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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#104

第六章 真実(18)

 翌日。
 凱はまず、姉の行方を心配していた使用人の元へ行った。
 母方の親族の元へ行ったらしい、と告げると、彼女は驚きつつもひどく安堵していた。
 さらに、両親の元へ行く。父はもう仕事に出かけていた。
 母はいまだに放心状態のようだった。
 あの手鏡のことも話したかったが、そんな精神状態にはなさそうだ。
「母さん」
 呼びかけると、ちゃんと振り向いてくれた。それに安堵する。
 母と姉の関係のこともあって、もう母への愛情は無くなりつつあると思っていたが、案外そうでもなかったらしい。
「……凱……」
「大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃないわ。あんな……」
 凱は母の目を見る。
「ずっと、私だけが辛いのだと思ってた……まさか、仁井戸さんが時庭を恨んでいるかもしれないなんて思いたくない」
 父と琴子は、最後まで打ち解け合うことができなかったと聞いた。互いが互いに心を閉ざしていたのだろう。
「母さん。……僕も」
 昨夜から考えていたことを告げる。
「僕も、行きたいです。竜ヶ崎。仁井戸さんを、止めたい。」
 母が凱を見る。
「……本気で言っているの?」
「本気です。だって、そのままじゃずっと、理不尽なままで終わっちゃうよ?」
「……そう、ね」
 なんとなく、瞳に光が戻ったように見えた。
「許してもらえますか」
 母が黙った。
「龍二さんに聞かないと、何とも言えないわ。久世さんの話を聞く限り、竜ヶ崎は戦場になるのでしょう。私の裁量では、どうにもならないの」
 さすがに、任務に行くことも許されていない子どもをほいほいとは行かせられないか。
「でも、凱の言う通りね。何とかするわ」
 その言葉が聞けたことに安堵した。

[水平線]
「やっほー、凱、遊びに来たぞー、はいこれ今までの授業の内容」
 斎が時庭の邸に来たのは、父に聞けないまま、学校に行けないまま経った数日後のことだった。
「といっても最近の妖怪騒ぎのおかげでほとんど進んでいないけどなー、休講ばっかりだ」
「そうなんだ……でもありがとう」
 そのあと凱の部屋まで移動して、二人でお喋りする。
 とはいっても延々と斎が最近夢中になっているというあやとりの話を一方的にされただけだが。
「あ、この手鏡何ー? もしかして前に凱が言ってたやつ?」
 斎が凱の部屋に置いてあった手鏡を手に取った。
「あ、うん、そう。この前久世さんが来てくれてね、その時にくれたの」
「へー、でも何で凱ん家に行くんだよー、せっかくなら俺ん家に来てくれよー、……ちょっと見てみてもいいー?」
 と言いながら既に見ている。
「何これ? ……文字? わ、うん。わぁ……」
 斎が鏡に浮かんだ文字を見ながら、しきりに[漢字]頷[/漢字][ふりがな]うなず[/ふりがな]いている。
「これ、じっと見てたり表面を撫でたりしたら、変わるんだよ」
「へー、……あ、これ久世さん[漢字]宛[/漢字][ふりがな]あて[/ふりがな]?」
 あれこれと喋りながら、斎は鏡を見ている。
 やがて、凱のときと同じように鏡は光り出した。
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2025/11/05 08:48

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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