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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#125

第七章 闘い(20)

「そ、そうだな。分かった」
 そう言って、いそいそと刀を仕舞う。拍子抜けするほど、ずいぶんとあっさり引いてくれた。
 そして、ここから逆方向の、山奥へと向かっていった。
 それを見ながら 凱は式を作り、その女の人に山を抜ける道筋を教えさせる。女の人がその後を追って歩き始めたのを見届け、凱たちは歩き始めた。

[水平線]
「凱か……!?」
 [漢字]開[/漢字][ふりがな]ひら[/ふりがな]けたところに出た。
 そこで会ったのは———なんと父だった。
「父さん……!?」
 父が凱の元に駆け寄る。
「どうやって、何で、ここに」
「汽車とか使って、来た。姉さんが心配で。……父さんは?」
「私は、仁井戸さんに言われてここに来た」
 仁井戸さんに言われて来た。
 久世に、止められているはずではないのか。
 父は 凱の心情に気づいたらしく、苦笑いのようなものを顔に浮かべた。
「[漢字]罠[/漢字][ふりがな]わな[/ふりがな]があるなら、飛び込もうという気持ちだった。……それより、[漢字]朝水[/漢字][ふりがな]あさみ[/ふりがな]が ここにいるのか?」
「って聞いた」
 そのときようやく、父は戸井君の存在に気づいたようだった。
「君は……」
 戸井君が答える前に、ドン、ドン、と音がした。
 その方向を見ると、首塚山で見たものと同じような邸があった。
(あそこに、馨さんがいる……)
 普通の邸と比べて高い塀が、広範囲に渡って大きく崩れている。
 近くには、かなり大きな妖怪がいる。おそらくかなり強いだろう。
 妖怪がさらにバリバリという聞いたことのない音を立てて邸の壁を壊していく。あっという間に一区画が潰れた。
 あのままだと邸全体が壊れる。どうにかできることかあるだろうか。———だが凱はもちろん倒せないし、父でも新代神社のときなど比にならないほど苦戦するだろう。
「父さん。今、どういう状況なんですか」
 凱がそう尋ねると、父は苦虫を[漢字]噛[/漢字][ふりがな]か[/ふりがな]み[漢字]潰[/漢字][ふりがな]つぶ[/ふりがな]したような顔をした。
 それだけでも、良くない状況なのだと分かる。
「……分からない。だが馨さんたちの姿は、見た。朝水は知らない」
 なら、本当に彼らはここにいるのだ。
「どうやって見たんですか……?」
「どうやっても何も、普通に出てきたんだ。今はもう邸の中へ戻っているが」
 父が、今もなお壊され続けている邸を振り返った。
 凱も、そちらに視線を向ける。


 ———瞬間、視界が余すことなく黄に染まった。
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2025/11/23 20:12

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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