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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#124

第七章 闘い(19)

「っえ、わ、お前は……! あの一族の仲間か……!」
 さっきまでとは違う、大声に少し驚く。一瞬だけでも想定した反応だった。
「お前はっ、戸井さんの息子を、騙しに来たのか……!」
 そう言いながら、[漢字]懐[/漢字][ふりがな]ふところ[/ふりがな]から短刀を取り出した。
「っわっ、凱くん、危ないよ……!」
 その様子を見た戸井君が、慌てて凱の袖を引っ張る。
 それも構わず、男はこちらへ斬りかかってきた。さっと[漢字]躱[/漢字][ふりがな]かわ[/ふりがな]す。
 向こうは短刀とはいえ、刀を持っている、対してこっちは丸腰。確かに危ない。でも———
(逃げたら、この女の人はもちろん、戸井君も殺される)
 時庭の人間である凱の味方をした時点で、戸井君も彼らにとっては敵なのだ。
 男が歯ぎしりするのが聞こえた。
そして、再び斬りかかろうとしてくる。それも[漢字]躱[/漢字][ふりがな]かわ[/ふりがな]す。
「ね、戸井君、女の人と下がってて」
 そう言うと、戸井君は頷いた。

 攻撃を避けながら、どうするべきか考えていた。
 とりあえず、目の前の男を 再起不能か、それに近い状態にさせたい。
 しかし、武器は、男が持っている短刀しかない。
(あれを奪う? いや、そうするしかない)
 しかし、やり方が分からない。
 しばらく悩んだ、その隙をつくように凱の胸 目掛けて 短刀が飛んでくる。
(! 避けきれない……!?)
 かわそうとしつつ、先ほどと同じ要領で、その手首を握った。わずかに避けきれず、刀の先が、凱の袖を切る。
 男が振り切ろうと両手を動かすのを、必死に[漢字]止[/漢字][ふりがな]とど[/ふりがな]めた。
「っ、離せっ……!」
 男がそう言ったが、離すわけがない。
 そのとき、短刀を握る男の手に、誰かの手が加わった。
 戸井君だ。
「人を殺そうとしちゃダメだよ。それに、あのお方は、凱くんのことは見逃すと言っていた。」
 穏やかな声色だった。
「は……? 嘘だ、そんな———」
「嘘じゃない。だいたい、あなたはこの女の人に、『あの方が命じたこと以外をするな』って言ったよね。じゃあ、あなたは、凱くんを殺すことをあの方から指示されていたの?」
 戸井君がそう問うと、男は 回答に詰まったようで視線を[漢字]彷徨[/漢字][ふりがな]さまよ[/ふりがな]わせた。
「命じられてないよね。じゃあ、やっちゃいけないよね。……この女の人だって、竜ヶ崎の外で仕事があるんだ。出ていくことを、認めてやってもいいよね?」
 違う。この女の人は、指示されて出ていっているのではない。
 だが、戸井君の勢いに、男は完全に納得してしまったようだった。
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2025/11/23 09:21

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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