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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#27

第二章 彼の妹(14)

「よしじゃあ獲ろうぜっ……って俺虫取り網持ってきてねえ! 今から取ってくるわ!」
 そう言って斎は家に戻ろうとする。その袖を慌てて[漢字]掴[/漢字][ふりがな]つか[/ふりがな]んだ。
「取らなくていいよ! どうせ、虫取り網でこの鳥は獲れないんだし」
 前の失敗を斎は忘れてしまったんだろうか。しかも、ただでさえ普通の鳥でも網で獲れるとは思えないのに、これほど大きければ尚更だろう。
「あーそっか! それじゃあ———」
 わー〜ーと大声を上げながら斎は烏を追いかける。烏はバサバサを大きな[漢字]翼[/漢字][ふりがな]つばさ[/ふりがな]を広げて逃げた。
 凱はその様子をきょとんとしながら見ていた。
 しばらく一人と一羽は追いかけっこをする。
「しめたっ! 捕まえ———ぎゃあっ!」
 斎が烏の翼の端を掴むが、烏が思い切りそれを払い除けた。
 ……それより本来の目的は 烏の飼い主と会うことではなかったか。まああの斎のことなので、すっかり忘れてしまっているだろう。

[水平線]
 斎と烏の攻防が繰り広げられ、凱はそれを見物する。
 このような状況が[漢字]四半刻[/漢字][ふりがな]30分[/ふりがな]ほど続いたとき———どこからか、バチン、と音がした。
 斎の体が、転がる。
 凱も縛られたように体が動かなくなり、固まった。
 さあ、と辺りが静まった。
 斎から解放された烏が静寂の中でバサバサと音を立てて飛んでいき、降り立った。
 その方向に視線だけを向けると、人影がある。その肩に烏が止まっていた。
 ゆっくりと人影が動く。近くまで来て、ようやく女性だと分かった。
 だが、女性であること以外分からない。
 その女性が、斎の近くまで行った。
 斎が、視線を彼女に向ける。
 そのまま、女性は立ち止まった。


 どのくらいの間、そうしていたのだろう。長かったような気がするが、実際は短かったかもしれない。
 女性が、ゆっくりと唇を動かした。
「あなたさ、この前もいたよね。どういうつもり? もう[漢字]舞鶴[/漢字][ふりがな]まいづる[/ふりがな]に近づくなって言ったと思うんだけど」
 あの烏は舞鶴というのか。異様な雰囲気からか、斎の[漢字]怯[/漢字][ふりがな]おび[/ふりがな]えようがひどい。
「え、えっと……」
 斎の答えを待たず、女性がこちらを向いた。暗くて顔はよく見えない。
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作者メッセージ

そういえばコメント来てくれてました、ありがとうございます!

2025/11/09 12:39

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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