「……馨さん?」
思わず、馨に声をかけた。馨がこちらを向く。
「どうしたの? 凱君」
「あ、いえ……なんか、大丈夫かな、って」
予想通り、「大丈夫だよ」という回答が返ってきた。
「どうかしたの? 凱」
その様子を見ていた母が声をかける。
「あ、……何でもない、です」
そう、と母が言った。
しばらく無言で、今度は父が口を開く。
「しかし、綺麗な方だね。このような容姿の人間は、この国でも少なかろう」
「そうですね」
父が馨に話しかけるが、馨は淡々と応じるだけだった。
そのあとしばらく話し、馨は帰ることとなった。
仕事のある父と、親戚と話す予定のある母は見送りに出ず、凱だけが見送ることになった。
「じゃあ、さようなら、凱君」
そう言って馨は帰ろうとする。慌てて呼び止めた。
「あの、僕、門の前まで見送ってきます」
そう言うと馨は少し目を[漢字]瞠[/漢字][ふりがな]みは[/ふりがな]った。
「そう?じゃあ、お願いしようかな」
そう言われ、二人で家の門まで歩いた。
父も母も、この場にはいない。思い切って、凱は気になっていたことを聞いてみることにした。
「……あの、馨さんは僕の父さんと母さんのこと、好きじゃないんですか?」
聞かれて、馨が歩みを止めたのが分かった。恐る恐る見上げる。それに気づいているのかいないのか、馨はふっと表情を消し、空中に視線を投げた。何かを言おうとして、そのまま止まる。
やがて馨は口を開いた。
「あんまり、好きではない、かな」
そう言って、再び歩き始めた。
「そう……ですか」
感じからして、薄々察していたことだった。そのうちに、門の前に着いた。馨が振り返る。
「凱君のことは、嫌いじゃないよ、関係ないから」
「関係ない……?」
「うん、関係ない。だから、何も気に病まなくていいよ」
『気に病まなくていい』 前に、斎にもそう言われた気がする。
「あの、理由を聞いてもいいですか?」
はいそうですか、で済ませられず、尋ねた。
「んー、秘密。」
高い壁を張られたようにそう言われ、これ以上は聞けなかった。
そのまま、凱は「さようなら」と馨を見送った。
思わず、馨に声をかけた。馨がこちらを向く。
「どうしたの? 凱君」
「あ、いえ……なんか、大丈夫かな、って」
予想通り、「大丈夫だよ」という回答が返ってきた。
「どうかしたの? 凱」
その様子を見ていた母が声をかける。
「あ、……何でもない、です」
そう、と母が言った。
しばらく無言で、今度は父が口を開く。
「しかし、綺麗な方だね。このような容姿の人間は、この国でも少なかろう」
「そうですね」
父が馨に話しかけるが、馨は淡々と応じるだけだった。
そのあとしばらく話し、馨は帰ることとなった。
仕事のある父と、親戚と話す予定のある母は見送りに出ず、凱だけが見送ることになった。
「じゃあ、さようなら、凱君」
そう言って馨は帰ろうとする。慌てて呼び止めた。
「あの、僕、門の前まで見送ってきます」
そう言うと馨は少し目を[漢字]瞠[/漢字][ふりがな]みは[/ふりがな]った。
「そう?じゃあ、お願いしようかな」
そう言われ、二人で家の門まで歩いた。
父も母も、この場にはいない。思い切って、凱は気になっていたことを聞いてみることにした。
「……あの、馨さんは僕の父さんと母さんのこと、好きじゃないんですか?」
聞かれて、馨が歩みを止めたのが分かった。恐る恐る見上げる。それに気づいているのかいないのか、馨はふっと表情を消し、空中に視線を投げた。何かを言おうとして、そのまま止まる。
やがて馨は口を開いた。
「あんまり、好きではない、かな」
そう言って、再び歩き始めた。
「そう……ですか」
感じからして、薄々察していたことだった。そのうちに、門の前に着いた。馨が振り返る。
「凱君のことは、嫌いじゃないよ、関係ないから」
「関係ない……?」
「うん、関係ない。だから、何も気に病まなくていいよ」
『気に病まなくていい』 前に、斎にもそう言われた気がする。
「あの、理由を聞いてもいいですか?」
はいそうですか、で済ませられず、尋ねた。
「んー、秘密。」
高い壁を張られたようにそう言われ、これ以上は聞けなかった。
そのまま、凱は「さようなら」と馨を見送った。
- 1.第一章 始まり(1)
- 2.第一章 始まり(2)
- 3.第一章 始まり(3)
- 4.第一章 始まり(4)
- 5.第一章 始まり(5)
- 6.第一章 始まり(6)
- 7.第一章 始まり(7)
- 8.第一章 始まり(8)
- 9.第一章 始まり(9)
- 10.第一章 始まり(10)
- 11.第一章 始まり(11)
- 12.第一章 始まり(12)
- 13.第一章 始まり(13)
- 14.第二章 彼の妹(1)
- 15.第二章 彼の妹(2)
- 16.第二章 彼の妹(3)
- 17.第二章 彼の妹(4)
- 18.第二章 彼の妹(5)
- 19.第二章 彼の妹(6)
- 20.第二章 彼の妹(7)
- 21.第二章 彼の妹(8)
- 22.第二章 彼の妹(9)
- 23.第二章 彼の妹(10)
- 24.第二章 彼の妹(11)
- 25.第二章 彼の妹(12)
- 26.第二章 彼の妹(13)
- 27.第二章 彼の妹(14)
- 28.第二章 彼の妹(15)
- 29.第二章 彼の妹(16)
- 30.第二章 彼の妹(17)
- 31.第二章 彼の妹(18)
- 32.第二章 彼の妹(19)
- 33.第二章 彼の妹(20)
- 34.第三章 神社(1)
- 35.第三章 神社(2)
- 36.第三章 神社(3)
- 37.第三章 神社(4)
- 38.第三章 神社(5)
- 39.第三章 神社(6)
- 40.第三章 神社(7)
- 41.第三章 神社(8)
- 42.第三章 神社(9)
- 43.第三章 神社(10)
- 44.第三章 神社(11)
- 45.第三章 神社(12)
- 46.第三章 神社(13)
- 47.第三章 神社(14)
- 48.第三章 神社(15)
- 49.第三章 神社(16)
- 50.第三章 神社(17)
- 51.第三章 神社(18)
- 52.第三章 神社(19)
- 53.第三章 神社(20)
- 54.第三章 神社(21)
- 55.第三章 神社(22)
- 56.第三章 神社(23)
- 57.第四章 別れ(1)
- 58.第四章 別れ(2)
- 59.第四章 別れ(3)
- 60.第四章 別れ(4)
- 61.第四章 別れ(5)
- 62.第四章 別れ(6)
- 63.第四章 別れ(7)
- 64.第四章 別れ(8)
- 65.第四章 別れ(9)
- 66.第四章 別れ(10)
- 67.第五章 異変(1)
- 68.第五章 異変(2)
- 69.第五章 異変(3)
- 70.第五章 異変(4)
- 71.第五章 異変(5)
- 72.第五章 異変(6)
- 73.第五章 異変(7)
- 74.第五章 異変(8)
- 75.第五章 異変(9)
- 76.第五章 異変(10)
- 77.第五章 異変(11)
- 78.第五章 異変(12)
- 79.第五章 異変(13)
- 80.第五章 異変(14)
- 81.第五章 異変(15)
- 82. 第五章 異変(16)
- 83.第五章 異変(17)
- 84.第五章 異変(18)
- 85.第五章 異変(19)
- 86.第五章 異変(20)
- 87.第六章 真実(1)
- 88.第六章 真実(2)
- 89.第六章 真実(3)
- 90.第六章 真実(4)
- 91.第六章 真実(5)
- 92.第六章 真実(6)
- 93.第六章 真実(7)
- 94.第六章 真実(8)
- 95.第六章 真実(9)
- 96.第六章 真実(10)
- 97.第六章 真実(11)
- 98.第六章 真実(12)
- 99.第六章 真実(13)
- 100.第六章 真実(14)
- 101.第六章 真実(15)
- 102.第六章 真実(16)
- 103.第六章 真実(17)
- 104.第六章 真実(18)
- 105.第六章 真実(19)
- 106.第七章 闘い(1)
- 107.第七章 闘い(2)
- 108.第七章 闘い(3)
- 109.第七章 闘い(4)
- 110.第七章 闘い(5)
- 111.第七章 闘い(6)
- 112.第七章 闘い(7)
- 113.第七章 闘い(8)
- 114.第七章 闘い(9)
- 115.第七章 闘い(10)
- 116.第七章 闘い(11)
- 117.第七章 闘い(12)
- 118.第七章 闘い(13)
- 119.第七章 闘い(14)
- 120.第七章 闘い(15)
- 121.第七章 闘い(16)
- 122.第七章 闘い(17)
- 123.第七章 闘い(18)
- 124.第七章 闘い(19)
- 125.第七章 闘い(20)
- 126.第七章 闘い(21)
- 127.第七章 闘い(22)
- 128.第七章 闘い(23)
- 129.第七章 闘い(24)
- 130.第七章 闘い(25)
- 131.【幕間】作品解説という名の、作者の妄想ネタを吐き出す場
- 132.第八章 再会(1)
- 133.第八章 再会(2)
- 134.第八章 再会(3)
- 135.第八章 再会(4)
- 136.第八章 再会(5)
- 137.第八章 再会(6)