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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#108

第七章 闘い(3)

「この話聞いたときは特に何も思わなかった。僕も、僕の親も」
「なんかあったのか?」
「あったあった。まず、父さんが仁井戸さんから勧誘されて、一緒に働くようになったんだ。仕事は外国人との通訳や翻訳。前にやっていた貿易商は、他人に譲った」
 やがて、家で『魔法使い』『百鬼』という単語をよく聞くようになったらしい。それと時を同じくして、仁井戸がよく家を訪ねるようになった。
「今思えば、父さん、仁井戸さんに感化されちゃったのかな……。もしかしたら、母さんも」
 戸井君が高等小学校に進学する頃には、両親とも家を空けることが多くなった。
「あんまり空けるものだから、思い切って聞いたんだ。何してるのって」
『私たちに害を与えるものを潰そうとしている』と答えられたらしい。
 さらに問い詰めて、それが『百鬼家』という、魔力を受け継ぐ家であることを知った。
「てっきり僕、凱くんは知っているものと思っていた。凱くんのお父さん、仁井戸さんの部下なんでしょ?」
「うん。でも僕、知らなかった」
「そうだね。……仁井戸さんが僕の父さんに声をかけたのは、父さんが『魔法使い』のことを知っていたからだと思う。なまじ知識がある方が、騙しやすいのかな」
 それで、と戸井君は姿勢を正す。
「さっき聞かれた、仁井戸さんの拠点については知らない。でも、この家によく来ていたのは事実だから、ちょっと家の中探してみるよ。何か見つかったら……あ、何で連絡しよう? 凱くんの家は知っているから、歩いて来ようか?」
「うん。分かった」
 凱は頷いた。
「それにしても、拠点……拠点ねぇ……」
 戸井君がふーむと考え込む。
「———あ。凱くん、強い妖怪が集まりやすいところとか知っている?」
「強い妖怪……?」
 思ってもみなかったことを聞かれ、首を傾げる。
「そう。だって、今まで妖怪出過ぎでしょ。もし仁井戸さんの仕業なら、強い妖怪を集めやすいところに拠点を置くんじゃないかなーって」
「そうか? 弱い妖怪を強くしただけ、とかじゃないの? だってあんな奴そんなにホイホイいるわけじゃないだろ」
 今まで黙っていた斎が口を開いた。確かにそれなら、強い妖怪たちが現れたとき前兆が全くなかったことも納得はいく。
「それなら尚更、それを作る場所が要るよね。それが拠点じゃないの?」
「拠点とは限らんだろ。ただの強い妖怪作りの場所なだけで」
 反論する斎に、凱は口を挟んだ。
「……拠点が一つだけ、とは限らないよね。この企みに必要な場所を拠点と呼ぶなら、それも拠点なんじゃないの?」
 二人がはっとしたような表情になった。
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2025/11/09 09:07

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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