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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#112

第七章 闘い(7)

 翌々日。戸井君が向かうという日の早朝、時庭家に来客が来た。
「凱くーん、いますかー?」
 戸井君だった。慌てて玄関に行く。
「どうかしたの?」
「あー、えっとねー、家の中[漢字]漁[/漢字][ふりがな]あさ[/ふりがな]ってたらこんなのが見つかったから、凱くんに渡しておこうと思って」
 見れば、手紙らしい紙が十数枚、戸井君の手の中にあった。
「本当に家の中にあるなんて思わなかったよ。[漢字]迂闊[/漢字][ふりがな]うかつ[/ふりがな]だねぇ。あげる。じゃあ、見ておいてね。じゃ、用件はそれだけ。いってきまーす」
 そう言って、戸井君はひらひらと手を振りながら行ってしまった。
(手紙……)
 戸井君の両親と、仁井戸で交わしたものだろうか。
 自室に戻り、紙を時系列に揃えて一枚一枚広げた。

[水平線]
 一枚目。日付は、今から五年前。
『昨日話した件について、色よい返事を期待している。今やっている貿易の商売よりもずっと割りに合う待遇を約束する。これはきっと君たちにとっても良い話だと思っているよ。 仁井戸』
 これだけだった。一緒に働こうと勧誘するための手紙だろう。手紙の形式を[漢字]則[/漢字][ふりがな]のっと[/ふりがな]っていないところを見ても、あくまで個人間のものだと分かる。
 二枚目から七枚目は同じような内容だった。日付はそれぞれ今から五年前から三年前くらいである。
 仕事を変えるとあって、だいぶ悩んだのだろう。

 八枚目。日付は、今からちょうど二年前。
『あいつらは[漢字]首塚山[/漢字][ふりがな]くびづかやま[/ふりがな]に縄張りを張っている。妖怪を放ち、狩られた妖怪の内で報告外の場所は首塚山だけだからだ。見回っておけ。 仁井戸』
 他の信者にも同じような文を送ったとするならば、様子がおかしくなったのはこの頃からだろうか。

 九枚目。日付は、今から二年前。
『竜ヶ崎の外れにて、あいつらの一人を妖怪三体を使って狩った。若い女だった。 仁井戸』
 若い女。手紙の日付から見て、馨の妻だろう。妖怪がどれほど強いのかは分からないが、凱が見てきたようなものならきっと[漢字]太刀打[/漢字][ふりがな]たちう[/ふりがな]ち出来なかったに違いない。

 十枚目。日付は、今からちょうど一年前。
『あいつらに私たちの仲間の一人が[漢字]囚[/漢字][ふりがな]とら[/ふりがな]われた。そいつは捨てておけ。私たち情報を話してしまったに違いないから、もし見つけたら直ちに処分するように。 仁井戸』
 馨と久世で、尋問をした時だろうか。
 それにしても、処分とは。まるで扱いが道具ではなかろうか。

 十一枚目。十枚目の翌日に書かれたもののようだった。
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2025/11/12 07:52

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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