『お前、もうすぐ十五だろ? 縁談とかないの? お前くらい魔力が強かったら、当主夫人もあり得るだろ』
次の場面には、前よりもう少し大きくなったくらいの永姫と司。
『……分かんない。結婚したくない』
『結婚したくないって……それ聞かれたら、一族一同みんな卒倒するぞ』
『卒倒されたら、ちゃんと治すから安心して』
『そーゆー問題じゃねー』
『司は? 司はもうすぐ十七でしょ? 人のこと言えるの?』
『それは……』
司の方が二つ年上だったらしい。
『私、私ね、———結婚するなら、司がいい』
『——は?』
『だから。司と一緒になりたい』
司は、しばらくあんぐりと口を開けていた。
『……お前、自分で何言っているか、分かってんの?』
『分かってるよ』
『……俺は、いいよ。お前がいいなら』
司がそう言うと、永姫が[漢字]頬[/漢字][ふりがな]ほほ[/ふりがな]を染めて[漢字]俯[/漢字][ふりがな]うつむ[/ふりがな]いていた。
[水平線]
場面が変わった。
『[漢字]永[/漢字][ふりがな]えい[/ふりがな]ー? 体調はどうだ?』
布団で寝込んでいる永姫に、その彼女を見舞う[漢字]司[/漢字][ふりがな]つかさ[/ふりがな]。
『んー……、大丈夫。それにしても、そろそろ安定するって言われるんだけどなぁ……』
『本当に大丈夫か? まあ、人によって違うだろうから気に病むな』
『ありがとう。……それより、最近周りが怪しいって噂だけど、大丈夫なの?』
『人が来るだけだ。心配するな』
『木が燃やされるって聞いたよ……?』
その会話で、永姫が馨を[漢字]身籠[/漢字][ふりがな]みごも[/ふりがな]っている頃だと分かった。
司が渋い顔をする。
『……大したことじゃない。心配するな。お前は、元気な子を産むことだけを考えろ。』
『うん』
また来る と言って、司は永姫の頭を撫でて部屋から出ていった。
[水平線]
場面が変わった。
『———こんなものを、受け入れられるわけがなかろう!』
初老の男性が、紙を握り潰して床に叩きつける。見たことがある、前に会った、[漢字]百鬼[/漢字][ふりがな]なぎり[/ふりがな]の当主だろう。
[漢字]傍[/漢字][ふりがな]そば[/ふりがな]に、司と永姫、そして永姫に抱きかかえられた幼い[漢字]馨[/漢字][ふりがな]かおる[/ふりがな]がいた。
永姫のお腹は大きかった。久世を身籠っているときなのだろう。
司は険しい表情をし、永姫は馨の頭を撫でながら俯いていた。
馨は不安そうに母親の顔を見ていた。
『永姫を嫁に出せ? 既に夫も子もいる身で? 懐妊中で? ふざけるのもたいがいにしろっ!』
当主はさらに怒鳴る。
『ご当主様。落ち着きなさいませ。馨が怯えます。』
司が冷静に言う。
当主は 司を見、永姫と馨を見、そして落ち着かんと目を閉じた。
『……そうだな。すまなかった。』
腰を下ろす。
『いえ……』
『……この話はなかったことにする。それでいいな?』
『当然です』
司が即答する。
永姫は相変わらず俯いたまま、うなずいた。
次の場面には、前よりもう少し大きくなったくらいの永姫と司。
『……分かんない。結婚したくない』
『結婚したくないって……それ聞かれたら、一族一同みんな卒倒するぞ』
『卒倒されたら、ちゃんと治すから安心して』
『そーゆー問題じゃねー』
『司は? 司はもうすぐ十七でしょ? 人のこと言えるの?』
『それは……』
司の方が二つ年上だったらしい。
『私、私ね、———結婚するなら、司がいい』
『——は?』
『だから。司と一緒になりたい』
司は、しばらくあんぐりと口を開けていた。
『……お前、自分で何言っているか、分かってんの?』
『分かってるよ』
『……俺は、いいよ。お前がいいなら』
司がそう言うと、永姫が[漢字]頬[/漢字][ふりがな]ほほ[/ふりがな]を染めて[漢字]俯[/漢字][ふりがな]うつむ[/ふりがな]いていた。
[水平線]
場面が変わった。
『[漢字]永[/漢字][ふりがな]えい[/ふりがな]ー? 体調はどうだ?』
布団で寝込んでいる永姫に、その彼女を見舞う[漢字]司[/漢字][ふりがな]つかさ[/ふりがな]。
『んー……、大丈夫。それにしても、そろそろ安定するって言われるんだけどなぁ……』
『本当に大丈夫か? まあ、人によって違うだろうから気に病むな』
『ありがとう。……それより、最近周りが怪しいって噂だけど、大丈夫なの?』
『人が来るだけだ。心配するな』
『木が燃やされるって聞いたよ……?』
その会話で、永姫が馨を[漢字]身籠[/漢字][ふりがな]みごも[/ふりがな]っている頃だと分かった。
司が渋い顔をする。
『……大したことじゃない。心配するな。お前は、元気な子を産むことだけを考えろ。』
『うん』
また来る と言って、司は永姫の頭を撫でて部屋から出ていった。
[水平線]
場面が変わった。
『———こんなものを、受け入れられるわけがなかろう!』
初老の男性が、紙を握り潰して床に叩きつける。見たことがある、前に会った、[漢字]百鬼[/漢字][ふりがな]なぎり[/ふりがな]の当主だろう。
[漢字]傍[/漢字][ふりがな]そば[/ふりがな]に、司と永姫、そして永姫に抱きかかえられた幼い[漢字]馨[/漢字][ふりがな]かおる[/ふりがな]がいた。
永姫のお腹は大きかった。久世を身籠っているときなのだろう。
司は険しい表情をし、永姫は馨の頭を撫でながら俯いていた。
馨は不安そうに母親の顔を見ていた。
『永姫を嫁に出せ? 既に夫も子もいる身で? 懐妊中で? ふざけるのもたいがいにしろっ!』
当主はさらに怒鳴る。
『ご当主様。落ち着きなさいませ。馨が怯えます。』
司が冷静に言う。
当主は 司を見、永姫と馨を見、そして落ち着かんと目を閉じた。
『……そうだな。すまなかった。』
腰を下ろす。
『いえ……』
『……この話はなかったことにする。それでいいな?』
『当然です』
司が即答する。
永姫は相変わらず俯いたまま、うなずいた。
- 1.第一章 始まり(1)
- 2.第一章 始まり(2)
- 3.第一章 始まり(3)
- 4.第一章 始まり(4)
- 5.第一章 始まり(5)
- 6.第一章 始まり(6)
- 7.第一章 始まり(7)
- 8.第一章 始まり(8)
- 9.第一章 始まり(9)
- 10.第一章 始まり(10)
- 11.第一章 始まり(11)
- 12.第一章 始まり(12)
- 13.第一章 始まり(13)
- 14.第二章 彼の妹(1)
- 15.第二章 彼の妹(2)
- 16.第二章 彼の妹(3)
- 17.第二章 彼の妹(4)
- 18.第二章 彼の妹(5)
- 19.第二章 彼の妹(6)
- 20.第二章 彼の妹(7)
- 21.第二章 彼の妹(8)
- 22.第二章 彼の妹(9)
- 23.第二章 彼の妹(10)
- 24.第二章 彼の妹(11)
- 25.第二章 彼の妹(12)
- 26.第二章 彼の妹(13)
- 27.第二章 彼の妹(14)
- 28.第二章 彼の妹(15)
- 29.第二章 彼の妹(16)
- 30.第二章 彼の妹(17)
- 31.第二章 彼の妹(18)
- 32.第二章 彼の妹(19)
- 33.第二章 彼の妹(20)
- 34.第三章 神社(1)
- 35.第三章 神社(2)
- 36.第三章 神社(3)
- 37.第三章 神社(4)
- 38.第三章 神社(5)
- 39.第三章 神社(6)
- 40.第三章 神社(7)
- 41.第三章 神社(8)
- 42.第三章 神社(9)
- 43.第三章 神社(10)
- 44.第三章 神社(11)
- 45.第三章 神社(12)
- 46.第三章 神社(13)
- 47.第三章 神社(14)
- 48.第三章 神社(15)
- 49.第三章 神社(16)
- 50.第三章 神社(17)
- 51.第三章 神社(18)
- 52.第三章 神社(19)
- 53.第三章 神社(20)
- 54.第三章 神社(21)
- 55.第三章 神社(22)
- 56.第三章 神社(23)
- 57.第四章 別れ(1)
- 58.第四章 別れ(2)
- 59.第四章 別れ(3)
- 60.第四章 別れ(4)
- 61.第四章 別れ(5)
- 62.第四章 別れ(6)
- 63.第四章 別れ(7)
- 64.第四章 別れ(8)
- 65.第四章 別れ(9)
- 66.第四章 別れ(10)
- 67.第五章 異変(1)
- 68.第五章 異変(2)
- 69.第五章 異変(3)
- 70.第五章 異変(4)
- 71.第五章 異変(5)
- 72.第五章 異変(6)
- 73.第五章 異変(7)
- 74.第五章 異変(8)
- 75.第五章 異変(9)
- 76.第五章 異変(10)
- 77.第五章 異変(11)
- 78.第五章 異変(12)
- 79.第五章 異変(13)
- 80.第五章 異変(14)
- 81.第五章 異変(15)
- 82. 第五章 異変(16)
- 83.第五章 異変(17)
- 84.第五章 異変(18)
- 85.第五章 異変(19)
- 86.第五章 異変(20)
- 87.第六章 真実(1)
- 88.第六章 真実(2)
- 89.第六章 真実(3)
- 90.第六章 真実(4)
- 91.第六章 真実(5)
- 92.第六章 真実(6)
- 93.第六章 真実(7)
- 94.第六章 真実(8)
- 95.第六章 真実(9)
- 96.第六章 真実(10)
- 97.第六章 真実(11)
- 98.第六章 真実(12)
- 99.第六章 真実(13)
- 100.第六章 真実(14)
- 101.第六章 真実(15)
- 102.第六章 真実(16)
- 103.第六章 真実(17)
- 104.第六章 真実(18)
- 105.第六章 真実(19)
- 106.第七章 闘い(1)
- 107.第七章 闘い(2)
- 108.第七章 闘い(3)
- 109.第七章 闘い(4)
- 110.第七章 闘い(5)
- 111.第七章 闘い(6)
- 112.第七章 闘い(7)
- 113.第七章 闘い(8)
- 114.第七章 闘い(9)
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- 117.第七章 闘い(12)
- 118.第七章 闘い(13)
- 119.第七章 闘い(14)
- 120.第七章 闘い(15)
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- 124.第七章 闘い(19)
- 125.第七章 闘い(20)
- 126.第七章 闘い(21)
- 127.第七章 闘い(22)
- 128.第七章 闘い(23)
- 129.第七章 闘い(24)
- 130.第七章 闘い(25)
- 131.【幕間】作品解説という名の、作者の妄想ネタを吐き出す場
- 132.第八章 再会(1)
- 133.第八章 再会(2)
- 134.第八章 再会(3)
- 135.第八章 再会(4)
- 136.第八章 再会(5)
- 137.第八章 再会(6)