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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#109

第七章 闘い(4)

拠点は複数。なら、手がかりにはなる、か」
 斎が考え込む。しばらくした後、「凱」と呼ばれた。
「強い妖怪を人工的に作り出すには、何が要る?」
 突拍子もない質問に、面食らった。
「……分からない。誰もそんなことをしたことは無いから」
 凱の回答に「ちぇっ」と斎が舌打ちをする。不機嫌になったようだった。
「まあまあ斎くん、落ち着いて。えっと凱くん、質問を変えるね。強い妖怪はどうやって強くなるの?」
 斎を[漢字]宥[/漢字][ふりがな]なだ[/ふりがな]めすかし、戸井君が問う。
 妖怪とは、成仏できなかった人の霊や、生きた人の霊——つまり生霊——、人の負の感情など、さまざまな原因によって現れる。
 そんな妖怪が強くなる方法。それは、二つある。しかし、どれも好まれないものだ。
「一つ目は、人の負の感情をより集めること。より強い感情であればいい。二つ目は、人を喰べること。」
 父に習ったことを思い出しながら、話す。
「ふーん、じゃあ仁井戸さんはどっちかを使ったわけだね」
 どうやって使うのか。———想像して、背筋が凍った。
「そ、れ、」
 声が震えた。そんな凱を置いて、戸井君はさらに話す。
「一つ目なら、どっかの妖怪を連れて来て、その前で誰かを拷問するとかが手っ取り早いかな。二つ目なら、ただ妖怪の前に喰べられる人を連れて来ればいい」
 そっと斎の方を見ると、斎も固まっていた。
「まあ、そうやって考えると、多分仁井戸さんは二つ目の方法を選んだのかもね。そっちの方が効率がいいだろうし」
 極めて冷静に、戸井君は話す。
「まずいじゃん、それ。今妖怪どもがわんさか居るのを見ても、今までで一体何人殺されたんだよ?」
 斎が硬い表情で言う。
「……そうだね。でも、場所はだいたい絞れたんじゃない? 人や妖怪を簡単に連れて来られる場所だと思う。あと、多分喰べ残しとか出るだろうから、それを処分できる場所。」
「そうだな」
 斎が笑む。道が開けたように思った。
「仁井戸さんは、いつも仕事に来ていたと思う。父さんが『仁井戸さんは勤勉だ』と言っていたのを聞いたことがあるから」
「そっか。じゃあ、さらに場所は絞れるな。この辺りだ」
「この辺り? でも、この辺りでそんな頻繁に行方不明事件とかあったか?」
 斎が首を傾げる。
「聞いてないね。でも、確実に誰かが殺されている。妖怪を強くするために。だから、誰も聞いてないってことは、喰われた人たちはきっと身寄りがないんだ」
「孤児とか?」
「そうなるね」
 真剣な顔をして話し込む二人を尻目に、凱は眉を[漢字]顰[/漢字][ふりがな]しか[/ふりがな]めた。
 子どもが犠牲になっていたなんて、思いたくない。
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2025/11/10 07:37

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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