(思い違いじゃないです、夏さん)
 隣の斎を見る。明らかに動揺していた。
「まあ、ちょっと不意打ちだったとはいえ、せっかく来てくださったのですからね、何か出しましょう。安っぽいものしかないのだけれど。……斎、凱君を案内してらっしゃい、罰は先延ばしにしますから」
「ええっ、いいの!?」
「今回だけですよ、あなたみたいな問題児を体現したような子と仲良くしてくださる人だなんて、貴重でしょう」
「よっしゃ!母ちゃん大好き!そんじゃ凱行くぞー!」
 斎が再び箒をすっ飛ばし、凱の手を引いて行こうとする。
 その背後から、「斎! 箒を片づけなさい! 物を飛ばさない! 大事に扱いなさい!」と夏の怒声が飛んできた。
 それに斎が「ええ〜」と不満げにしながら、箒を拾い、片付け始めた。
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2025/11/11 14:36

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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