その近くに半壊した小屋がある。
姉の瞳は不安そうに揺れていた。本当は久世の元に行きたいのだろう。
「お前で最後だ。お前が死ねば、あとは簡単に[漢字]殺[/漢字][ふりがな]や[/ふりがな]れるだろう」
仁井戸が勝ち誇ったような笑みを浮かべて言う。遠い場所にいるはずなのに、その声はよく聞こえた。
あたりが静寂で包まれているからだろう。
たくさんいると思われた信者たちも、ほとんどいない。いるとして、そこに倒れている戸井君の両親くらいだろうか。
「そうね」
無表情のまま、久世は手のひらから数十個の紅色の球を出す。
それらを仁井戸目掛けて飛ばした。
「その程度で、私を殺れると思ったか?」
[漢字]嘲笑[/漢字][ふりがな]あざわら[/ふりがな]うように言って、仁井戸はその全てを消した。
久世の顔に、驚きは無い。
「手始めに」
久世が端的に答える。何を意図して言ったのかは分からない。
仁井戸が懐から刀を取り出した。
仁井戸が斬ろうとしたが、久世がその動きを止めた。そのまま仁井戸を地面に転がし、刀を粉々に壊す。
「……刀を壊すか」
「妖怪もいない。もういつでも戦える」
久世が口角を上げる。その瞳は無機質だった。
久世が光でできた[漢字]紐[/漢字][ふりがな]ひも[/ふりがな]のようなものを無数に繰り出す。それを仁井戸の体に勢いよく巻きつけた。さっさと殺すつもりらしい。
巻きつけられたひもに触れたところから、血が吹き出す。鋭利なようだった。
これで終わるかと思いきや———巻きついた紐が全て切れ、消えた。
「ああ、そうだ。いつでも戦える」
仁井戸が笑みを浮かべる。そのまま、何かを唱え始める。
「え!? 聞いてない……!」
そばで見ていた戸井君が[漢字]驚愕[/漢字][ふりがな]きょうがく[/ふりがな]したようにつぶやいた。ただ、これが何を意味するのか、凱には分からない。
久世が目を見開く。
仁井戸と仁井戸の周りから、刃が[漢字]数多[/漢字][ふりがな]あまた[/ふりがな]現れる。
久世がそれをやり過ごす。
「お前らは、魔力を知っても魔術を知らない」
仁井戸が口を開く。
「だが、私は違う。魔力を持ち、魔術を使える」
久世はじっと立っている。避けきれなかったか、左腕に一本 刃が刺さっていた。そこから、血が流れている。痛がっている様子は[漢字]微塵[/漢字][ふりがな]みじん[/ふりがな]も無かった。
「自分たちだけ、魔力を持って使えると思っていたのか?」
仁井戸が、満面の笑みを浮かべる。
仁井戸が再び唱えると、そこには魔法陣が現れた。
「お前も今日で[漢字]終[/漢字][ふりがな]しま[/ふりがな]いだ」
あたりはもう[漢字]黄昏時[/漢字][ふりがな]たそがれどき[/ふりがな]だった。
姉の瞳は不安そうに揺れていた。本当は久世の元に行きたいのだろう。
「お前で最後だ。お前が死ねば、あとは簡単に[漢字]殺[/漢字][ふりがな]や[/ふりがな]れるだろう」
仁井戸が勝ち誇ったような笑みを浮かべて言う。遠い場所にいるはずなのに、その声はよく聞こえた。
あたりが静寂で包まれているからだろう。
たくさんいると思われた信者たちも、ほとんどいない。いるとして、そこに倒れている戸井君の両親くらいだろうか。
「そうね」
無表情のまま、久世は手のひらから数十個の紅色の球を出す。
それらを仁井戸目掛けて飛ばした。
「その程度で、私を殺れると思ったか?」
[漢字]嘲笑[/漢字][ふりがな]あざわら[/ふりがな]うように言って、仁井戸はその全てを消した。
久世の顔に、驚きは無い。
「手始めに」
久世が端的に答える。何を意図して言ったのかは分からない。
仁井戸が懐から刀を取り出した。
仁井戸が斬ろうとしたが、久世がその動きを止めた。そのまま仁井戸を地面に転がし、刀を粉々に壊す。
「……刀を壊すか」
「妖怪もいない。もういつでも戦える」
久世が口角を上げる。その瞳は無機質だった。
久世が光でできた[漢字]紐[/漢字][ふりがな]ひも[/ふりがな]のようなものを無数に繰り出す。それを仁井戸の体に勢いよく巻きつけた。さっさと殺すつもりらしい。
巻きつけられたひもに触れたところから、血が吹き出す。鋭利なようだった。
これで終わるかと思いきや———巻きついた紐が全て切れ、消えた。
「ああ、そうだ。いつでも戦える」
仁井戸が笑みを浮かべる。そのまま、何かを唱え始める。
「え!? 聞いてない……!」
そばで見ていた戸井君が[漢字]驚愕[/漢字][ふりがな]きょうがく[/ふりがな]したようにつぶやいた。ただ、これが何を意味するのか、凱には分からない。
久世が目を見開く。
仁井戸と仁井戸の周りから、刃が[漢字]数多[/漢字][ふりがな]あまた[/ふりがな]現れる。
久世がそれをやり過ごす。
「お前らは、魔力を知っても魔術を知らない」
仁井戸が口を開く。
「だが、私は違う。魔力を持ち、魔術を使える」
久世はじっと立っている。避けきれなかったか、左腕に一本 刃が刺さっていた。そこから、血が流れている。痛がっている様子は[漢字]微塵[/漢字][ふりがな]みじん[/ふりがな]も無かった。
「自分たちだけ、魔力を持って使えると思っていたのか?」
仁井戸が、満面の笑みを浮かべる。
仁井戸が再び唱えると、そこには魔法陣が現れた。
「お前も今日で[漢字]終[/漢字][ふりがな]しま[/ふりがな]いだ」
あたりはもう[漢字]黄昏時[/漢字][ふりがな]たそがれどき[/ふりがな]だった。
- 1.第一章 始まり(1)
- 2.第一章 始まり(2)
- 3.第一章 始まり(3)
- 4.第一章 始まり(4)
- 5.第一章 始まり(5)
- 6.第一章 始まり(6)
- 7.第一章 始まり(7)
- 8.第一章 始まり(8)
- 9.第一章 始まり(9)
- 10.第一章 始まり(10)
- 11.第一章 始まり(11)
- 12.第一章 始まり(12)
- 13.第一章 始まり(13)
- 14.第二章 彼の妹(1)
- 15.第二章 彼の妹(2)
- 16.第二章 彼の妹(3)
- 17.第二章 彼の妹(4)
- 18.第二章 彼の妹(5)
- 19.第二章 彼の妹(6)
- 20.第二章 彼の妹(7)
- 21.第二章 彼の妹(8)
- 22.第二章 彼の妹(9)
- 23.第二章 彼の妹(10)
- 24.第二章 彼の妹(11)
- 25.第二章 彼の妹(12)
- 26.第二章 彼の妹(13)
- 27.第二章 彼の妹(14)
- 28.第二章 彼の妹(15)
- 29.第二章 彼の妹(16)
- 30.第二章 彼の妹(17)
- 31.第二章 彼の妹(18)
- 32.第二章 彼の妹(19)
- 33.第二章 彼の妹(20)
- 34.第三章 神社(1)
- 35.第三章 神社(2)
- 36.第三章 神社(3)
- 37.第三章 神社(4)
- 38.第三章 神社(5)
- 39.第三章 神社(6)
- 40.第三章 神社(7)
- 41.第三章 神社(8)
- 42.第三章 神社(9)
- 43.第三章 神社(10)
- 44.第三章 神社(11)
- 45.第三章 神社(12)
- 46.第三章 神社(13)
- 47.第三章 神社(14)
- 48.第三章 神社(15)
- 49.第三章 神社(16)
- 50.第三章 神社(17)
- 51.第三章 神社(18)
- 52.第三章 神社(19)
- 53.第三章 神社(20)
- 54.第三章 神社(21)
- 55.第三章 神社(22)
- 56.第三章 神社(23)
- 57.第四章 別れ(1)
- 58.第四章 別れ(2)
- 59.第四章 別れ(3)
- 60.第四章 別れ(4)
- 61.第四章 別れ(5)
- 62.第四章 別れ(6)
- 63.第四章 別れ(7)
- 64.第四章 別れ(8)
- 65.第四章 別れ(9)
- 66.第四章 別れ(10)
- 67.第五章 異変(1)
- 68.第五章 異変(2)
- 69.第五章 異変(3)
- 70.第五章 異変(4)
- 71.第五章 異変(5)
- 72.第五章 異変(6)
- 73.第五章 異変(7)
- 74.第五章 異変(8)
- 75.第五章 異変(9)
- 76.第五章 異変(10)
- 77.第五章 異変(11)
- 78.第五章 異変(12)
- 79.第五章 異変(13)
- 80.第五章 異変(14)
- 81.第五章 異変(15)
- 82. 第五章 異変(16)
- 83.第五章 異変(17)
- 84.第五章 異変(18)
- 85.第五章 異変(19)
- 86.第五章 異変(20)
- 87.第六章 真実(1)
- 88.第六章 真実(2)
- 89.第六章 真実(3)
- 90.第六章 真実(4)
- 91.第六章 真実(5)
- 92.第六章 真実(6)
- 93.第六章 真実(7)
- 94.第六章 真実(8)
- 95.第六章 真実(9)
- 96.第六章 真実(10)
- 97.第六章 真実(11)
- 98.第六章 真実(12)
- 99.第六章 真実(13)
- 100.第六章 真実(14)
- 101.第六章 真実(15)
- 102.第六章 真実(16)
- 103.第六章 真実(17)
- 104.第六章 真実(18)
- 105.第六章 真実(19)
- 106.第七章 闘い(1)
- 107.第七章 闘い(2)
- 108.第七章 闘い(3)
- 109.第七章 闘い(4)
- 110.第七章 闘い(5)
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- 128.第七章 闘い(23)
- 129.第七章 闘い(24)
- 130.第七章 闘い(25)
- 131.【幕間】作品解説という名の、作者の妄想ネタを吐き出す場
- 132.第八章 再会(1)
- 133.第八章 再会(2)
- 134.第八章 再会(3)
- 135.第八章 再会(4)
- 136.第八章 再会(5)
- 137.第八章 再会(6)