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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#126

第七章 闘い(21)

 続いて、ドーンという爆発音が耳をつんざいた。思わず目を[漢字]瞑[/漢字][ふりがな]つむ[/ふりがな]り、耳を塞ぐ。
 恐る恐る目を開けてみても、いまだに視界は黄で染まっていた。
 一分ほどの時間をかけて、徐々に視界が開けていく。
 さっきまで見つめていた、前方を見た。
(……っ!)
 邸が何かに押しつぶされたかのように原形を留めず全壊し、燃えていた。
 邸を壊していた妖怪は、いない。消えていた。周りを見る。他の妖怪もいない。
([漢字]馨[/漢字][ふりがな]かおる[/ふりがな]さんは……?)
 馨だけじゃない、竜ヶ崎に戻った久世も、姉も。死んではいないだろうか。
「どうなったんだ……?」
 父が困惑したように邸の方に足を踏み出す、そのとき。
「時庭さん!」
 久世の声がした。振り向くと、久世と、久世に手を引かれている少女が走ってきていた。
 ———姉だ。
 前のように不健康に痩せておらず、綺麗に髪を結われ、綺麗な着物を[漢字]纏[/漢字][ふりがな]まと[/ふりがな]っていた。見違えるほど美しかった。
「! 姉さん……!」
 凱が姉に声をかけると、姉は驚いたように凱を見た。久世は凱を[漢字]一瞥[/漢字][ふりがな]いちべつ[/ふりがな]して、視線を逸らす。
 二人とも、生きていた。そのことに安堵した。
 久世が凱たちの前に来る。
「妹をよろしく」
 何か話すでもなく、久世は朝水を父の前まで連れてくると、[漢字]異父妹[/漢字][ふりがな]いもうと[/ふりがな]の手を離し、[漢字]踵[/漢字][ふりがな]きびす[/ふりがな]を返した。
「! お姉様、待ってっ、私も——」
「そこにいなさい!」
 朝水が久世に手を伸ばすが、久世はそれを振り払った。
「あなたまで死にに行かなくていい。私たちのように生きないでちょうだい」
「でも、お姉様、」
「少なくともお母さまは望まないでしょう」
 亡き母を出されたからか、姉が[漢字]逡巡[/漢字][ふりがな]しゅんじゅん[/ふりがな]したように視線を[漢字]彷徨[/漢字][ふりがな]さまよ[/ふりがな]わせる。
「じゃあ」
 久世は妹の頭を撫でると、そのまま走り去ってしまった。
 その後ろ姿を、姉はただ呆然と見送る。
「……姉さん」
 凱が呼ぶと、姉はこちらに顔を向けた。その顔は、泣いていないのに泣いているように見えた。
 姉は異父姉である久世のことを『お姉様』と呼んでいた。こちらにいる間に、姉妹として過ごしたのだろうか。
「凱、さん……」
 気が抜けたのかしゃがみこみ、両手で顔を覆う。
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2025/11/25 11:35

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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