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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#133

第八章 再会(2)

 戸井君の両親は、あれから目を覚ました。
 彼らは、操られていた他の信者たちとは違って、自分の意思で[漢字]仁井戸[/漢字][ふりがな]にいど[/ふりがな]についていったらしい。
 そのため、その後 警察の事情聴取を受けることとなった。その後どうなったかは知らない。
 [漢字]竜ヶ崎[/漢字][ふりがな]りゅうがさき[/ふりがな]には、初めのうちはたくさん人も妖怪もいたらしいが徐々に減っていき、最終的にほんの少ししかいなくなってしまったと、凱は姉から聞いた。
 姉が最初に会った、あの手鏡を渡した小さな男の子は、[漢字]馨[/漢字][ふりがな]かおる[/ふりがな]が魔力を使って作り出した幻影らしい。
 その後も、その男の子に何度も会い、母のことや百鬼のことについて教えてもらったという。
 馨とはその男の子を通じてしか会ったことがなかったというが、久世とはたまに会うようになったと聞いた。
 時庭を出ることは、久世に誘われたらしい。冷遇される[漢字]異父妹[/漢字][ふりがな]いもうと[/ふりがな]を気の毒に思ったのだろう。

 しばらく朝水と美冬は遊んでいたが、美冬があやとりに飽きたらしく戻っていった。
「……私も、戻りますね」
「うん」
 姉も美冬を後を追って出ていく。
 姉の部屋は、もとの [漢字]永姫[/漢字][ふりがな]えいき[/ふりがな]ー[漢字]琴子[/漢字][ふりがな]ことこ[/ふりがな]が使っていた離れを改装したところにある。
 姉が出ていったのを見届けて、凱は課題に取りかかった。
 二週間ほど前に、ようやく学校が再開された。
 ただ、あの襲撃で死んだ同級生も多く、久しぶりに登校した際 いくつかの机に置かれている花瓶を見て虚しさを覚えた。
『親なき子みたいな感じになっちゃったからさ、僕、来年度には中学やめるよ』
 そう言って笑っていた戸井君を思い出す。
 さぞ悲しかろうと思ったが、戸井君はどこかすっきりとしたような表情だった。

 [漢字]夕餉[/漢字][ふりがな]ゆうげ[/ふりがな]時になって、下階に降りると、母と姉と美冬がいた。父は 変わらず仕事で不在だ。
 既に食事は置かれていたのでみんなで手を合わせて食べ始める。
 美冬は[漢字]箸[/漢字][ふりがな]はし[/ふりがな]を上手く扱えずに苦戦している。
 そんな姪を、姉が手伝っていた。
 ふと姉を見て気づく。
 [漢字]所作[/漢字][ふりがな]しょさ[/ふりがな]が綺麗なのだ。どこか見覚えがある。
 視線に気づいた姉が、苦笑した。
「あちらに行ったとき、よく分からなくて。お姉様とお兄様の真似をしていたんです」
(……ああそうか、馨さんに似ているんだ)
 見よう見まねですぐに習得できるのが、姉が[漢字]聡[/漢字][ふりがな]さと[/ふりがな]い証だと思う。
 お互い対角に座っていた母と姉が、視線を交わすことはなかった。
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2025/12/01 17:33

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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