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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#32

第二章 彼の妹(19)

「実は斎も来ていて。……今、課題取りに行くとか言っていないんですけど」
「課題? 何かあったの?」
 凱は久世に事の[漢字]顛末[/漢字][ふりがな]てんまつ[/ふりがな]を話す。
「———え〜、頼んだ料理を忘れちゃったの?」
 それを聞いて、久世はけらけら笑い始めた。口数が少ない人だと思ったが、案外そうでもないらしい。
「そういえば、馨さんはどうしたんですか」
 凱がそう聞くと、久世は「んー、なんか任務中」とだけ言った。

 任務中。ということは馨と久世は、霊力を受け継ぐ家の生まれなのだろうか。だが、『[漢字]内海[/漢字][ふりがな]うつみ[/ふりがな]』という名の家は聞いたことがない。
 しかも、生まれて十二年、凱はこの兄妹に会ったことがなかったのだ。
 霊力を受け継ぐ家は皆知り合い、といった[漢字]界隈[/漢字][ふりがな]かいわい[/ふりがな]である。さらに凱は、その中でも大きな家である[漢字]時庭[/漢字][ふりがな]ときにわ[/ふりがな]家の、本家の跡取りだ。だいたいの人は知っている。
 それなのに———なぜずっと知らなかったのだろう。このように目立つ容姿をしていれば、少なくとも記憶には残るだろうに。
「……凱君?」
 食事の手も止めて考え込んだ凱に、久世は声をかける。
「どうかしたの?」
 馨と同じ瞳で、[漢字]覗[/漢字][ふりがな]のぞ[/ふりがな]き込んでくる。
「あ、いえ……なんでもない、です」
 そう言うと、久世は「そう」と言い、[漢字]未[/漢字][ふりがな]いま[/ふりがな]だ手のつけられていないオムライスを見た。
「ねぇ、これ、食べちゃっていい? 斎君、戻ってこないみたいだし」
 凱もオムライスを見た。もうとっくに冷めてしまっただろう。誰にも食べられぬまま終わるのはオムライスがかわいそうだし、何より[漢字]勿体[/漢字][ふりがな]もったい[/ふりがな]無い。
「冷たいと思いますけど、それでもいいなら、いいですよ」
「うん、分かった。ありがたく奪っちゃうね」
 久世がおどけてそう言い、席についた。
 スプーンを手に取り、オムライスを一口、口に入れる。そして久世は顔を綻ばせた。
「わあ、美味しい。……冷たいけど」
 褒めたいのか[漢字]貶[/漢字][ふりがな]けな[/ふりがな]したいのか分からない言葉を口にする。
「なんか、よかったです。……斎には悪いけど」
 久世がにこにこと「そうだね〜」と同意する。
 久世は食べるのが早いらしく、凱より後に食べ始めたのに関わらず 凱と同じ頃に食べ終わった。
「それじゃあ私、何か頼むね。無銭飲食しているようで、お店に悪いし」
 そう言いながら久世がメニュー表を引っ張り出す。
「よし、パフェ食べよう。凱君も食べる?」
 決断も早いらしく、久世はメニュー表を一目見て次の料理をすぐに決めた。
「あ、じゃあ、お願いします」
 お言葉に甘えることにする。
 二人分の追加の注文を頼み、二人で待つことにした。
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2025/11/09 12:43

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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