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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#123

第七章 闘い(18)

「それで、よく分からないけど、我に返った。私、今、何やっているんだろうって……」
 光を見て、我に返ったのか。———黄色の光。馨のものか。
 そういえば、馨は 精神系が得意だと、久世が言っていた。
「ひどい、ですね」
 戸井君が同情したようにうなずく。
「うん、うん、それで、今……。その、魔法使いって人が強くてね、だいたいの妖怪は死んだの。でも、まだ強いやつは何体か残ってる……」
「……分かりました。ありがとうございます。」
 凱が、そう答えたとき。

 ———不意に、どこからかバタバタと音が聞こえた。
「ひっ……!」
 その女の人が、ひどく[漢字]怯[/漢字][ふりがな]おび[/ふりがな]える。
「———何をしているんだ?」
 後ろからやってきたのは、少し小太りな男だった。目が[漢字]虚[/漢字][ふりがな]うつろ[/ふりがな]だ。
「なっ、私はっ、私は何もしておりませんっ……!」
「あのお方は、あなたに、このような所へ行けとは言っていないと思うが?」
 ———まずい。
 直感でそう思った。隣にいる戸井君もそのように感じたか、顔がこわばっている。
 男が、手を振り上げた。
 [漢字]咄嗟[/漢字][ふりがな]とっさ[/ふりがな]に、凱は女性の前に出た。ほとんど無意識だった。
「凱くん!」
 戸井君が後ろで叫んだのが聞こえた。
 勢いよく振り下ろされる拳を、その手首を、利き腕でない左手だけで止める。 思ったより衝撃が強かった。力が[漢字]要[/漢字][ふりがな]い[/ふりがな]った。
「はぁ?」
 男が目を見張る。
「人を殴ろうとしないでください。」
 凱がはっきりとそう言うと、男は見るからに不機嫌になった。
「それはこいつが。この女が。あのお方の命に逆らおうとするからだ……!」
 それが、唯一絶対の悪なのだと言うようだった。
「お前たちは誰なんだ? ……ああ、そなたは、戸井さんのところの坊ちゃんではないか」
 そこで初めて、男は戸井君の存在を確認したらしい。頬を緩めた。
 しかし、すぐにそれは 硬いものへと変わる。
「そして、お前は誰なんだ?」
 凱を振り向いて、男が問う。
「時庭 凱です。戸井君は友人です」
 しっかりと男の目を見て、凱は答えた。
 瞬間、男がワナワナと手を震わせ始める。
 ———思い出した。
 仁井戸たちにとって。凱たち時庭の人間も、敵なのだ。
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2025/11/22 10:31

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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