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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#106

第七章 闘い(1)

「——それで、何から始めようか」
 使用人が持ってきてくれた菓子を頬張りながら、[漢字]斎[/漢字][ふりがな]いつき[/ふりがな]は両腕を組んで考え込む。
「でも、拠点を探すのは[漢字]百鬼[/漢字][ふりがな]なぎり[/ふりがな]さんたちでも無理だったんじゃないの?」
 [漢字]凱[/漢字][ふりがな]かい[/ふりがな]は思っていたことを口にする。
「そうか? そんなこと言ってたのか?」
「いや、言ってはいないけど……」
「じゃ分からんだろ。とにかくやるぞ」
 ごっほん、と斎は[漢字]咳[/漢字][ふりがな]せき[/ふりがな]払いをする。
「百鬼に無くてこっちに有るもの。それは人脈だ。凱、お前の父ちゃんに話は通せねぇの?」
 いつにも増してキリリとした表情の斎
「無理だよ。父さんは、このこととは関わってないようだった。むしろ、[漢字]仁井戸[/漢字][ふりがな]にいど[/ふりがな]さんは父さんのことを邪魔に思っているみたいだよ」
「あー、そっか。そういえばそうか。消したい人間の前で堂々とその計画を進める馬鹿は居ないだろうしなぁ……。他の人間は……?」
 父。仁井戸。妖怪。鬼。大百足———。
 頭の中でいろいろと思い出しながら、はっと[漢字]閃[/漢字][ふりがな]ひらめ[/ふりがな]いた。
「[漢字]戸井[/漢字][ふりがな]とい[/ふりがな]君は?」
「え? 戸井?」
「うん。戸井君の親、父さんと同じところに働いているみたいだし。あと、……一番最初に、百鬼のことを教えてくれたのは、戸井君なんだよ」
「へー、……え? あいつ、百鬼家知ってんの?」
「うん。『知らないの?』とは聞かれたけど、なんのことだかさっぱりだった」
「じゃあ、あいつの中では百鬼のことは常識だった、ってことか?」
「そうなるね」
 再び ごっほん、と斎は咳払いした。
「よし。行くぞ。戸井ん家に。あいつの家は俺が知っている」
 さっと斎は立ち上がった。凱も慌てて立ち上がる。
 バタバタと下階に降り、『おばさーん、ちょっくら友達ん家行ってくるわー』と斎が凱の母に断り、外に出た。
 友人の母とはいえ、名家の妻に「おばさん」と言えるのはかなりの度胸だと思う。

[水平線]
 道すがら、チラチラと周りを見る。
(妖怪が全然いない……)
 前は、一般人の目にも見えないほど弱く、無害な妖怪がちらほらと見えたものだった。
 戸井君の家を知っているという話の通り、斎の足には迷いはなかった。
「ほら、着いたぞ」
 しばらく歩き、『戸井』と書かれた表札の前で止まる。凱の家にあるような門は無い。こぢんまりとした家だった。
 家の扉の前に立ち、「[漢字]新代[/漢字][ふりがな]にいしろ[/ふりがな]と[漢字]時庭[/漢字][ふりがな]ときにわ[/ふりがな]です」と言いながらトントンと扉を軽く叩く。
 しばらくして、「はーい」という声がした。戸井君だ。
 玄関に駆け寄ってくる音がする。扉の鍵を開け、戸井君は少しだけ扉を開けて警戒するようにそっとこちらを伺う。
 すぐに、なりすましなどではないと判断したか「どうぞ〜」と凱たちは入れてもらえた。
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2025/11/07 07:10

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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