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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#29

第二章 彼の妹(16)

「———[漢字]久世[/漢字][ふりがな]くぜ[/ふりがな]?どこにいたの?心配したんだけど、」
 馨の声が聞こえた。女性が振り向く。どうも、[漢字]久世[/漢字][ふりがな]くぜ[/ふりがな]という名前らしい。
「……兄さん」
 女性———久世が馨を見る。馨も久世の顔を見つけ、安堵したような表情を浮かべた。
「ちょっと心配したんだよ。[漢字]逢魔時[/漢字][ふりがな]おうまがとき[/ふりがな]に帰るって言っていたのに、ちっとも帰ってこないからさ。久世なら大丈夫かなとは思ってたけど——」
 馨がこちらを見た。案の定というか、驚いた顔をする。
「え? 凱君に、斎君? どうして二人とも、ここにいるの?」
 凱が答えようとすると、久世が口を挟んだ。
「この子達、兄さんの知り合いって本当? だいたいこの子達、舞鶴を追いかけ回してたのよ。特にこの子なんて、前も追いかけ回してたし」
 この子、と言いながら、久世は斎を指差す。はあ、と大きくため息をついた。
「兄さまはいったい、子どもにどんな教育をしているのよ?」
「教育と言われても。俺、教師でもなんでもないんだけど」
 馨が困ったように苦笑して言う。久世が不機嫌そうに再びため息をつく。
「分かった。分かったから、ちゃんと言い聞かせるから、元気出して、ね、久世」
 馨が[漢字]慰[/漢字][ふりがな]なぐさ[/ふりがな]めるように久世の頭を[漢字]撫[/漢字][ふりがな]な[/ふりがな]でた。これでは子ども扱いではないかと凱は思う。
 ただ、二人の様子を見るに、仲の良い兄妹なのだろう。顔立ちもやはりよく似ている。
「久世さんっていうのか〜。めっちゃ美人じゃーん、ねー俺と付き合ってください!」
 黙っていた斎が突然、愛の告白らしきことをする。
 あまりに突然すぎて、凱はぎょっとしてしまった。
 久世が振り返る。汚物でも見るような目で斎を見た。
「……久世、そんな顔しない。いくら嫌でも、そんな顔しない」
 馨が苦笑しつつたしなめた。
「本当に兄さま、子どもにどんな教育をしていたの?」
 久世が[漢字]辟易[/漢字][ふりがな]へきえき[/ふりがな]としたように言う。
 馨は久世から視線を逸らし、凱と斎に向き直った。視線を揃えるように、腰を少しかがめた。
「ねえ、もう暗いけど、大丈夫? 二人とも、一人で帰れる?」
「俺は近いから大丈夫だよ〜」
 斎が答える。
「凱君は? 家、遠いでしょ?」
「あ……大丈夫です。帰れます。」
 凱の回答を聞くと、「そう」とだけ言い、馨は立ち上がった。
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2025/11/09 12:40

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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