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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#118

第七章 闘い(13)

「……馨さんなら、なんとかできるんですか」
「と、思う」
 そう言って、大きく息を吐いた。馨は精神に特化した魔力を持つらしい。
「まあそんなこと置いといて、凱君も地下行ったんだよね? どういう状態だったの?」
 気を取りなおすように、久世が話題を戻す。
「えっと……真っ暗闇、でした。後は、何かが腐ったような、甘いような匂いがして……。それくらいしか覚えていません」
「そう。分かった」
 久世が立ち上がった。
「私も行く。そこらへんで待ってて」
 言葉を理解するのに少し時間がかかった。
「え!? 危ないですよ!?」
 凱の制止も聞かず、久世は階段の前に立った。
 手のひらの上にに紅色の球を一つ出す。それを、地下に送り込んだ。
 途端に、バタバタと地下から階段を駆け上がる音が聞こえる。 
 久世が紅色の球をさらに十数個出す。
 久世が手を前に出すと、ふわふわと浮かんでいたそれらは吸い込まれていくように地下へ向かう。
 それと同時に、バタバタと人が倒れるような音が聞こえた。
「あまり人と戦いたくないんだけどなー」
 久世がぼやくように言う。
 やがて、二、三個の紅色の球が久世の元に戻ってきた。
 久世がそれらを両手で包み、吸収する。
「あっさり終わったなぁ」
 久世がさらに階段を降りていく。
 地下の入り口付近でとても強い紅色の光が見えた。

 うとうとしていた戸井君がふっと目を覚ました。
「あ、れ……?」
 戸井君がぼんやりとしたように目をこする。
「……戸井君? 気がついた? 大丈夫?」
 それに気づいた凱が声をかける。
「凱、くん……?」
「そうだよ」
「そっか、あれ、僕、どうしたんだっけ……」
 不安そうに辺りをキョロキョロする。
「久世さんが、助けに来てくれた。だから、もう大丈夫。」
「久世さん……? ああ、そっか……」
 斎と来たら、戸井君が洗脳されていたこと、凱自身も洗脳されかかったこと、久世が今地下に行っていることを戸井君に話した。
「そう……全然覚えてないや。教えてくれて、ありがとう。というより久世さん、地下に行ったの? 危なくない?」
「僕もそう言ったけど、聞いてくれなかっ」
 ガタン、と、不意に玄関の扉が開く音がした。
 仁井戸かと、身を硬くする。
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2025/11/17 08:28

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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