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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#129

第七章 闘い(24)

 久世の瞳がさらに紅く輝いた。周囲に、紅いもやのようなものが久世を中心にして渦巻く。
 そのもやが仁井戸の作った魔法陣を消しにかかった。
 消せそうだと思ったとき、何かに阻まれ、魔法陣は再び現れる。
「面倒くさいな」
 仁井戸がそうつぶやき、黒を帯びた透明な壁のようなものを作る。結界のようで、結界ではないようだ。
「これでお前は攻撃できない」
 仁井戸が本格的に攻撃し始めたのが分かった。
 いろいろな———刃のようなものが、無数に久世を目掛けて飛んでくる。
 だいたいは久世の周りに廻るもやに阻まれた。
 それをも通過した刃は、久世が自分で避ける。
 久世が手を横にかざし、そこに一匹の紅い狼が現れた。
 その狼は分裂しながら、仁井戸の作った壁に突進する。
 何匹かは、壁に阻まれて消えたが、何匹かは壁を通り抜け、再び魔法陣を消しにかかった。それと比例して、壁が崩れる。
 だが、狼は壊され、魔法陣も壁も復活してしまった。
「……魔術が使えない割には、強いのか」
仁井戸が苛立ちの混じった声でつぶやく。
 久世が何かを察したようにさっと避ける。それと同時に、さっきまで久世がいた場所で火が燃え上がった。
 久世は相変わらず無表情だ。無表情の顔で、今度は上空に大きな[漢字]龍[/漢字][ふりがな]りゅう[/ふりがな]を作る。
 それを仁井戸目掛けて襲わせた。
 龍が壁に触れただけで、全ての壁が崩れ落ちた。
「ほう、父親よりは強いようだな」
「私の父を話題に出すな」
 感心したような仁井戸に、久世は不快そうに眉を[漢字]顰[/漢字][ふりがな]ひそ[/ふりがな]めた。
 だが、龍が仁井戸の元に到達する前に———それは消えた。
「そうだな。ははっ。私は、[漢字]百鬼[/漢字][ふりがな]なぎり[/ふりがな]が。お前たちが、憎かった」
 唐突に、仁井戸がそんなことを話し出す。
「……突然、何?」
「まあ黙って聞け」
 仁井戸は、どこか愉快そうに話す。
 その隙を狙って久世が攻撃しようとするが、読まれたのか阻まれた。
「お前たちは。魔力を持つ一族だ。……そうだ。お前たちは、もったいぶったように隠れていた。魔術すら、使えないのに」
「……先祖が、[漢字]表[/漢字][ふりがな]おもて[/ふりがな]に出て苦労したから」
 答えながら、再び 仁井戸を囲むように 紅いもやのようなものを作る。
 しかし、すぐにそれも消されてしまった。
「お前らは、所詮は異国から流れてきた者だ。異国、汚れた血。———汚れた奴らが、この国にいることが 許せない!! この国の者だと名乗るのが許せない!」
 話しながら仁井戸は怒り狂い、文字通り地団駄を踏む。
「私!が! 私がいる! 異国の、汚れた血も混ざっていない私が! この国で唯一魔力を受け継ぐ私が! この国、いやこの世に私以外の魔力者は要らない……!!」
 そう叫びながら、仁井戸は 久世を目掛けて手をかざした。
 あたりが[漢字]閃光[/漢字][ふりがな]せんこう[/ふりがな]に包まれる。それとほぼ同時に、紅い閃光も見えた。
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2025/11/28 10:17

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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