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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#111

第七章 闘い(6)

「拠点が仁井戸さんの邸、ってことはないか? 近くに別荘とかあったらそれも」
「……そんなことある?」
 戸井君が[漢字]怪訝[/漢字][ふりがな]けげん[/ふりがな]な顔になる。
「地下とかに作られたら有り得るだろ」
「それなら、妻子とか使用人とかに知られちゃうんじゃ———」
「仁井戸さんが妻帯者だって話、聞いたことないんだが」
 はっとした。いつの間に『仁井戸さんは妻子持ちだからありえない』と思っていたのだろうか。
「……それじゃあ、わざわざこうやって調べなくても良かったね」
 戸井君が苦笑いする。
「とりあえず、仁井戸さん家に行ってみる?」
「何言ってんだ、危ないだろ。下手したら俺たちも食糧にされんぞ」
 ぽんと手を打って提案する戸井君に、斎がすかさず突っ込む。
「あ、そっか……。あ、じゃあ、僕だけ行ってくるよ」
 斎が「話をちゃんと聞いてたのか」というような顔になる。
「僕なら、大丈夫でしょ。両親は仁井戸さんの仲間なんだし。親の助けになりたい、って言ったら、喜んで迎えてくれるんじゃない?」
「確……かに……?」
 斎が[漢字]眉間[/漢字][ふりがな]みけん[/ふりがな]に[漢字]皺[/漢字][ふりがな]しわ[/ふりがな]を寄せる。
「つまり、[漢字]間者[/漢字][ふりがな]スパイ[/ふりがな]になるってこと?」
「そういうこと」
「……危険じゃないのか」
「でも、止めなきゃいけないよね。平和な世界を作るって言ってんだから、最悪 [漢字]政変[/漢字][ふりがな]クーデター[/ふりがな]とかも起こしそうだよ」
 戸井君の言葉に、斎も凱も言葉を失った。
「……分かった。気をつけろよ」
 斎が心配そうに戸井君を見る。
「大丈夫だよ」
 戸井君がバッチリと片目を[漢字]瞑[/漢字][ふりがな]つむ[/ふりがな]った。
 そのあと、三人で話し合って明後日に戸井君が仁井戸の邸に向かうことになった。
 帰り、戸井君の家を出て、別れるところまで二人で歩く。
「俺、心配なんだけど。なあ、凱」
 思えば、ここのあたりずっと斎らしくない。覚悟を決めたのだろうか。
「こっそり見張る、とか出来んかね」
「うーん、難しいと思うよ」
 仁井戸に見つかったら、戸井君の命がないかもしれない。そう思うと、とてもそんなことをすることが出来なかった。
 二人とも無言で歩き、別れた。
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2025/11/11 07:40

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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