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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#18

第二章 彼の妹(5)

「今日は奥様がいないからって、調子乗ってんじゃないわよ!あとで言いつけますから!」
 奥様、という単語が出た途端、凱の喉が干上がったのが分かった。
 しかしあの時とは違い、今日は母はいないらしい。出かけたのだろう。そういえば、今日は友人が主催するパーティーに行って遅くまで帰らないと聞いたような。
「……何か、あったの?」
 少しだけ安心する。いつもは見て見ぬふりをして通り過ぎるのだが、今日は声と勇気を振り絞って[漢字]尋[/漢字][ふりがな]たず[/ふりがな]ねた。
 親戚と姉の視線がこちらへ向く。
「凱様、」
 二人とも驚いたようだった。
「えっと、何かあったの?」
 もう一度聞いてみる。親戚が目を見開き、[漢字]憤慨[/漢字][ふりがな]ふんがい[/ふりがな]した様子で姉を見、その高価だというものを姉から奪った。
「この人が、こんなものを持っているんですよ!何処の人がこんな出来損ないにやるのですか!きっと、誰かから奪ったのよ!」
 そう言って頭を床につけて謝っている姉の手を踏みつける。
「……とりあえずさ、それ、僕にちょうだい」
 息苦しくなるのを[漢字]堪[/漢字][ふりがな]こら[/ふりがな]えてそう言って、例の高価なものを手に取る。親戚は素直に応じた。
 少し大ぶりな、美しい鏡だった。装飾が見事で、光にかざすと、きらきらと光る。
 いろいろな方向で光にかざしてみて——気づく。
(字……?)
 鏡に字が浮かんでいた。
 さらにかざしてよく見てみると、『かおるへ』と書いてあった。
(……! 馨さん……!?)
 では、馨が姉に渡したのか。しかし、いつ渡したのだろう。凱や母に知られず、こっそり会ったのか。だが訪問するときは、ずっと凱と一緒にいたから、姉に会う時間はなかったはずだ。
 他にも何か書かれてある。さらにいろいろな角度で試してみると、全文は読み取れないが、『だいすき』、『げんきでね』、『なかよくね』、『おかあさんより』などとと書かれてあるのが見て分かった。
 まさか本当に姉が、馨かまたは別の誰かから奪ったわけではないだろう。姉から話を聞こうか。そのためにはこの親戚には離れてもらわなければならない。
 凱は、二人に向き直った。
「あの、とりあえず姉さんと二人にしてくれない? あと、母さんにはこのこと、黙っておいてもらえる?」
 そういうと、親戚は不愉快そうに眉をひそめた。ただ、さすがに本家の長男に物申すことはできなかったのだろう、「分かりました」と言い、出ていった。
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2025/10/23 14:42

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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