文字サイズ変更

【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#15

第二章 彼の妹(2)

「……馨さん?」
 思わず、馨に声をかけた。馨がこちらを向く。
「どうしたの? 凱君」
「あ、いえ……なんか、大丈夫かな、って」
 予想通り、「大丈夫だよ」という回答が返ってきた。
「どうかしたの? 凱」
 その様子を見ていた母が声をかける。
「あ、……何でもない、です」
 そう、と母が言った。
 しばらく無言で、今度は父が口を開く。
「しかし、綺麗な方だね。このような容姿の人間は、この国でも少なかろう」
「そうですね」
 父が馨に話しかけるが、馨は淡々と応じるだけだった。

 そのあとしばらく話し、馨は帰ることとなった。
 仕事のある父と、親戚と話す予定のある母は見送りに出ず、凱だけが見送ることになった。
「じゃあ、さようなら、凱君」
 そう言って馨は帰ろうとする。慌てて呼び止めた。
「あの、僕、門の前まで見送ってきます」
 そう言うと馨は少し目を[漢字]瞠[/漢字][ふりがな]みは[/ふりがな]った。
「そう?じゃあ、お願いしようかな」
 そう言われ、二人で家の門まで歩いた。

 父も母も、この場にはいない。思い切って、凱は気になっていたことを聞いてみることにした。
「……あの、馨さんは僕の父さんと母さんのこと、好きじゃないんですか?」
 聞かれて、馨が歩みを止めたのが分かった。恐る恐る見上げる。それに気づいているのかいないのか、馨はふっと表情を消し、空中に視線を投げた。何かを言おうとして、そのまま止まる。
 やがて馨は口を開いた。
「あんまり、好きではない、かな」
 そう言って、再び歩き始めた。
「そう……ですか」
 感じからして、薄々察していたことだった。そのうちに、門の前に着いた。馨が振り返る。
「凱君のことは、嫌いじゃないよ、関係ないから」
「関係ない……?」
「うん、関係ない。だから、何も気に病まなくていいよ」
『気に病まなくていい』 前に、斎にもそう言われた気がする。
「あの、理由を聞いてもいいですか?」
 はいそうですか、で済ませられず、尋ねた。
「んー、秘密。」
 高い壁を張られたようにそう言われ、これ以上は聞けなかった。
 そのまま、凱は「さようなら」と馨を見送った。
ページ選択

作者メッセージ

久しぶりにコメントをいただいてしまいました
返信できておりませんが、ありがとうございます

2025/10/23 14:35

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
コメント

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権は錦野 真名さんに帰属します

TOP