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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#119

第七章 闘い(14)

「凱ー?」
 斎だった。びっくりした。
「あ、うん」
「お前、大丈夫だったん?」
 斎が入ってくる。さらに後ろに誰かが入ってきた。
「凱くん」
 蓮だった。
 幼い女の子を抱いている。その子は[漢字]深紫[/漢字][ふりがな]ふかむらさき[/ふりがな]の髪に、薄い青色の瞳をしていた。
「大丈夫だった?」
「あ、はい」
「じゃあ待ってよっか、久世ならきっと、大丈夫」
「あの、その子は……?」
「あ、この子? [漢字]美冬[/漢字][ふりがな]みふゆ[/ふりがな]ちゃんだよ。可愛いでしょ。流石に四歳の子を留守番には出来なくてさ」
 美冬。———馨の娘か。
 美冬は物珍しそうにじっと凱たちを見ていたが、恥ずかしくなったのか、ふいっと視線を逸らしてしまった。
 そのとき、バンっと大きな音がした。地下からだ。
 不安になる。久世に何かあったのだろうか。

 その後、しばらく無音だった。
 やがて、カツカツという音が聞こえる。
 久世が階段から顔を見せた。怪我どころか、服にも汚れ一つ付いていない。
「あ、久世さん———」
「久世。大丈夫だったん? 妖怪は?」
 凱が何かを言う前に、蓮が美冬を抱いたまま久世の方に駆け寄る。
「殺した」
 久世が蓮から美冬を抱き取った。
 久世が美冬の頭を撫でると、美冬は嬉しそうに笑う。
「匂いがきつかった。結界越しでもさ。多分あれが人の思考回路を狂わせたんだと思う」
「そうかそうか。大丈夫だったか?」
「逆に大丈夫じゃないと思う?」
「思わない」
 久世がため息をついた。
「あれ、戦闘には特化していない妖怪だった。ただ、洗脳させることができる匂いを放つだ
け」
 妖怪の仕業だったのか。
「だから、匂いさえ気をつければ、簡単に[漢字]祓[/漢字][ふりがな]はら[/ふりがな]えたの」
 そうだったのか。
「そんなものか」
「そう。……多分、もう大丈夫よ」
 そう言って久世は地下を指差した。
「でも、あんまり見に行かない方がいいかもね。[漢字]骸[/漢字][ふりがな]むくろ[/ふりがな]がたくさんあったもの」
 ぞっとする。凱たちの憶測は、合っていたのか。
「ほんとにあったのか……」
 斎が軽くため息をついた。聞いていて気分のいいものではない。
「……久世。他に、このような場所があると思うか」
 蓮が久世に問いかける。[漢字]微[/漢字][ふりがな]かす[/ふりがな]かに怒りを[漢字]孕[/漢字][ふりがな]はら[/ふりがな]んでいた。
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2025/11/18 07:31

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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