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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#110

第七章 闘い(5)

「じゃあ、そいつらがよくいる場所の近くってこと?」
「かな、ちょっとこの辺りの地図持ってくるね」
 そう言って戸井君は席を立って奥の方に行ってしまった。
 斎の方を見る。斎はまっすぐ戸井君がいなくなった方を見ていた。
「……凱?」
 視線に気づいたらしく、斎が凱の方を見た。
「どうした?」
「あ、いや、なんでもない」
 斎はしばらく凱を見ていて、再び前を向いた。
「……やっぱ凱って、優しいのか優しくないのか分からんな」
 ぼそっと斎が言う。斎は時々、とてつもなく勘が鋭くなることがある。

「はーい、持ってきたよー、遅くなってごめんよ〜」
 しばらく沈黙が流れていたときに、戸井君が戻ってきた。その手にはやや古びた紙がある。
「ありがと、そんなに待ってないよ」
 戸井君が机の上に紙を広げると、すぐに斎が覗き込む。
「で、条件に合いそうな場所はどこかなー?」
 戸井君も覗き込む。
「ここが凱ん家、ここが俺ん家、でここがいつも通ってる学校で……」
 地図を覗き込みながら、斎がぶつぶつと呟く。
「……あ、ここら辺に遊郭あるらしい。結構小っさいし、ここからはちょっと離れているけど、いいだろ」
「あー、遊郭かぁ」
 どうだろうかと戸井君が腕を組む。
「……違うと思うよ、よく人の出入りするところらしいし。でも、病気かなんかで人も寄りつかないような女郎さんがいたら、分からないけど」
 凱は口を挟んだ。
「そっか、でも、[漢字]攫[/漢字][ふりがな]さら[/ふりがな]いやすい人がいるのは事実なんだよね、じゃあ、候補の一つに挙げますか」
 戸井君が懐から出した鉛筆で遊郭の辺りに丸を囲む。

「……んー、あんま情報無いなー」
「確かに」
 その後も、ここはどうだ、あそこはどうだと話したが、場所を絞り込むには至らなかった。
(拠点はなかった……?)
 そんなことは無いはずだ。それなら、妖怪を引き連れてあっちこっち襲わせに行っていたことになる。
 確実に人に知られるだろう。
「……なあ」
 斎がふっと呼ぶ。
「「何?」」
 二人分の声が重なった。
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2025/11/10 18:48

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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