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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#14

第二章 彼の妹(1)

「こんにちは、凱君。お邪魔します」
 あれから一週間に一度ほどの[漢字]頻度[/漢字][ふりがな]ひんど[/ふりがな]で、[漢字]馨[/漢字][ふりがな]かおる[/ふりがな]は定期的に[漢字]時庭[/漢字][ふりがな]ときにわ[/ふりがな]家に訪ねてくるようになった。
「こんにちは、馨さん。お邪魔されます」
 凱がおどけてそう言ってみると、馨がくすくすと笑う。
 馨が玄関に上がって、美しい所作で靴を[漢字]下駄箱[/漢字][ふりがな]げたばこ[/ふりがな]に[漢字]仕舞[/漢字][ふりがな]しま[/ふりがな]った。
「[漢字]内海[/漢字][ふりがな]うつみ[/ふりがな]さん、いらっしゃい。よく来てくださいました」
 後ろの方から声が聞こえ、そちらに目を向ける。母だった。
 母の馨への印象は良いようだ。馨は変わらず母から距離を置いているが。
「こんにちは、[漢字]浪子[/漢字][ふりがな]なみこ[/ふりがな]さん」
 今日もやはり馨は一歩置いて、母に挨拶する。

 しばらく凱は馨と談笑した。
「もう十月だね。凱君、変わりない? あとそうだ、[漢字]斎[/漢字][ふりがな]いつき[/ふりがな]君だっけ、あのもう一人の子も」
「あ、はい。僕は元気です。斎も、元気です。元気すぎて困ってしまうぐらい。一昨日はなんか、先生専用の便所に隠れて入ってきた先生をおどかそうとしてて———あ、もちろん男の先生なんですけど」
「あはは、先生も大変だね、落ち着いて用も足せないなんて」
「本当ですよね、やっぱりしっかり怒られてましたけどね、いつも通り」
「そっかそっか、でもよかった、元気そうで」
「はい、馨さんもお変わりなさそうで安心しました」
 馨が楽しそうに目を細める。馨と話すのは本当に楽しかった。
 
 そのうちに、母が来た。さらに後ろから父も来ており、凱は少し驚く。
 いつも通り、仕事でいないものかと思っていたからだ。
 両親が席につく。凱と馨も、その反対側に座った。母が口を開く。
「改めまして、いらっしゃい、内海さん。こちらは私の主人にございます。お見知りおきください」
「時庭[漢字]龍二[/漢字][ふりがな]りゅうじ[/ふりがな]といいます。あなたが内海馨さんだね。息子の凱が世話になっている」
「こんにちは、内海馨です」
 馨も簡単に挨拶した。そういえば、父と馨は初対面だったと思い出した。馨が訪ねるとき、いつも父は仕事で家を空けていた。
 馨の、父に対する[漢字]心象[/漢字][ふりがな]しんしょう[/ふりがな]はどうだろうか。悪くないだろうか。少し気になった。
 馨を見る。馨はいつも通り、美しい顔に笑みを浮かべていた。ただそれは冷めているように見える。凱の母同様、凱の父のこともあまり好きではないのかもしれない。
 父が話を切り出した。
「家内に話を聞けば、[漢字]荒[/漢字][ふりがな]あれ[/ふりがな]くれ者から凱を助けたとか言うではないか。礼をいう」
「いえ。……俺は大したことはやっていませんので」
 馨は母に言ったのと同じことを父にも繰り返す。やはり、話し方も冷めていた。
 もう一度、馨の顔を見た。その顔は先ほどと同じように冷めていた。ただ、その瞳は必死に何かを探して追っているようだった。
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2025/10/21 12:12

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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