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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#24

第二章 彼の妹(11)

「すみません。分からないです。でも、凱様を訪ねにいらっしゃる方でしょうか?」
 定期的に誰かが時庭家に訪ねてきていることを、姉は知っていたらしい。だが、その訪問者については知らないようだった。
 姉には貰う権利がある、馨のその言葉がずっと凱は引っかかっていたが———。
「そっか……ちょっと謎の多い人だから、聞いてみたんだけど」
「すみません」
「謝らなくていいよ、ありがとう」
 そう言うと、姉はかすかに目を伏せた。
「あの、この手巾、返します」
 どこか言いづらそうに、姉は続ける。
「あと……気を遣って、私を訪ねて来られなくても、大丈夫ですから。」
 この言葉に、凱はきょとんとした。
「え?……母さんか誰かに、知られたの? 何か言われたの?」
「いえ、そうではなくて……」
 姉は言い[漢字]淀[/漢字][ふりがな]よど[/ふりがな]んで、[漢字]俯[/漢字][ふりがな]うつむ[/ふりがな]く。
 凱は頭の中であれこれ言葉を選んで、
「姉さん、これからも来てもいい? やっぱり僕、姉さんと仲良くなりたい」
 と言った。
「え?」
 姉が[漢字]呆[/漢字][ふりがな]ほう[/ふりがな]けた顔をする。
「みんないろいろ言っているけど、僕は姉さんのこと、嫌いでもなんでもないから、」
 ここで区切るには言葉が足りないと思い、次の言葉を考える。
「だから、これからも来てもいい? 姉さんと、仲良くなりたいから。」
 姉が俯いて、しばらく[漢字]逡巡[/漢字][ふりがな]しゅんじゅん[/ふりがな]するような顔をする。そして、[漢字]微[/漢字][ふりがな]かす[/ふりがな]かに[漢字]頷[/漢字][ふりがな]うなず[/ふりがな]いた。

[水平線]
「——ねーねー[漢字]凱[/漢字][ふりがな]かい[/ふりがな]聞いて聞いて!なんかさなんかさー」
 翌日の学校。相変わらず[漢字]斎[/漢字][ふりがな]いつき[/ふりがな]が騒がしく話しかけてくる。
「何なのもう。[漢字]鼓膜[/漢字][ふりがな]こまく[/ふりがな]が破れるから、耳のそばで大声出さないでくれない?」
 凱が耳を押さえながら斎を見上げる。
「わかたわかた。そんでさ、昨日家の近くの小山でめっずらしい鳥見つけてさー、」
「……本当に分かってるの?」
「うるさーい、それでそれで、俺その鳥を飼おうとしたんだよなー、こうやって、虫取り網でさくっと獲って」
「……虫取り網で、鳥って捕まえられるの?」
 虫を捕まえるような身振りをする斎に問いかける。
「それがさー、無理だったんだよなー、一回引っかかったんだけどさ、なんかこう、さくっと食い破られちゃってさ。それに、大きすぎて網に入んなかったし」
「そりゃそうだろうね」
 凱は半ば呆れる。どうして虫取り網で鳥が[漢字]獲[/漢字][ふりがな]と[/ふりがな]れると思ったのだろうか。
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2025/11/07 14:08

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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