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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#127

第七章 闘い(22)

「馨、さんは……他の人たちは、」
 あの状況では生存は絶望的だと思いつつ、聞く。
「亡くなった……多分。」
 姉が俯いたままつぶやいた。
「……私、あの邸にいたの。最初はお姉様のところにいたのだけれど、お姉様が、お兄様のところに行くって言い出して……」
 ほとんど何も考えていないように、言葉を[漢字]紡[/漢字][ふりがな]つむ[/ふりがな]ぐ。気づけば、失踪前と違って、凱に敬語を使わなくなっていた。
「あの邸に、行った。美冬ちゃんって子がいて、私の姪だって言われた。お兄様とお姉様は別のところに行ってしまって、私は美冬ちゃんと遊んでた」
 ぽつぽつと姉は話し始めた。
「私、あの邸に残されて。美冬ちゃんはお姉様に連れて帰られた。また来るから待っててって、お姉様には言われた」
 そこまで話して、口をつぐんだ。
「あなたが、凱くんのお姉さん? 百鬼の縁者だっていう」
 その合間を狙い、戸井君が聞く。姉は黙ったまま首肯した。
「……私にも魔力があるって言われた。」
 姉がそう言って凱の方に顔を向ける。
 そのとき、凱は初めて気づいた。
 姉の瞳が、一般の焦茶から薄い青色に変わっていることに。
 瞳の色まで変わると、姉は本当にあの鏡の中の[漢字]永姫[/漢字][ふりがな]えいき[/ふりがな]に似ていた。
 父は複雑そうな顔をしてその場に立っていた。
「あなたは、凱さんの友人?」
 姉はこちらを見ることなく聞く。
「そう。戸井[漢字]脩一[/漢字][ふりがな]しゅういち[/ふりがな]といいます。」
 戸井君が名乗ると、父が「そうか」とだけ呟いた。


 どこかで、紅色の光が見えた。
 姉がはっと息を呑み、その方向を見つめる。
 しばらくして意を決したように立ち上がり、駆け出した。
「姉さん!」
 凱が姉の後を追う。
 そう走らないうちに、誰かが倒れているのが見えた。
「えっ、父さんと母さん?」
 戸井君が彼らに駆け寄る。その首筋に指を当てて、
「あ、生きてる……よかった……」
 とつぶやいた。

 姉の方を見ると、姉は遠くの方をぼんやりと見ている。
 凱がその方向を見ると、少し離れたところで誰かが一対一で向かい合っているのが分かった。
 久世と仁井戸だ。
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2025/11/26 08:14

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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