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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#26

第二章 彼の妹(13)

 その日、学校が終わるとすぐに斎と合流した。
 斎の家の近くの小山、そこは例の夏祭りの会場である。
「鳥が出てくるの、夜だからさ、それまでどっかの店で飯食ってようぜ!」
 凱はうなずこうとして、疑問に思い、斎に聞く。
「斎の家の近くだよね? 斎の家で食べないの?」
「別にいいけどさぁ……俺ん家、[漢字]精進[/漢字][ふりがな]しょうじん[/ふりがな]料理みたいな飯しか出てこねーんだよ、しかも客呼ぶときは自分で飯作れって言われるしぃ……」
 斎は少し歯切れ悪く答えた。
「そっか……じゃあ、どこか店探そうか」
凱がそう言うと おう!と斎が答える。二人で歩き始めた。

 店は案外すぐに見つかった。しかも、まだ珍しい洋食の店である。
 斎はカレー、凱はオムライスを頼み、食べた。
 斎はもちろん、凱も基本ほとんど洋食を食べないため、とても楽しかった。斎はいつも通り……というかいつも以上に騒がしくして他の客に叱られていたが。
 とりあえずあっという間に食べ終え、会計を済ませて外に出た。
「いやー、美味かったな!もっと早く食べに来りゃよかった〜」
 [漢字]呑気[/漢字][ふりがな]のんき[/ふりがな]にそう言う斎を、凱は横目で[漢字]睨[/漢字][ふりがな]にら[/ふりがな]んだ。
「……斎はうるさいよ。もうちょっとおとなしく食べられないの?」
「え? 俺そんなにうるさかった?」
 目をぱちくりとする友人に凱はため息をつく。
「それよか凱、そろそろいい時間じゃね? 早く行くぞ!」
 分かりやすく斎は話を逸らした。見れば既に日は落ちかけている。
 ばたばたと走っていく斎を、慌てて凱は追いかけた。

 やがて例の鳥がいるという小山に着いた。
 斎がきょろきょろと周囲を見渡す。
 しばらく斎はそうしていて、「おっ、いた!」と声を上げた。
 その方向を見ると、確かに鳥がいた。真っ黒で、端から見るとただの烏のようにも見える。
 だが、その体は異常に大きく——そして足が三本あった。
「[漢字]八咫烏[/漢字][ふりがな]やたがらす[/ふりがな]……?」
 思わず凱はつぶやいた。隣で斎がきょとんとする。
「やたがらす? なんだそれ?」
「八咫烏だよ、太陽の化身ともいわれていて、導きの神として信仰されている——って斎は神社のお坊ちゃんだよね? どうして八咫烏を知らないの?」
「んー、そう言われてみれば、聞いたことがないこともないような……だけど俺、そういうことは聞いた瞬間忘れてまうからなー、つまらんのだ、あーゆーの」
 神社の跡取りがそれで良いのだろうか。先が思いやられる。
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2025/11/07 14:47

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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