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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#116

第七章 闘い(11)

「……ねぇ、凱くん」
 沈黙を破るように、戸井君が話しかけてくる。
 顔を上げると、にやりと不気味な顔をした戸井君がいた。
「……何?」
 嫌な予感がする。———いや、元からしているが。
「早く、一緒に階段を下りよう?」
「なんで? 嫌だ」
「ねぇ、一緒に下りよう。楽しいよ」
 戸井君が腕を掴んでくる。ゾッとして、慌てて振り払った。
「降りないよ!」
「一緒に階段を下りよう。地下に行こう」
 戸井君はずっとそればかりを繰り返す。
 恐怖を覚えた。
 逃げ出さんと足に力をこめたとき、階段からバタバタと音が聞こえた。
「あ、仲間が来てくれた」
 嬉しそうな戸井君と対照的に、凱は完全に固まってしまった。
 逃げ出す暇もなく、がしっと誰かに腕を掴まれた。
 見ると、[漢字]虚[/漢字][ふりがな]うつろ[/ふりがな]な目をした男たち——いや、女もいる——が凱を囲んでいた。
 背中を押される。前につんのめりそうになって足に力をこめた。
 掴まれた腕を強く引っ張られた。振り払おうとするが、力が強すぎて振り払えない。
 気がつけば、何人もの手が凱の腕を掴んでいた。
 ずるずると腕を強く引っ張られる。その場にいられず、体を持って行かれた。
 階段がほんの目の前に来る。
「! 行かない……!」
 叫んだが、そんなもので彼らが止まったりしない。
 階段に足をかけた。
 後ろを振り返ると、戸井君は相変わらず不気味な笑顔を張りつけていた。

[水平線]
 気がついたら、あたりは真っ暗闇だった。
 あたりに充満している、何かが腐ったような、甘いような、嗅いだことのない匂いが鼻をつく。
 ……ここはどこだっけ?
 ……何しに行ってたんだっけ?
 よく分からない混濁とした頭の中に何かが入り込んでくる感覚があった。
 ……ああそうだ、僕は仁井戸さんの、
 えっと……
 仁井戸さんじゃない、あの方だ。
 ……あの方は、害を及ぼすものを滅し、誰もが幸せになる世界を作ろうとしていて。
 それで、僕は……

 動こうとすると、ガサッと[漢字]懐[/漢字][ふりがな]ふところ[/ふりがな]のあたりで音がした。
 探って取り出してみると、そこには千切れた紙。
(式を作った……? 欠片?)
 よく分からない。でも、
 ———これ以上ここにはいてはいけない。
 そんな勘に引きずられるように、外に出ようとした。
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2025/11/15 15:43

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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