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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#16

第二章 彼の妹(3)

 次の日、凱の姿は中学校にあった。
 きょろきょろと周りを見回していると、「おーい」という声が聞こえた。斎だ。
 ばたばたと走ってきたかと思えば、どんっと体当たりしてくる。その勢いで凱はよろけた。
「ちょ、ちょっと、危ないから、斎」
 慌てて斎を押し返す。
「えー、いいじゃん別にー」
 ぶーと斎が頬を膨らませる。まるで小さな子どものようだ。凱が先に歩き、斎が慌てて隣に並んだ。
「———そんでさー、母ちゃんが俺のこと追いかけ回すんだ〜、大変でしょ俺〜?」
 おしゃべり——といってもほとんど斎の[漢字]愚痴[/漢字][ふりがな]ぐち[/ふりがな]を聞いているだが——をしながら歩く。
 愚痴にいちいち[漢字]頷[/漢字][ふりがな]うなず[/ふりがな]いていられるほど凱は[漢字]暇[/漢字][ふりがな]ひま[/ふりがな]ではないので適当に聞き流す。
「っていうか凱、ちゃんと聞いてるー?」
「聞いてる聞いてる」
「えぇ? 聞いてないだろー? じゃあさっき俺が話した内容はなーんだー?」
 あまり聞いていなかったので覚えていない。笑って[漢字]誤魔化[/漢字][ふりがな]ごまか[/ふりがな]した。
「あ、今誤魔化したな〜」
 斎の文句のようなものを聞き流しながら歩き、教室の中に入る。

 教室に入ったその途端——どかん、と音がして、[漢字]凱[/漢字][ふりがな]かい[/ふりがな]の脳天に衝撃が走った。
 足元のあたりの床が水でぶちまけられる。
 げっ、と斎が声を上げた。ずきずき痛む頭を押さえて、凱は振り返った。
「この前の不発の[漢字]水爆弾[/漢字][ふりがな]みずばくだん[/ふりがな]、まだ残ってたんだ〜、ごめーん凱、悪気はなかったんだ〜」
 斎が全く謝罪の意のこもっていない声で言う。
 そういえば、[漢字]此奴[/漢字][ふりがな]こいつ[/ふりがな]が『学校一の[漢字]悪餓鬼[/漢字][ふりがな]わるがき[/ふりがな]』であるのを忘れてた。
 じろりと斎を[漢字]睨[/漢字][ふりがな]にら[/ふりがな]む。斎が肩を縮めながらもへらへらした目で見返してきた。
「……せめて片付けなよ、斎。先生の来る前に」
「ええーめんどくさー、いつも先生がやってくれるから、やってなかったんだー」
「本当にもう……僕も手伝うから」
「いーやーだーやりたくない〜」
 睨むだけで終わらせようと思っていたが、本当に殴ってもいいだろうか。

 そんなことを考えていると、「おい」と後ろから声がした。教師だ。
 凱はほっとした顔で、斎は引き[漢字]攣[/漢字][ふりがな]つ[/ふりがな]った顔で振り向く。
「……これはどういうことだ?」
「えっと、僕が教室に入ろうとしたときに、斎が前に仕掛けた[漢字]悪戯[/漢字][ふりがな]いたずら[/ふりがな]が発動したんです」
凱は単純明快に簡潔に教師に説明する。
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2025/10/23 14:39

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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