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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#40

第三章 神社(7)

 家に帰ると、母や親戚たちが大勢で賑わっていた。
「何かあったんですか?」
 背後から凱が聞くと、皆が振り返った。
「あ、凱様。おかえりなさいませ」
「おかえりなさいませ」
 親戚たちが姿勢を正して礼をする。
「あら、凱。おかえりなさい。あのね、皆で、明後日から旅行に行かないかって決めているのよ。龍二さんにも許可はもらったし、あなたも一緒に来ないかしら」
 母がにこにこと機嫌良さげに言う。どうも旅行にいく話になっていたらしい。
 凱の知らないところで話が進むものなのだろうか。きっと今日、急に決まったことなのだろう。
 旅行、と聞いて凱はふと馨を思い出した。
 馨は二週間ほど妹の久世と出かける、と言っていたが、どこに行っているのだろうか。
「どれくらいの間、行くんですか」
 特に理由はなかったが、なんとなく聞いてみる。
「うーん、一週間くらいかしら」
 一週間。それなら、馨が帰ってくる頃には戻ってこられるだろう。
(どうしようかな)
 母たちと一緒に行くか、家で待っているか。
 ふと気づく。
(……あ。姉さんはどうするんだろう。)
 姉を毛嫌いしている母や姉を[漢字]蔑[/漢字][ふりがな]ないがし[/ふりがな]ろにしている親戚たちが、一緒に連れていくとはとても思えない。留守番だろう。
「誰が行くんですか」
「私と、この人たち皆よ」
 つまり、ほとんどの親戚たちは母についていくらしい。そうすると、残るのは普段姉の手助けをしている者ばかりだろう。
(じゃあ留守番にした方が、姉さんと話せるかな)
 そう考えて、口を開く。
「なら、留守番します。最近は課題や授業の復習で、忙しいから」
 とりあえずそう言い訳した。
「そう?なら、私たちで行きましょうか。凱、留守番よろしくね」
 母も凱の言い訳———というか嘘をそのまま信じたようで、特に深く追及しなかった。
「はい、母さん」
 凱はうなずき、足早にその場を離れて自室へ向かった。
「凱様もいらっしゃれば良いのに」とか「残念だわ」などと言う声が背後から聞こえた。
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2025/11/11 14:32

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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