久世の瞳がさらに紅く輝いた。周囲に、紅いもやのようなものが久世を中心にして渦巻く。
そのもやが仁井戸の作った魔法陣を消しにかかった。
消せそうだと思ったとき、何かに阻まれ、魔法陣は再び現れる。
「面倒くさいな」
仁井戸がそうつぶやき、黒を帯びた透明な壁のようなものを作る。結界のようで、結界ではないようだ。
「これでお前は攻撃できない」
仁井戸が本格的に攻撃し始めたのが分かった。
いろいろな———刃のようなものが、無数に久世を目掛けて飛んでくる。
だいたいは久世の周りに廻るもやに阻まれた。
それをも通過した刃は、久世が自分で避ける。
久世が手を横にかざし、そこに一匹の紅い狼が現れた。
その狼は分裂しながら、仁井戸の作った壁に突進する。
何匹かは、壁に阻まれて消えたが、何匹かは壁を通り抜け、再び魔法陣を消しにかかった。それと比例して、壁が崩れる。
だが、狼は壊され、魔法陣も壁も復活してしまった。
「……魔術が使えない割には、強いのか」
仁井戸が苛立ちの混じった声でつぶやく。
久世が何かを察したようにさっと避ける。それと同時に、さっきまで久世がいた場所で火が燃え上がった。
久世は相変わらず無表情だ。無表情の顔で、今度は上空に大きな[漢字]龍[/漢字][ふりがな]りゅう[/ふりがな]を作る。
それを仁井戸目掛けて襲わせた。
龍が壁に触れただけで、全ての壁が崩れ落ちた。
「ほう、父親よりは強いようだな」
「私の父を話題に出すな」
感心したような仁井戸に、久世は不快そうに眉を[漢字]顰[/漢字][ふりがな]ひそ[/ふりがな]めた。
だが、龍が仁井戸の元に到達する前に———それは消えた。
「そうだな。ははっ。私は、[漢字]百鬼[/漢字][ふりがな]なぎり[/ふりがな]が。お前たちが、憎かった」
唐突に、仁井戸がそんなことを話し出す。
「……突然、何?」
「まあ黙って聞け」
仁井戸は、どこか愉快そうに話す。
その隙を狙って久世が攻撃しようとするが、読まれたのか阻まれた。
「お前たちは。魔力を持つ一族だ。……そうだ。お前たちは、もったいぶったように隠れていた。魔術すら、使えないのに」
「……先祖が、[漢字]表[/漢字][ふりがな]おもて[/ふりがな]に出て苦労したから」
答えながら、再び 仁井戸を囲むように 紅いもやのようなものを作る。
しかし、すぐにそれも消されてしまった。
「お前らは、所詮は異国から流れてきた者だ。異国、汚れた血。———汚れた奴らが、この国にいることが 許せない!! この国の者だと名乗るのが許せない!」
話しながら仁井戸は怒り狂い、文字通り地団駄を踏む。
「私!が! 私がいる! 異国の、汚れた血も混ざっていない私が! この国で唯一魔力を受け継ぐ私が! この国、いやこの世に私以外の魔力者は要らない……!!」
そう叫びながら、仁井戸は 久世を目掛けて手をかざした。
あたりが[漢字]閃光[/漢字][ふりがな]せんこう[/ふりがな]に包まれる。それとほぼ同時に、紅い閃光も見えた。
そのもやが仁井戸の作った魔法陣を消しにかかった。
消せそうだと思ったとき、何かに阻まれ、魔法陣は再び現れる。
「面倒くさいな」
仁井戸がそうつぶやき、黒を帯びた透明な壁のようなものを作る。結界のようで、結界ではないようだ。
「これでお前は攻撃できない」
仁井戸が本格的に攻撃し始めたのが分かった。
いろいろな———刃のようなものが、無数に久世を目掛けて飛んでくる。
だいたいは久世の周りに廻るもやに阻まれた。
それをも通過した刃は、久世が自分で避ける。
久世が手を横にかざし、そこに一匹の紅い狼が現れた。
その狼は分裂しながら、仁井戸の作った壁に突進する。
何匹かは、壁に阻まれて消えたが、何匹かは壁を通り抜け、再び魔法陣を消しにかかった。それと比例して、壁が崩れる。
だが、狼は壊され、魔法陣も壁も復活してしまった。
「……魔術が使えない割には、強いのか」
仁井戸が苛立ちの混じった声でつぶやく。
久世が何かを察したようにさっと避ける。それと同時に、さっきまで久世がいた場所で火が燃え上がった。
久世は相変わらず無表情だ。無表情の顔で、今度は上空に大きな[漢字]龍[/漢字][ふりがな]りゅう[/ふりがな]を作る。
それを仁井戸目掛けて襲わせた。
龍が壁に触れただけで、全ての壁が崩れ落ちた。
「ほう、父親よりは強いようだな」
「私の父を話題に出すな」
感心したような仁井戸に、久世は不快そうに眉を[漢字]顰[/漢字][ふりがな]ひそ[/ふりがな]めた。
だが、龍が仁井戸の元に到達する前に———それは消えた。
「そうだな。ははっ。私は、[漢字]百鬼[/漢字][ふりがな]なぎり[/ふりがな]が。お前たちが、憎かった」
唐突に、仁井戸がそんなことを話し出す。
「……突然、何?」
「まあ黙って聞け」
仁井戸は、どこか愉快そうに話す。
その隙を狙って久世が攻撃しようとするが、読まれたのか阻まれた。
「お前たちは。魔力を持つ一族だ。……そうだ。お前たちは、もったいぶったように隠れていた。魔術すら、使えないのに」
「……先祖が、[漢字]表[/漢字][ふりがな]おもて[/ふりがな]に出て苦労したから」
答えながら、再び 仁井戸を囲むように 紅いもやのようなものを作る。
しかし、すぐにそれも消されてしまった。
「お前らは、所詮は異国から流れてきた者だ。異国、汚れた血。———汚れた奴らが、この国にいることが 許せない!! この国の者だと名乗るのが許せない!」
話しながら仁井戸は怒り狂い、文字通り地団駄を踏む。
「私!が! 私がいる! 異国の、汚れた血も混ざっていない私が! この国で唯一魔力を受け継ぐ私が! この国、いやこの世に私以外の魔力者は要らない……!!」
そう叫びながら、仁井戸は 久世を目掛けて手をかざした。
あたりが[漢字]閃光[/漢字][ふりがな]せんこう[/ふりがな]に包まれる。それとほぼ同時に、紅い閃光も見えた。
- 1.第一章 始まり(1)
- 2.第一章 始まり(2)
- 3.第一章 始まり(3)
- 4.第一章 始まり(4)
- 5.第一章 始まり(5)
- 6.第一章 始まり(6)
- 7.第一章 始まり(7)
- 8.第一章 始まり(8)
- 9.第一章 始まり(9)
- 10.第一章 始まり(10)
- 11.第一章 始まり(11)
- 12.第一章 始まり(12)
- 13.第一章 始まり(13)
- 14.第二章 彼の妹(1)
- 15.第二章 彼の妹(2)
- 16.第二章 彼の妹(3)
- 17.第二章 彼の妹(4)
- 18.第二章 彼の妹(5)
- 19.第二章 彼の妹(6)
- 20.第二章 彼の妹(7)
- 21.第二章 彼の妹(8)
- 22.第二章 彼の妹(9)
- 23.第二章 彼の妹(10)
- 24.第二章 彼の妹(11)
- 25.第二章 彼の妹(12)
- 26.第二章 彼の妹(13)
- 27.第二章 彼の妹(14)
- 28.第二章 彼の妹(15)
- 29.第二章 彼の妹(16)
- 30.第二章 彼の妹(17)
- 31.第二章 彼の妹(18)
- 32.第二章 彼の妹(19)
- 33.第二章 彼の妹(20)
- 34.第三章 神社(1)
- 35.第三章 神社(2)
- 36.第三章 神社(3)
- 37.第三章 神社(4)
- 38.第三章 神社(5)
- 39.第三章 神社(6)
- 40.第三章 神社(7)
- 41.第三章 神社(8)
- 42.第三章 神社(9)
- 43.第三章 神社(10)
- 44.第三章 神社(11)
- 45.第三章 神社(12)
- 46.第三章 神社(13)
- 47.第三章 神社(14)
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- 52.第三章 神社(19)
- 53.第三章 神社(20)
- 54.第三章 神社(21)
- 55.第三章 神社(22)
- 56.第三章 神社(23)
- 57.第四章 別れ(1)
- 58.第四章 別れ(2)
- 59.第四章 別れ(3)
- 60.第四章 別れ(4)
- 61.第四章 別れ(5)
- 62.第四章 別れ(6)
- 63.第四章 別れ(7)
- 64.第四章 別れ(8)
- 65.第四章 別れ(9)
- 66.第四章 別れ(10)
- 67.第五章 異変(1)
- 68.第五章 異変(2)
- 69.第五章 異変(3)
- 70.第五章 異変(4)
- 71.第五章 異変(5)
- 72.第五章 異変(6)
- 73.第五章 異変(7)
- 74.第五章 異変(8)
- 75.第五章 異変(9)
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- 77.第五章 異変(11)
- 78.第五章 異変(12)
- 79.第五章 異変(13)
- 80.第五章 異変(14)
- 81.第五章 異変(15)
- 82. 第五章 異変(16)
- 83.第五章 異変(17)
- 84.第五章 異変(18)
- 85.第五章 異変(19)
- 86.第五章 異変(20)
- 87.第六章 真実(1)
- 88.第六章 真実(2)
- 89.第六章 真実(3)
- 90.第六章 真実(4)
- 91.第六章 真実(5)
- 92.第六章 真実(6)
- 93.第六章 真実(7)
- 94.第六章 真実(8)
- 95.第六章 真実(9)
- 96.第六章 真実(10)
- 97.第六章 真実(11)
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- 99.第六章 真実(13)
- 100.第六章 真実(14)
- 101.第六章 真実(15)
- 102.第六章 真実(16)
- 103.第六章 真実(17)
- 104.第六章 真実(18)
- 105.第六章 真実(19)
- 106.第七章 闘い(1)
- 107.第七章 闘い(2)
- 108.第七章 闘い(3)
- 109.第七章 闘い(4)
- 110.第七章 闘い(5)
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- 127.第七章 闘い(22)
- 128.第七章 闘い(23)
- 129.第七章 闘い(24)
- 130.第七章 闘い(25)
- 131.【幕間】作品解説という名の、作者の妄想ネタを吐き出す場
- 132.第八章 再会(1)
- 133.第八章 再会(2)
- 134.第八章 再会(3)
- 135.第八章 再会(4)
- 136.第八章 再会(5)
- 137.第八章 再会(6)