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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#37

第三章 神社(4)

 どこかあっさりしているところは、馨らしいといえば馨らしい。
(そっか……しばらく、馨さん、来ないんだ……)
 それと———
(久世さんも、同行するんだ)
 あの日以来会ってはいなかった彼女の近況が分かったのは、思いがけないことだった。
(それにしても、普段はよく一緒にいるのかな)
 傍目から見ても、仲の良い兄妹なのだろうということはわかっていた。
 久世は時庭を嫌っているようだから、邸を訪ねるとき兄に同行しないのだろう。そもそも馨は妹に時庭家を訪ねていることすら言っていなかったようだった。
(二週間、会えないんだ)
 しかも、どこに行くのか、何をしに行くのか、どうやって行くのかも、分からない。

 手紙を仕舞い、再び課題に取り組もうと机と向き合う。
 けれども、手紙のことが気になってしまい、どうしても集中できなかった。

[水平線]
 翌日。
 結局課題はその日中に終わらず、学校に着いてからも取り掛かっていた。
「———おい[漢字]新代[/漢字][ふりがな]にいしろ[/ふりがな] あれはどういうことだ!」
 どこからともなく教師の怒号が聞こえた。
 凱がそちらに目を向けると、教師は中庭の方に指差していた。
 その傍で 斎が[漢字]悪戯[/漢字][ふりがな]いたずら[/ふりがな]がばれた幼児のように、口元をにやにやさせている。
 また[漢字]薄荷[/漢字][ふりがな]ミント[/ふりがな]でも植えまくったのかと、凱は席を立って中庭まで見に行った。
 ———なぜか白馬が一頭あり、そして小ぶりな馬小屋が建っていた。
 いささか信じられず、思わず目を[漢字]瞬[/漢字][ふりがな]またた[/ふりがな]かせる。目をこすってもう一度見ても、同じような光景があった。
(……斎、一体どうやってあんなことしたの)
 開いた口が塞がらないとは、このことであろうか。
 どこから白馬を入手したのだろう。いや、斎は神社に住んでいるから、ご神馬の一頭二頭は持っているかもしれない。
 しかし、あの馬小屋は。いつのまに建てたのだろうか。凱の記憶が正しければ、確か、昨日はなかったはずだ。
 突っ込みどころが多すぎて、どう反応すればいいのか分からない。
「この馬はどこの馬だ。一体いつ馬小屋など建てたんだ!? 昨日の夜に巡回したところでは、こんなものはなかったはずだ!」
「いや〜、馬は普通に家にある馬で〜、馬小屋は今朝夜が明けるちょっと前に急いで建てたんです〜。そんなに喜んでもらえて嬉しいです〜、早起きしすぎたせいで寝不足なので〜」
 そう言って斎は「ふわあ〜」と 怒り狂う教師の前で大あくびをした。
 まことに当然のことながら、それを見て教師はさらに眉を[漢字]吊[/漢字][ふりがな]つ[/ふりがな]り上げる。
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2025/11/11 14:29

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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