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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#2

第一章 始まり(2)

 当然のように父は母と再婚した。その間に生まれたのが凱である。
 凱は長男、待望の後継ぎだった。そして霊力も持っていた。そういうわけで、凱は両親や一族の者に愛された。
 その正反対に、姉は見向きもされなくなっていった。望まれぬ結婚で生まれ、霊力を持たなかったのだから仕方ないといえば仕方ない。
 皆、姉を[漢字]疎[/漢字][ふりがな]うと[/ふりがな]んじたし、凱も積極的に関わろうと思わなかった。まともに会話したことすら、おそらくないだろう。
 特に母は姉が特別に嫌いなようで、凱が物心ついた頃にはあれこれと理由をつけて姉に当たっていた。こうやって使用人のように家事を言いつけたり、女学校に通わせなかったり、日用品を与えなかったり。他にもいろいろあるだろう。
 理由すらはっきりせずに父と別れさせられたことを、いまだに恨んでいるらしい。
 父は姉に関心がないうえにあまり家に帰らないので、母が姉をしいたげていることはほとんど知らない。たとえ知っていたとしても父が姉のために何かするとは思えないが。
 時々、使用人や一部の親戚たちがそれを[漢字]憐[/漢字][ふりがな]あわ[/ふりがな]れんで姉に物を与え、母や他の親戚たちがそれを咎めているようだが、凱は何も思わなかった。むしろそれで良いとも思った。
 凱が小学校に入り、母が姉にしていることがあまり——というか だいぶ良くないことだと認識するようになったが、やはり止める気にはなれなかった。
 何であれ、自分にとっては大切な母が、凱が止めることで傷つくかもしれないと思ったし、ほとんど他人と言っていいほど関わりのない姉のために何かするほど勇気がでなかった。
 その代わりどこか家に居づらくなり、こうしてしょっちゅう近くで祭りがあるから友達と遊ぶからなどと理由をつけて、家を出ていた。

[水平線]
 やがて気分が晴れたのか、母は中に戻っていった。残された姉は やり損ねてしまったのだろう掃き掃除を始める。
 凱はうちに入ろうと歩みを進めた。
 少し姉を見る。一瞬目が合った。姉が慌てたように目を逸らす。
 凱も何も言わず、うちに入った。
「ただいま」
「おかえりなさいませ、凱様」
 凱が[漢字]挨拶[/漢字][ふりがな]あいさつ[/ふりがな]すれば、中にいた使用人や親戚達が応じる。

「凱か」
 自分の部屋に戻ろうとすれば、父と会った。本家の当主である父は普段仕事でいないことが多いが、今日は[漢字]珍[/漢字][ふりがな]めずら[/ふりがな]しく家に戻っていたらしい。
「もう夜だ。もう少しはやく帰って来なさい。そういえば、学業の[漢字]進捗[/漢字][ふりがな]しんちょく[/ふりがな]具合はどうなんだ?お前はもう中学校に通っているのだろう。」
(——姉さんは女学校にも行ってないのに)
 その言葉をもう少しで[漢字]呑[/漢字][ふりがな]の[/ふりがな]み込んだ。自分は当たり前のように中学校に進学している。姉が進学できないのは、姉のために何もしようとしない自分の責でもあるので父を[漢字]咎[/漢字][ふりがな]とが[/ふりがな]めることはできない。
 順調です、とだけ言ってその場を離れ、自室に戻った。

 家族のことを考えるのは嫌だったので、今日の祭りのことを考えた。
 花火や縁日。偶然会った、中学校の友達。屋台。そして——
(今日会ったお兄さん、綺麗だったな)
 どこかの神使だろうかと思うほど、容姿が整っていた。
 夏祭りは三日間あり、今日は初日だ。つまり、明日も明後日も、祭りはやっている。
(行ったら、また会えるだろうか)
 明日もあの場所に行ってみよう。そう決めて、今日は眠りについた。
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2025/10/17 22:20

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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