文字サイズ変更

【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#135

第八章 再会(4)

「———あれ? 久世?……と、凱くん?」
 後ろから、また誰かに声をかけられる。
 [漢字]蓮[/漢字][ふりがな]れん[/ふりがな]だった。
 久世が顔を上げて蓮を見る。目尻から涙が一筋流れた。
「久世、起きたの? ていうか、早くない? まさか病院から抜け出してきましたとかはないよね?」
 いきなり図星を当てられ、久世はバツが悪そうに そっぽを向いた。
「……抜け出してきた、みたいです」
 代わりに凱が答えた。蓮が嘆息する。
「は〜? 怪我ひどくなっても知らないよ」
「別にいい」
「良くないでしょ。美冬ちゃんが泣くよ〜?」
 久世は何も答えない。再び蓮が嘆息する。
 そしてすぐにハッとした顔になった。
「あ、そうだ。凱くんがちょうどいるから、伝えとこうかな」
 蓮が凱に向き直る。
「そろそろ落ち着いてきたから、美冬ちゃんを引き取りたいと思っていて。久世もこんなんだし、可愛い姪っ子がいた方が心強いでしょ」
 確かに、と凱も思う。亡き兄の忘れ形見が立派に育つまで、逝くに逝けないだろう。
「そう、ね」
 久世が目を細めた。
「……そういえば、美冬ちゃんも、久世さんと早く遊びたいって言ってました」
「でしょでしょ? 準備もあるだろうから、明後日くらいに迎えに行くね〜」
「あ、はい、分かりました。両親に伝えておきます」
 凱は立ち上がると、二人にお辞儀をして家に帰った。

 帰ってから、両親にそのことを話すと、[漢字]頷[/漢字][ふりがな]うなず[/ふりがな]いてくれた。
 美冬にもそのことを伝えると、
「おばさまとも あそびたいけど、もうちょっとあさちゃんといたーいー!」
 とごねられた。姉とも随分と仲良くしていたようだ。
「またいつでも遊びに来ていいから」
 となだめすかすと、渋々ながら納得してくれた。なんだかんだいって聞き分けの良い子だ。
 姉もだいぶ寂しそうに、
「凱さんの言う通り、いつでも来ていいからね。私もそちらに行きましょう」
 と言って、ぐずる姪を慰めていた。

[水平線]
 翌々日。
 言葉通り、蓮が迎えに来た。久世もいた。幸いというか、抜け出したことは医者には知られず、今日外出の許可が下りたらしい。
「蓮、私 時庭さんと話したいことがあるから、寄っていい?」
「分かった。ここで待ってるね」
 その様子を見ていた親戚の一人が、気を利かせたか両親を呼びに行く。
 久世が邸に入っていった。
 凱や姉も、蓮と待とうとすると「朝水も凱君もおいで」と久世に手招きされた。
ページ選択

2025/12/03 17:06

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
コメント

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権は錦野 真名さんに帰属します

TOP