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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#10

第一章 始まり(10)

 恐る恐る目を開く。
 吹き飛ばされたように地面に倒れ込んでいるさっきの男。手放してしまったのか、同じように打ち捨てられている銃。そしてそれを拾う別の男。
 その男を見て——驚いた。
 すらりとした[漢字]痩身[/漢字][ふりがな]そうしん[/ふりがな]。薄い茶髪。薄い橙をした瞳。

([漢字]馨[/漢字][ふりがな]かおる[/ふりがな]さん……!?)
 そこにいたのは、馨だった。
「二人とも、怪我はない? ……ああ君は、この前会ったよね。凱君だっけ?」
 馨が、凱の姿を見てそう言う。
「あ、あの、助けてくださり、ありがとうございました……」
 お礼を言わねばと凱は口を開いた。
「え、えっと、ありがとうございます……」
 斎もお礼を言う。
「別に大丈夫だよ。それにしても、この人どうしようか。とりあえず、警察には言っておかなきゃいけないよね、何故か分からないけど、銃持ってるし。俺行ってくるから、君たちここで待っていてくれない?」
 断る理由もなかったので、うなずく。馨が行くのを見送り、斎と待った。

 こんなときに、馨が来てくれるだなんて。驚きとともに、安堵した。
 初めて見たとき、神使のようだと思ったが、あながち間違いでもないかもしれない。
 そんなこと考えていると、斎が話しかけてきた。
「あの人、めっちゃ綺麗だな〜。頃合いよく来てくれて、ちょー助かったわ。……あれ凱、どした?そんなぼーっとした顔して」
「なんでもないよ、でもよかったね。馨さん、偶然来てくれて」
「あの人馨っていうの? てか、お前、あの人と会ったことあるの?」
「あ、うん。」
「へー、どこで?」
「えっと、首塚山、斎が行って怒られたとかいうあの小さい林で……」
 急いで小山の名前を思い出した。
「ふーん……って え?じゃあその馨って人、呪われたところに行ってたわけ?」
「うん、そうみたい」
「へー……っていうか凱、どうしてここにいんの?お前、読書が特別好き!って感じでもないよな? 俺はまあ、親に頼まれたの買いにきたんだけど」
 話を振られて、さっきまで忘れていた光景を思い出し、俯く。
「……母ちゃんと姉ちゃん、また何かあったのか?」
 斎が声を潜めて言う。うなずいた。
「うん……まあ、そんなところ。それで逃げてきた。」
 隣で、ふぅ、と息を吐いたのが分かった。
「……お前、優しいのか優しくないのか分からんな、本当」
 多分、優しくはないだろう。姉を[漢字]庇[/漢字][ふりがな]かば[/ふりがな]うこともできないし、母が受けた傷を癒やし、忘れさせることもできない。
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2025/10/21 10:27

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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