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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#128

第七章 闘い(23)

 その近くに半壊した小屋がある。
 姉の瞳は不安そうに揺れていた。本当は久世の元に行きたいのだろう。
「お前で最後だ。お前が死ねば、あとは簡単に[漢字]殺[/漢字][ふりがな]や[/ふりがな]れるだろう」
 仁井戸が勝ち誇ったような笑みを浮かべて言う。遠い場所にいるはずなのに、その声はよく聞こえた。
 あたりが静寂で包まれているからだろう。
 たくさんいると思われた信者たちも、ほとんどいない。いるとして、そこに倒れている戸井君の両親くらいだろうか。
「そうね」
 無表情のまま、久世は手のひらから数十個の紅色の球を出す。
 それらを仁井戸目掛けて飛ばした。
「その程度で、私を殺れると思ったか?」
 [漢字]嘲笑[/漢字][ふりがな]あざわら[/ふりがな]うように言って、仁井戸はその全てを消した。
 久世の顔に、驚きは無い。
「手始めに」
 久世が端的に答える。何を意図して言ったのかは分からない。
 仁井戸が懐から刀を取り出した。
 仁井戸が斬ろうとしたが、久世がその動きを止めた。そのまま仁井戸を地面に転がし、刀を粉々に壊す。
「……刀を壊すか」
「妖怪もいない。もういつでも戦える」
 久世が口角を上げる。その瞳は無機質だった。
 久世が光でできた[漢字]紐[/漢字][ふりがな]ひも[/ふりがな]のようなものを無数に繰り出す。それを仁井戸の体に勢いよく巻きつけた。さっさと殺すつもりらしい。
 巻きつけられたひもに触れたところから、血が吹き出す。鋭利なようだった。
 これで終わるかと思いきや———巻きついた紐が全て切れ、消えた。
「ああ、そうだ。いつでも戦える」
 仁井戸が笑みを浮かべる。そのまま、何かを唱え始める。
「え!? 聞いてない……!」
 そばで見ていた戸井君が[漢字]驚愕[/漢字][ふりがな]きょうがく[/ふりがな]したようにつぶやいた。ただ、これが何を意味するのか、凱には分からない。
 久世が目を見開く。
 仁井戸と仁井戸の周りから、刃が[漢字]数多[/漢字][ふりがな]あまた[/ふりがな]現れる。
 久世がそれをやり過ごす。
「お前らは、魔力を知っても魔術を知らない」
 仁井戸が口を開く。
「だが、私は違う。魔力を持ち、魔術を使える」
 久世はじっと立っている。避けきれなかったか、左腕に一本 刃が刺さっていた。そこから、血が流れている。痛がっている様子は[漢字]微塵[/漢字][ふりがな]みじん[/ふりがな]も無かった。
「自分たちだけ、魔力を持って使えると思っていたのか?」
 仁井戸が、満面の笑みを浮かべる。
 仁井戸が再び唱えると、そこには魔法陣が現れた。
「お前も今日で[漢字]終[/漢字][ふりがな]しま[/ふりがな]いだ」
 あたりはもう[漢字]黄昏時[/漢字][ふりがな]たそがれどき[/ふりがな]だった。
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2025/11/27 08:13

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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