文字サイズ変更

【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#28

第二章 彼の妹(15)

「あなたは?」
 聞かれ、言葉に詰まり、なんとか声を[漢字]絞[/漢字][ふりがな]しぼ[/ふりがな]り出した。
「え、えっと、綺麗な人が飼ってる烏がいるって聞いて……」
「飼ってない。[漢字]使役[/漢字][ふりがな]しえき[/ふりがな]してるの」
 途端に否定された。どっちも同じような気がするが。女性は再び斎に顔を向けた。
「あなたは? 同じ?」
「あ、あ、はい……」
 斎がしどろもどろにうなずく。
 何も言わず、女性が腕を軽く振った。
 すると、重苦しい空気が消える。それと同時に、縛られているような感覚も消えた。
 斎のもとに駆け寄った。
 女性の顔がようやく見える。それを見て、凱は目を見開いた。
 歳は十代後半ぐらいだろう、まだ少女らしさの残った美しい面立ち。色白の顔。すっと通った鼻筋。冷たく、二人を見据えた瞳。後ろに結った、背中まである髪。
 ———薄い茶髪に、薄い[漢字]橙[/漢字][ふりがな]だいだい[/ふりがな]の瞳。
 彼女こそが———斎の言っていた馨の姉妹らしき女性なのだろう。
 凱がじっと見ていると、女性がそれに気づく。
「何?」
「あ、えっと、お名前なんですか?」
「あなたに言う必要ある?」
 [漢字]喧嘩腰[/漢字][ふりがな]けんかごし[/ふりがな]で返された。
「あ、いや、えっと……知り合いに似てるような気がして……」
 女性が[漢字]怪訝[/漢字][ふりがな]けげん[/ふりがな]そうな顔をして凱を見る。
「……知り合い?」
「あ、はい。えっと、内海馨さんって人なんですけど……ご姉妹ですか?」
 女性が目を見開く。
「……馨、っていうなら、私の兄ですが」
 ———馨の妹だったのか。あっさりと答えが出たことにも、凱は驚いた。
「あ、あの、お名前はなんですか?」
「あなたに言う必要ある?」
 また質問すれば、また同じ回答が返ってきた。とりつく島もないとはこのことだろうか。
「え、えっと……」
「———馨さんの妹なの!? 通りでそっくりだと思った! え、何? 名前何なの!?」
 黙っていた斎が横から口を挟む。
 さっきまでこの女性に怯えていたような気がするが、その恐怖心はどこへ行ったのだろうか。
 それより、さっきまでの凱とこの女性の会話を聞いていたのだろうか。
「なんであなたに言わなきゃいけないの?」
「なんでそんなに喧嘩腰なの!? 俺らなんかやっちゃった!?」
 女性が[漢字]呆[/漢字][ふりがな]あき[/ふりがな]れたように息をつく。確かに『なんか』しかやっていない。
「名前が無理なら……そうだ! 何歳なの!?」
「言わないわよ。だいたい、女性に年齢を聞くのは失礼だと思うけど」
 馨もあまり自分のことを話さないが、その妹はさらに話さない。そして、見る限り口数も兄に比べて少ないのだろう。
ページ選択

2025/11/09 12:39

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
コメント

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権は錦野 真名さんに帰属します

TOP