文字サイズ変更

【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#9

第一章 始まり(9)

 行くあてもなく、街をふらふら[漢字]彷徨[/漢字][ふりがな]さまよ[/ふりがな]う。
 しばらく歩いていると、本屋の前に着いた。
(本、読もうかな)
 [漢字]凱[/漢字][ふりがな]かい[/ふりがな]は読書は嫌いではない。本の世界に入り込めば、何もかも忘れられるような気がしたからだ。
 幸い、[漢字]衣囊[/漢字][ふりがな]ポケット[/ふりがな]の中に財布はある。何か買っていこうか。
 そんなことを考えながら本屋に入った。
 しばらく中を物色していると、「おい!」という怒鳴り声と叫び声が聞こえた。
 その方向へ目を向けると、大柄な男と見知った人影があった。
([漢字]斎[/漢字][ふりがな]いつき[/ふりがな]……?)
 いつもへらへらしている彼に似合わず、斎は小さく縮こまっている。
「お前、万引きしたな!?」
「してない!」
「その[漢字]手提[/漢字][ふりがな]てさ[/ふりがな]げに何か入れていただろう!ごまかすな!」
「だからしてないって!これは教科書だし!」
「その教科書が売り物なんだろう!?」
「ちげーし!持ってきたやつだし!」
 何か言い争っていた。斎が何を言っても、男は聞くつもりがないらしい。完全に決めつけている。
「斎……? 何かあった? どうしたの」
 近づいて、恐る恐る斎に話しかける。男の視線が凱に向いた。そして男が口を開く。
「お前もこの泥棒の仲間なのか」
 思ってもみないことを言われ、困惑する。
「え?違います。友人が、何かあったようだから……」
「『え?』と言ったな?嘘をついている証拠だ。それに泥棒の仲間は泥棒だと昔から相場が決まっている!お前も何か盗んだんだな!?」
(はぁ?)
 訳が分からない。何故そうなるのだ。第一、斎が何かを盗んだとはまだ分かってないのに。
 とりあえず、話が通じないことだけわかった。
「斎、行こう。」
 斎の腕を引っ張り、その場から離れようとする。
「待て!泥棒どもを逃すか!」
 男が追いかけ、あろうことか———[漢字]懐[/漢字][ふりがな]ふところ[/ふりがな]から銃を出してきた。
(銃……!? 何で、どうして、どうしてこんな人が、銃なんかを)
 驚きと恐怖で体が硬直した。限られた者しか、銃は持てないはずだ。
 男が引き金を指をかける。撃たれる—— そう思って、目を[漢字]瞑[/漢字][ふりがな]つむ[/ふりがな]る。
 だが、衝撃も痛みも来なかった。かわりに、ドゴン、と音がした。
ページ選択

2025/10/21 10:26

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
コメント

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権は錦野 真名さんに帰属します

TOP