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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#96

第六章 真実(10)

永姫は許嫁持ちどころか既婚者、しかも子持ちである。持つ魔力も強い。一族が手放したくない人材である。
 百鬼も百鬼で反対した。永姫ももちろん嫌がった。
 このように家内が揺れている中で、永姫は二人目の子を産んだ。久世だ。
 心労からだろうか、出産後、かなり体調を悪くしたらしい。
 しばらくして、まずは老人、子ども、魔力を持たない者から[漢字]餓死[/漢字][ふりがな]がし[/ふりがな]者が出始めた。
 魔力者は強ければ強いほどその分腹持ちが良いので最初に彼らを食べさせていたのだが、その食料も少なくなってしまったのだ。
 続いて、魔力者からも魔力が少ない者から餓死者が出始めた。
 その状況に危機感を覚えた永姫の夫———馨と久世の父が強引に食糧を取りに行こうとした。
 彼も強い魔力者だったらしい。しかし———。
「向こうの『強い人』に遭ってしまって。丸一日以上闘ったのだけれど、結局敗れて、殺されてしまったの」
 永姫が、かなりの体調不良なのにも関わらず、周囲の反対を押し切って子どもたちを置いて夫の加勢に向かったときはもう既に間に合わず、夫の最期を看取ることになってしまったらしい。
 そして、『強い人』はとっくに逃げおおせてしまっていた。
 しばらくして再び永姫に縁談が来たときは『縁談を呑んだら、人も妖怪も引き揚げさせ、一族は助ける』という条件もくっついてきたという。
 今度は拒まず、永姫は縁談を受け入れた。
 そして、『[漢字]琴子[/漢字][ふりがな]ことこ[/ふりがな]』と名を変えて時庭家に嫁いだのだ、と———。
「お父さまが死んじゃって、何もかもどうでもよくなったのかなぁ。まあ、お母さまのそのあとは、ご存知の通り。むしろ、あなたたちの方が詳しいでしょう?」
 その口調はどこか皮肉めいていた。
「それはそうと。お母さまが嫁いで行ったあとの我が家のお話も———」
 場所を変えた。竜ヶ崎から、[漢字]首塚山[/漢字][ふりがな]くびづかやま[/ふりがな]に。この頃から、首塚山は呪われている、という話が出回り始めたらしい。
 結局、一族百人のうちその半数に迫る四十人近くが死んだ。
「兄さまね、四年前に結婚したんだよ」
「———え?」
 凱は静かに聞いていたが、これに一番驚いた。しかも四年前なら、馨は当時十五歳である。
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作者メッセージ

馨のことは、この作品の続編のために作った設定でした。
まあ結局、続編は絶筆してしまったので、無用の長物となりましたが……
……訂正も面倒くさいので、このまま行きます、すみません。

2025/10/29 09:14

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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