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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#101

第六章 真実(15)

『お前、もうすぐ十五だろ? 縁談とかないの? お前くらい魔力が強かったら、当主夫人もあり得るだろ』
 次の場面には、前よりもう少し大きくなったくらいの永姫と司。
『……分かんない。結婚したくない』
『結婚したくないって……それ聞かれたら、一族一同みんな卒倒するぞ』
『卒倒されたら、ちゃんと治すから安心して』
『そーゆー問題じゃねー』
『司は? 司はもうすぐ十七でしょ? 人のこと言えるの?』
『それは……』
 司の方が二つ年上だったらしい。
『私、私ね、———結婚するなら、司がいい』
『——は?』
『だから。司と一緒になりたい』
 司は、しばらくあんぐりと口を開けていた。
『……お前、自分で何言っているか、分かってんの?』
『分かってるよ』
『……俺は、いいよ。お前がいいなら』
 司がそう言うと、永姫が[漢字]頬[/漢字][ふりがな]ほほ[/ふりがな]を染めて[漢字]俯[/漢字][ふりがな]うつむ[/ふりがな]いていた。

[水平線]
 場面が変わった。

『[漢字]永[/漢字][ふりがな]えい[/ふりがな]ー? 体調はどうだ?』
 布団で寝込んでいる永姫に、その彼女を見舞う[漢字]司[/漢字][ふりがな]つかさ[/ふりがな]。
『んー……、大丈夫。それにしても、そろそろ安定するって言われるんだけどなぁ……』
『本当に大丈夫か? まあ、人によって違うだろうから気に病むな』
『ありがとう。……それより、最近周りが怪しいって噂だけど、大丈夫なの?』
『人が来るだけだ。心配するな』
『木が燃やされるって聞いたよ……?』
 その会話で、永姫が馨を[漢字]身籠[/漢字][ふりがな]みごも[/ふりがな]っている頃だと分かった。
 司が渋い顔をする。
『……大したことじゃない。心配するな。お前は、元気な子を産むことだけを考えろ。』
『うん』
 また来る と言って、司は永姫の頭を撫でて部屋から出ていった。

[水平線]
 場面が変わった。

『———こんなものを、受け入れられるわけがなかろう!』
 初老の男性が、紙を握り潰して床に叩きつける。見たことがある、前に会った、[漢字]百鬼[/漢字][ふりがな]なぎり[/ふりがな]の当主だろう。
 [漢字]傍[/漢字][ふりがな]そば[/ふりがな]に、司と永姫、そして永姫に抱きかかえられた幼い[漢字]馨[/漢字][ふりがな]かおる[/ふりがな]がいた。
 永姫のお腹は大きかった。久世を身籠っているときなのだろう。
 司は険しい表情をし、永姫は馨の頭を撫でながら俯いていた。
 馨は不安そうに母親の顔を見ていた。
『永姫を嫁に出せ? 既に夫も子もいる身で? 懐妊中で? ふざけるのもたいがいにしろっ!』
当主はさらに怒鳴る。
『ご当主様。落ち着きなさいませ。馨が怯えます。』
 司が冷静に言う。
 当主は 司を見、永姫と馨を見、そして落ち着かんと目を閉じた。
『……そうだな。すまなかった。』
腰を下ろす。
『いえ……』
『……この話はなかったことにする。それでいいな?』
『当然です』
 司が即答する。
 永姫は相変わらず俯いたまま、うなずいた。
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2025/11/03 06:27

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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