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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#132

第八章 再会(1)

 あれから、一ヶ月半ほどが過ぎた。
「[漢字]凱[/漢字][ふりがな]かい[/ふりがな]さん、ただいま戻りました」
 部屋の扉を叩いて、入ってきたのは姉だった。
「……[漢字]久世[/漢字][ふりがな]くぜ[/ふりがな]さん、どうだった?」
「まだ目が覚めません」
 あれから、失血がひどかった久世は、入院している。容体は[漢字]芳[/漢字][ふりがな]かんば[/ふりがな]しくなく、ずっと意識不明のままだ。
 [漢字]百鬼[/漢字][ふりがな]なぎり[/ふりがな]家は、生き残った中で最年長だった蓮が仕切って合同で[漢字]葬儀[/漢字][ふりがな]そうぎ[/ふりがな]をした。
 ちなみに、百鬼一族の中で生き残ったのは、久世を含めてたったの五人だけだった。
 葬儀には、[漢字]時庭[/漢字][ふりがな]ときにわ[/ふりがな]家も参列した。
 姉はあれから、ちゃんと時庭の娘として扱われるようになった。両親の心境にも変化があったのかもしれない。
 今更女学校には通えないので、家庭教師をつけてもらっている。
 ただ、当然ながら、それでも両親と姉の仲は良いとはとても言い[漢字]難[/漢字][ふりがな]がた[/ふりがな]いが。
「あーさちゃん、あーそーぼー」
 扉からひょこっと現れたのは、美冬だった。
 蓮たち大人は邸の再建や墓の整理などで忙しくしているので、しばらくの間 [漢字]朝水[/漢字][ふりがな]あさみ[/ふりがな]の姪という縁で美冬は時庭で預かることになったのだ。
 [漢字]忌[/漢字][ふりがな]い[/ふりがな]み[漢字]嫌[/漢字][ふりがな]きら[/ふりがな]っていた当主の前妻の、孫娘の存在に親戚一同が仰天した。
 しかし両親が美冬を[漢字]丁重[/漢字][ふりがな]ていちょう[/ふりがな]に扱っていることもあり、表立って彼女を[漢字]邪険[/漢字][ふりがな]じゃけん[/ふりがな]にする者はいなかった。
 姉が微笑んで美冬を膝に座らせる。
「みふ、あやとりもってきたの。るりおねえちゃんにおしえてもらったんだ」
 [漢字]瑠璃[/漢字][ふりがな]るり[/ふりがな]とは、凱の親戚の一人の名である。確か姉の境遇に同情的な人だった。
「そうなの。私、しばらくあやとりなんてやったことなかったから、やり方忘れてしまったわ。教えてくれる?」
「うん!」
 楽しそうな二人に思わず笑みがこぼれた。
 こうして見ると、二人は良く似ている。


「ねーあさちゃん、おばさまはいつになったら みふとあそんでくれるの?」
 朝水は一瞬、戸惑ったような顔をする。
 実は、一度も美冬を久世の見舞いには行かせていない。
 片目と左腕を失くし、意識のない叔母に会わせるのは、幼い美冬にとって[漢字]酷[/漢字][ふりがな]こく[/ふりがな]だろうと思ったからだ。
「……分からないわ。ごめんね」
 朝水はぎこちない笑みで答える。
「むー……」
 事情を知らない美冬は不満そうにしながらもうなずいた。
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作者メッセージ

最終章に入りました! もうすぐ完結です、いつもありがとうございます!

2025/11/30 10:07

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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