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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#35

第三章 神社(2)

「疲れないよ。……ていうかそんなに歩いてもなくない?」
「歩いたよー、本屋寄る前、虫の採集に行ってたしー」
「何を採ってきたの?」
「えっとー、ゲジゲジとか[漢字]油虫[/漢字][ふりがな]ゴキブリ[/ふりがな]とか?」
「……今すぐ焼き殺して捨てようか」
「何でだよー!? あいつら可愛いじゃん!」
「どこがだよ。当たり前でしょ」
 まさか自分の友人が、虫めづる姫君もびっくりな[漢字]奇癖[/漢字][ふりがな]きへき[/ふりがな]を持っていたとは。頭が痛い。
「そういえばさ、最近久世さんと会ったー? あの人めちゃくちゃ美人だよなぁ、ちょっとツンツンしてるところも良いしー」
 突然 久世の話題を出され、面食らう。最後に見た悲しげな瞳が思い出された。
「……会ってないよ」
 どうして、二人とも時庭の名を聞いてあれほど動揺するのだろう。それだけが ただ気になった。
「……? 何かあったんかー?」
 凱の様子を見て、何かを察したらしい斎が聞いてくる。
「あ、……うん。実は———」

「———へ〜、そんなことがあったんだ」
 凱は、あの日斎が課題を取りに戻った後のことや、それ以降 久世とも馨とも会えていないことを 斎に話した。
「だから凱、あの日そそくさと帰ったわけ?まあ俺はパフェ食べられてご[漢字]満悦[/漢字][ふりがな]まんえつ[/ふりがな]だけど」
「うん……そういうこと」
 斎は ふぅ、と息をついた。
「それはそれでよく分からんなー。まあでも、あまり気にすんなよー。———あ、そろそろ帰る時間じゃん。凱、帰ろ。その本、姉ちゃんにやるんだろ」
 斎に言われ、凱が手元の本を見る。そして空を見ると、もう日は傾いていた。
「そうだね、じゃあ、またね。斎、ありがとう」
「おうよ〜」
 斎が長椅子から立ち上がって凱に手を振り、凱も手を振り返した。

[水平線]
「——姉さん? 僕です。」
 邸の者が寝静まった夜、凱は姉の部屋の扉を叩く。
 がたっと音がして、扉が少し開いた。
「凱さん……?」
 姉が少しだけ開いた扉から瞳を覗かせた。
 気がつけば、「凱様」から「凱さん」に呼び方が変わっている。それだけ距離が縮んだのだろうかと思うと少し嬉しかった。
「えっと、本買ってきたから、姉さんにあげようかと思って」
 そう言って本を差し出す。
 差し出された本を見て、姉は目を丸くする。そして少し嬉しそうに笑った。
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2025/11/11 14:27

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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