意味がわかると怖い話
急にもよおしてしまった。会社からの帰宅途中だった。
辺りはもう暗い。
「うわ、どうしよ……」
とりあえずヤバい。早くしないと、一生の黒歴史が完成してしまう。
街灯の灯りを頼りにして、見回す。もう少し歩いたところに公園があるのが見えた。
便所の一つくらい、あるだろう。人生の名誉を懸けた緊急事態だ。いっそ汚くても構わない。
[水平線]
「ふー、助かった……」
便座に座り、俺は脱力する。これで名誉は守られた。
汚いことを覚悟していたが、便所の中はそれなりに綺麗みたいだ。
用を済ませて、ズボンたちを上げようと立ち上がったところで、ふと前を見た。
「……あれ?」
前の扉に、何かが書いてある。だいぶ[漢字]掠[/漢字][ふりがな]かす[/ふりがな]れている文字だった。入ったときは、尿意と闘っていて、気づかなかったのだろう。
注意深く、読んでいく。
『 ミ ギ ヲ ミ ロ 』
「……右を見ろ?」
体ごと動かして、恐る恐る右の壁を見た。
再び、だいぶ掠れている文字で何か書いてある。
『 ヒ ダ リ ヲ ミ ロ 』
「今度は左ですか」
左ってどっちだっけ、と一瞬戸惑う。左、左、と口の中で唱えながら、自分の左手のある方向を見た。
———次は血のような赤文字だった。
『 ウ シ ロ ヲ ミ ル ナ 』
「……はっ……?」
後ろを見るな。確かにそう書いてある。
だが。
するな、と言われると、やりたくなるのが人間の[漢字]性[/漢字][ふりがな]さが[/ふりがな]だ。
———恐る恐る、後ろを見た。
後ろには、何も書かれていなかった。
「なーんだ、ただのイタズラかよ。」
俺は[漢字]安堵[/漢字][ふりがな]あんど[/ふりがな]して、トイレの水を流して外に出た。
[水平線]
その後も何事もなく、俺は人生最大の黒歴史を回避することに成功した。
辺りはもう暗い。
「うわ、どうしよ……」
とりあえずヤバい。早くしないと、一生の黒歴史が完成してしまう。
街灯の灯りを頼りにして、見回す。もう少し歩いたところに公園があるのが見えた。
便所の一つくらい、あるだろう。人生の名誉を懸けた緊急事態だ。いっそ汚くても構わない。
[水平線]
「ふー、助かった……」
便座に座り、俺は脱力する。これで名誉は守られた。
汚いことを覚悟していたが、便所の中はそれなりに綺麗みたいだ。
用を済ませて、ズボンたちを上げようと立ち上がったところで、ふと前を見た。
「……あれ?」
前の扉に、何かが書いてある。だいぶ[漢字]掠[/漢字][ふりがな]かす[/ふりがな]れている文字だった。入ったときは、尿意と闘っていて、気づかなかったのだろう。
注意深く、読んでいく。
『 ミ ギ ヲ ミ ロ 』
「……右を見ろ?」
体ごと動かして、恐る恐る右の壁を見た。
再び、だいぶ掠れている文字で何か書いてある。
『 ヒ ダ リ ヲ ミ ロ 』
「今度は左ですか」
左ってどっちだっけ、と一瞬戸惑う。左、左、と口の中で唱えながら、自分の左手のある方向を見た。
———次は血のような赤文字だった。
『 ウ シ ロ ヲ ミ ル ナ 』
「……はっ……?」
後ろを見るな。確かにそう書いてある。
だが。
するな、と言われると、やりたくなるのが人間の[漢字]性[/漢字][ふりがな]さが[/ふりがな]だ。
———恐る恐る、後ろを見た。
後ろには、何も書かれていなかった。
「なーんだ、ただのイタズラかよ。」
俺は[漢字]安堵[/漢字][ふりがな]あんど[/ふりがな]して、トイレの水を流して外に出た。
[水平線]
その後も何事もなく、俺は人生最大の黒歴史を回避することに成功した。
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