文字サイズ変更

【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#20

第二章 彼の妹(7)

「そっか……そう、そうだよね、じゃあ、また今度にしようか」
 ずっと食卓を囲まない、というのは嫌だった。どれだけ[漢字]姉弟[/漢字][ふりがな]きょうだい[/ふりがな]らしくなくても、姉が時庭の娘として扱われていなくても、凱にとってはたった一人の姉なのだから。
 凱の言葉に、姉は驚いたようだった。ぎゅっと唇を引き結び、俯く。
「じゃあまたね、姉さん。あ、これ、返すね、姉さんが貰ったんでしょう」
 そう言って、凱は鏡を姉に渡す。恐る恐る受け取られた。一瞬、姉の[漢字]手許[/漢字][ふりがな]てもと[/ふりがな]が見える。
(———っ、)
 姉の手首の細さに驚いた。まともなものを食べてないのだろう。弟として、姉を見ようとしなかった自分が情けなく思われた。
 では、と頭を下げて、逃げるように凱はその場を離れた。

[水平線]
 それ以来、[漢字]凱[/漢字][ふりがな]かい[/ふりがな]は母の目を盗んで時折姉に食べ物や菓子を持っていくようになった。
 できればもっと話してみたいとも思ったが、姉はあまり凱と話そうとしなかった。
 無理矢理話してもらうのも気が引けたので、時間をかければいいと思う。

 そうやって過ごすうちに一週間近い時間が経った。
 この日は珍しく、霊力を受け継ぐ家の間で会議があるとかなんとかで、父も母もいない日となった。当主夫妻で参加するらしい。さらに[漢字]時庭[/漢字][ふりがな]ときにわ[/ふりがな]家は霊力を受け継ぐ家でも特に大きな家だからということで、一部の親戚たちも参加している。
 そういうわけで、今、[漢字]邸[/漢字][ふりがな]やしき[/ふりがな]には人は少なかった。
 玄関のあたりで「お邪魔します」という声が聞こえた。
「[漢字]馨[/漢字][ふりがな]かおる[/ふりがな]さん、こんにちは」
「凱君、こんにちは」
 いつも通りの挨拶をして、応接間に通した。
「今日は、人が少ないね」
 周りを見渡して、馨がいう。
「あ、はい。なんだか、会議があるとかで、、両親はいないです」
「そっか……あ、凱君は参加しないの? 本家の跡取りでしょ?」
「しないです。そういうのに参加できるのは、十五からで」
「へー、そうなんだ」

「ご両親がいないから、この際聞くけどさ」
「あ、はい」
 慌てて凱は顔を上げた。
ページ選択

2025/10/27 15:54

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
コメント

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権は錦野 真名さんに帰属します

TOP