文字サイズ変更

【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#121

第七章 闘い(16)

「———は? それ本気で言ってんの?」
 最初に眉を[漢字]顰[/漢字][ふりがな]ひそ[/ふりがな]めたのは、斎だった。戸井君はずっと黙っている。
「……とりあえず、ここじゃなんだから、場所を移動しようか」
 確かに、ここが仁井戸の邸であることを忘れていた。
 外に出てみると、あたりは[漢字]黄昏[/漢字][ふりがな]たそがれ[/ふりがな]時だった。
 美冬はいつのまにか蓮の腕の中で眠っている。
 邸の門の外まで出ると、「それ、本気で言ってんの?」と斎が再び聞いてきた。
「本気。僕は竜ヶ崎まで行く。姉さんのこともあるし」
 斎はしばらく凱の目を見ていて、「分かった」と言った。
「あそこ、妖怪だらけの戦場だろ。無事で帰ってこいよ」
 斎の言葉に、凱も「分かった」とうなずいた。
「よく分からんけど、凱くんがそう決めたなら止めないよ。俺、凱くんの保護者でもなんでもないから」
 蓮もうなずく。
「あ、でも、親にはちゃんと言っておくんだよ」
 蓮が思い出したように付け足す。それにも、凱はうなずいた。
「僕も行く」
 ずっと黙っていた戸井君が、手を挙げた。
「父さんと母さんを止めなきゃ」
 戸井君の親は、仁井戸に[漢字]与[/漢字][ふりがな]くみ[/ふりがな]していた。
「二人とも行くのかよ。分かった。とりあえず、今日は家に帰って寝ろよ」
 斎が軽く伸びをする。もうあたりは暗かった。
「じゃあ、明日か明後日、僕 凱くんの家に行くね」
 戸井君がそう言って、凱はうなずいた。

「———母さん、僕、明日か明後日に竜ヶ崎に向かいます」
 邸に帰り、[漢字]夕餉[/漢字][ふりがな]ゆうげ[/ふりがな]をとり、母にそう告げた。
 何をしに行くかは、おそらく母はもう分かっているだろう。
 母はじっと凱を見ていて、
「……そう。行ってらっしゃい。気をつけるのよ」
 とだけ返した。

 戸井君が時庭の邸に来たのは、その翌日の夕方だった。
「明日、発とう」
「分かった」
 その日、戸井君は時庭家で寝泊まりした。
 
「いってきます」
 準備をして、戸井君と二人で家を出た。
 当分は戻ってこられないかもしれないな、と思いながら邸を見上げる。
 凱たちには瞬間移動は出来ないので、地道に汽車を使っていく。
 まずは汽車に乗るために帝都へ行く。時庭家は帝都の外れにあるので、少し時間がかかる。
 帝都につながっている電車に乗り、帝都に行く。そこで、汽車に乗り換えた。
「着いたら、どうするの?」
 戸井君が聞いてくる。
「とりあえず、どういう状態なのか見てみるよ。あと、邸も見つけたい」
「そうだね」
 のんびり景色を見たり寝ていたりしているうちに竜ヶ崎に着いた。
ページ選択

2025/11/20 09:10

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
コメント

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権は錦野 真名さんに帰属します

TOP