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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#102

第六章 真実(16)

 場面が変わった。

『馨。お前の妹だぞ』
 司が赤ん坊を抱きかかえ、馨に見せている。久世が生まれた頃だろう。
 傍には、そっと夫と子どもたちを見ている[漢字]永姫[/漢字][ふりがな]えいき[/ふりがな]がいた。ひどく顔色が悪い。
 馨は不思議そうに久世の顔を見つめている。
 やがて、馨が久世に手を伸ばすと、久世がぎゅっとその指をつかむ。
 馨が笑う。久世も笑っているような気がした。
『……二人とも、仲良くするんだよ』
 その様子を見て、司がつぶやく。馨に似たその横顔は、どことなく悲しそうに見えた。
 司が兄妹から離れて、永姫の[漢字]側[/漢字][ふりがな]そば[/ふりがな]へ寄る。
『永……』
 司が永姫の前髪を撫でる。
『……何も心配しなくていい。しっかり休めよ』
『で、も、』
 かすれた声で、永姫は司を見る。
『無理しようとしないでくれ。分かったか?』
『うん……。司、も』
『ああ。』
 司が永姫の肩を抱き寄せ、接吻した。

[水平線]
 場面が変わった。

『[漢字]永姫[/漢字][ふりがな]えいき[/ふりがな]様! お待ちください! まだご体調も———』
 誰かが叫ぶ声がする。
 永姫が必死の形相で、荒れた道を走っていた。
 ばっと場面が変わり、どこかに開ける。
 大量に流血した人が倒れていた。輪郭から、司と分かった。
『司、司、』
 永姫は泣きそうな顔をして司に駆け寄り、その身を起こした。
『永、か?』
 司がぼんやりと永姫を見つめる。その顔は まるで紙のように、ひどく青白かった。
『しっかりして。私を置いて、逝かないで……!』
『……永。俺は、』
『嫌……! 嫌よ、こんなことって、』
 永姫が泣き崩れた。
『……永、すまな、い』
 司が永姫の頬に触れる。永姫がそれを片手で添えた。
『馨、と、久世を、頼、む』
 かすれきって、ほとんどささやき声になっていた。
 永姫は泣きながら[漢字]首肯[/漢字][ふりがな]しゅこう[/ふりがな]する。
『……永』
 司が永姫を呼ぶ。
 永姫が何かを察したように司の顔の正面に自分の顔を向ける。
 そっと唇と唇が重なる。
 やがて離れた。
 司が、愛おしそうに永姫を見ていた。
『……永。愛してる。』
 それだけを言い残し、司はゆっくりと瞳を閉じる。
 そのあとは、永姫の[漢字]慟哭[/漢字][ふりがな]どうこく[/ふりがな]だけがその場に残り続けた。
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作者メッセージ

恋愛シーン(?)は駄目ですね
編集していて恥ずか死にかけました

2025/11/03 13:33

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
コメント

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