「凱ー?」
斎だった。びっくりした。
「あ、うん」
「お前、大丈夫だったん?」
斎が入ってくる。さらに後ろに誰かが入ってきた。
「凱くん」
蓮だった。
幼い女の子を抱いている。その子は[漢字]深紫[/漢字][ふりがな]ふかむらさき[/ふりがな]の髪に、薄い青色の瞳をしていた。
「大丈夫だった?」
「あ、はい」
「じゃあ待ってよっか、久世ならきっと、大丈夫」
「あの、その子は……?」
「あ、この子? [漢字]美冬[/漢字][ふりがな]みふゆ[/ふりがな]ちゃんだよ。可愛いでしょ。流石に四歳の子を留守番には出来なくてさ」
美冬。———馨の娘か。
美冬は物珍しそうにじっと凱たちを見ていたが、恥ずかしくなったのか、ふいっと視線を逸らしてしまった。
そのとき、バンっと大きな音がした。地下からだ。
不安になる。久世に何かあったのだろうか。
その後、しばらく無音だった。
やがて、カツカツという音が聞こえる。
久世が階段から顔を見せた。怪我どころか、服にも汚れ一つ付いていない。
「あ、久世さん———」
「久世。大丈夫だったん? 妖怪は?」
凱が何かを言う前に、蓮が美冬を抱いたまま久世の方に駆け寄る。
「殺した」
久世が蓮から美冬を抱き取った。
久世が美冬の頭を撫でると、美冬は嬉しそうに笑う。
「匂いがきつかった。結界越しでもさ。多分あれが人の思考回路を狂わせたんだと思う」
「そうかそうか。大丈夫だったか?」
「逆に大丈夫じゃないと思う?」
「思わない」
久世がため息をついた。
「あれ、戦闘には特化していない妖怪だった。ただ、洗脳させることができる匂いを放つだ
け」
妖怪の仕業だったのか。
「だから、匂いさえ気をつければ、簡単に[漢字]祓[/漢字][ふりがな]はら[/ふりがな]えたの」
そうだったのか。
「そんなものか」
「そう。……多分、もう大丈夫よ」
そう言って久世は地下を指差した。
「でも、あんまり見に行かない方がいいかもね。[漢字]骸[/漢字][ふりがな]むくろ[/ふりがな]がたくさんあったもの」
ぞっとする。凱たちの憶測は、合っていたのか。
「ほんとにあったのか……」
斎が軽くため息をついた。聞いていて気分のいいものではない。
「……久世。他に、このような場所があると思うか」
蓮が久世に問いかける。[漢字]微[/漢字][ふりがな]かす[/ふりがな]かに怒りを[漢字]孕[/漢字][ふりがな]はら[/ふりがな]んでいた。
斎だった。びっくりした。
「あ、うん」
「お前、大丈夫だったん?」
斎が入ってくる。さらに後ろに誰かが入ってきた。
「凱くん」
蓮だった。
幼い女の子を抱いている。その子は[漢字]深紫[/漢字][ふりがな]ふかむらさき[/ふりがな]の髪に、薄い青色の瞳をしていた。
「大丈夫だった?」
「あ、はい」
「じゃあ待ってよっか、久世ならきっと、大丈夫」
「あの、その子は……?」
「あ、この子? [漢字]美冬[/漢字][ふりがな]みふゆ[/ふりがな]ちゃんだよ。可愛いでしょ。流石に四歳の子を留守番には出来なくてさ」
美冬。———馨の娘か。
美冬は物珍しそうにじっと凱たちを見ていたが、恥ずかしくなったのか、ふいっと視線を逸らしてしまった。
そのとき、バンっと大きな音がした。地下からだ。
不安になる。久世に何かあったのだろうか。
その後、しばらく無音だった。
やがて、カツカツという音が聞こえる。
久世が階段から顔を見せた。怪我どころか、服にも汚れ一つ付いていない。
「あ、久世さん———」
「久世。大丈夫だったん? 妖怪は?」
凱が何かを言う前に、蓮が美冬を抱いたまま久世の方に駆け寄る。
「殺した」
久世が蓮から美冬を抱き取った。
久世が美冬の頭を撫でると、美冬は嬉しそうに笑う。
「匂いがきつかった。結界越しでもさ。多分あれが人の思考回路を狂わせたんだと思う」
「そうかそうか。大丈夫だったか?」
「逆に大丈夫じゃないと思う?」
「思わない」
久世がため息をついた。
「あれ、戦闘には特化していない妖怪だった。ただ、洗脳させることができる匂いを放つだ
け」
妖怪の仕業だったのか。
「だから、匂いさえ気をつければ、簡単に[漢字]祓[/漢字][ふりがな]はら[/ふりがな]えたの」
そうだったのか。
「そんなものか」
「そう。……多分、もう大丈夫よ」
そう言って久世は地下を指差した。
「でも、あんまり見に行かない方がいいかもね。[漢字]骸[/漢字][ふりがな]むくろ[/ふりがな]がたくさんあったもの」
ぞっとする。凱たちの憶測は、合っていたのか。
「ほんとにあったのか……」
斎が軽くため息をついた。聞いていて気分のいいものではない。
「……久世。他に、このような場所があると思うか」
蓮が久世に問いかける。[漢字]微[/漢字][ふりがな]かす[/ふりがな]かに怒りを[漢字]孕[/漢字][ふりがな]はら[/ふりがな]んでいた。
- 1.第一章 始まり(1)
- 2.第一章 始まり(2)
- 3.第一章 始まり(3)
- 4.第一章 始まり(4)
- 5.第一章 始まり(5)
- 6.第一章 始まり(6)
- 7.第一章 始まり(7)
- 8.第一章 始まり(8)
- 9.第一章 始まり(9)
- 10.第一章 始まり(10)
- 11.第一章 始まり(11)
- 12.第一章 始まり(12)
- 13.第一章 始まり(13)
- 14.第二章 彼の妹(1)
- 15.第二章 彼の妹(2)
- 16.第二章 彼の妹(3)
- 17.第二章 彼の妹(4)
- 18.第二章 彼の妹(5)
- 19.第二章 彼の妹(6)
- 20.第二章 彼の妹(7)
- 21.第二章 彼の妹(8)
- 22.第二章 彼の妹(9)
- 23.第二章 彼の妹(10)
- 24.第二章 彼の妹(11)
- 25.第二章 彼の妹(12)
- 26.第二章 彼の妹(13)
- 27.第二章 彼の妹(14)
- 28.第二章 彼の妹(15)
- 29.第二章 彼の妹(16)
- 30.第二章 彼の妹(17)
- 31.第二章 彼の妹(18)
- 32.第二章 彼の妹(19)
- 33.第二章 彼の妹(20)
- 34.第三章 神社(1)
- 35.第三章 神社(2)
- 36.第三章 神社(3)
- 37.第三章 神社(4)
- 38.第三章 神社(5)
- 39.第三章 神社(6)
- 40.第三章 神社(7)
- 41.第三章 神社(8)
- 42.第三章 神社(9)
- 43.第三章 神社(10)
- 44.第三章 神社(11)
- 45.第三章 神社(12)
- 46.第三章 神社(13)
- 47.第三章 神社(14)
- 48.第三章 神社(15)
- 49.第三章 神社(16)
- 50.第三章 神社(17)
- 51.第三章 神社(18)
- 52.第三章 神社(19)
- 53.第三章 神社(20)
- 54.第三章 神社(21)
- 55.第三章 神社(22)
- 56.第三章 神社(23)
- 57.第四章 別れ(1)
- 58.第四章 別れ(2)
- 59.第四章 別れ(3)
- 60.第四章 別れ(4)
- 61.第四章 別れ(5)
- 62.第四章 別れ(6)
- 63.第四章 別れ(7)
- 64.第四章 別れ(8)
- 65.第四章 別れ(9)
- 66.第四章 別れ(10)
- 67.第五章 異変(1)
- 68.第五章 異変(2)
- 69.第五章 異変(3)
- 70.第五章 異変(4)
- 71.第五章 異変(5)
- 72.第五章 異変(6)
- 73.第五章 異変(7)
- 74.第五章 異変(8)
- 75.第五章 異変(9)
- 76.第五章 異変(10)
- 77.第五章 異変(11)
- 78.第五章 異変(12)
- 79.第五章 異変(13)
- 80.第五章 異変(14)
- 81.第五章 異変(15)
- 82. 第五章 異変(16)
- 83.第五章 異変(17)
- 84.第五章 異変(18)
- 85.第五章 異変(19)
- 86.第五章 異変(20)
- 87.第六章 真実(1)
- 88.第六章 真実(2)
- 89.第六章 真実(3)
- 90.第六章 真実(4)
- 91.第六章 真実(5)
- 92.第六章 真実(6)
- 93.第六章 真実(7)
- 94.第六章 真実(8)
- 95.第六章 真実(9)
- 96.第六章 真実(10)
- 97.第六章 真実(11)
- 98.第六章 真実(12)
- 99.第六章 真実(13)
- 100.第六章 真実(14)
- 101.第六章 真実(15)
- 102.第六章 真実(16)
- 103.第六章 真実(17)
- 104.第六章 真実(18)
- 105.第六章 真実(19)
- 106.第七章 闘い(1)
- 107.第七章 闘い(2)
- 108.第七章 闘い(3)
- 109.第七章 闘い(4)
- 110.第七章 闘い(5)
- 111.第七章 闘い(6)
- 112.第七章 闘い(7)
- 113.第七章 闘い(8)
- 114.第七章 闘い(9)
- 115.第七章 闘い(10)
- 116.第七章 闘い(11)
- 117.第七章 闘い(12)
- 118.第七章 闘い(13)
- 119.第七章 闘い(14)
- 120.第七章 闘い(15)
- 121.第七章 闘い(16)
- 122.第七章 闘い(17)
- 123.第七章 闘い(18)
- 124.第七章 闘い(19)
- 125.第七章 闘い(20)
- 126.第七章 闘い(21)
- 127.第七章 闘い(22)
- 128.第七章 闘い(23)
- 129.第七章 闘い(24)
- 130.第七章 闘い(25)
- 131.【幕間】作品解説という名の、作者の妄想ネタを吐き出す場
- 132.第八章 再会(1)
- 133.第八章 再会(2)
- 134.第八章 再会(3)
- 135.第八章 再会(4)
- 136.第八章 再会(5)
- 137.第八章 再会(6)